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第1章
第15話 感動(?)の再会のようです
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「じゃ、また明日な」
「おう、帰る途中で野垂れ死ぬなよ」
「どういう話の流れだよ」
そう挨拶して、校門前で待つ夕佳の元へ向かう。
「……あれ? 今日はいつもよりも早いね」
「ああ、帰る用意がいつもより早く終わったからな」
「ふーん、そっか。じゃあ帰ろうよ」
「そうだな」
……どこか彼女の様子がおかしい。声がいつもよりも単調になっている。
「ねぇ―――今日の朝、なんか呼ばれてたらしいけど……なにかあった??」
「…………いや、なんにもなかったぞ?」
「はい、ダウト! 絶対違うよね?! 呼び出しされて何もないこと自体がないんだから!」
「本当に何もないんだってば」
「…………いいから言ってよぉ……」
うっ、そんなめちゃくちゃウルウルした目で上目遣いされてもな……。俺の良心が傷つくじゃないか……。
―――説明がめんどくさいんだよな……あの2人の妹関係の話だし、そもそも妹がいること自体の情報が出回っているかも謎だし。
「あー、あれだ、そう、個人情報だから教えられないんだよ」
「なによそれー、その“こじんじょーほー”って便利じゃないの?? なんでもそれで済むと思わないでよねー」
彼女は頬をぷくっと膨らませて起こっている様子だ。しかし、彼女のそんな姿が小動物みたいで可愛いなと思ってしまった俺がいる。
まあ、なにはともあれ、ごまかすことはできた。
帰宅途中、何度か彼女に話しかけたが―――
「なあ、夕佳―――」
「つーん」
この始末だ。話しかけても『つーん』と言って取り合ってくれない。いや可愛いけど。
しかし、完全に彼女の機嫌を損ねてしまったな、と思っている。今度なにかプレゼントでもあげるかな……? 女子ってどういうのがプレゼントとして欲しいのだろうか。ちょっと愛海に聞いてみるか。まあ、那月は何となくだが、参考にならない気がする。
そんなこんなで家までたどり着いた。
「じゃあな、夕佳」
「バイバイ、レン―――じゃなかった……つーん」
(その設定はいつまで続くんだ?)
彼女の機嫌は悪いままのようだ……。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「ただいまー」
家に帰ると知らない人の靴が玄関の前に置いてあった。愛海が家にいることは知っているので大方愛海の友人でも家に連れてきてるのかな、と思った。靴の大きさも愛海と同じくらいの大きさだし。
リビングでゲームでもしてるのかなと思ったが、違う意味で予想を裏切った。
そこには、ゲームをしている愛海と―――――この前会った、奈菜がいた。
と思うと、ちょうどゲームが一区切りついたらしい。
「あ! おかえり、お兄ちゃん!」
「あ! 久しぶり! レンお兄ちゃん!」
ちなみにこの子と会ったのはつい昨日のことである。
「あ……あれ? 二人とも知り合いなの?」
(……『お兄ちゃん』は私と那月お姉ちゃんだけの特権なのに…………)
……どうした愛海、そんな絶望的な顔をして。そんなにショックなのか? いや、ちょっと待て。何にショックを受けているんだ? ……あれか? 紹介する気満々だったのに知り合いということでやる気を挫かれたのに対してか? …………なんかごめんな……愛海……。
「ごめんよ……愛海……」
「え? え? なんでお兄ちゃんが謝るの? ……え?」
愛海は必死に『違う、お兄ちゃんは何も悪くないから!』と説得された。妹に励まされるなんて……お兄ちゃん失格だよ……。
―――そんなことがあって。
「―――私の友達、初風奈菜だよ! お兄ちゃん! 仲良くしてあげてね!」
「初風奈菜です! また会ったね、レンお兄ちゃん! これからよろしくね!」
本当にこれは予想外の出来事だった。まさか、昨日助けた小学生にその翌日に会う―――しかも妹の友達として―――なんてことが起きるなんて夢にも思わなかった。こんなに早い展開なのか!? とも思った。しかも、聞いてみると俺が奈菜を助けたことを事細かに愛海に説明していたらしい。もちろん、そのことも愛海から聞いたのだが―――
『さすが、{私の}お兄ちゃんだね!』と褒めてくれた。
愛海のここまで満面の笑みは今までに萌えた顔ランキングベスト3には確実に入るものだった。―――え? じゃあ残りはって? もちろんすべて愛海さ! 愛海の満面の笑みに勝てるものはないんだよ……ましてや、何物にも代えられるものではないんだよ。
俺はひとりでウンウンと頷いていたが、それを見ていた2人は不思議そうに眺めていた。そう、『(レン)お兄ちゃんは大丈夫なのかな?』と。
「おう、帰る途中で野垂れ死ぬなよ」
「どういう話の流れだよ」
そう挨拶して、校門前で待つ夕佳の元へ向かう。
「……あれ? 今日はいつもよりも早いね」
「ああ、帰る用意がいつもより早く終わったからな」
「ふーん、そっか。じゃあ帰ろうよ」
「そうだな」
……どこか彼女の様子がおかしい。声がいつもよりも単調になっている。
「ねぇ―――今日の朝、なんか呼ばれてたらしいけど……なにかあった??」
「…………いや、なんにもなかったぞ?」
「はい、ダウト! 絶対違うよね?! 呼び出しされて何もないこと自体がないんだから!」
「本当に何もないんだってば」
「…………いいから言ってよぉ……」
うっ、そんなめちゃくちゃウルウルした目で上目遣いされてもな……。俺の良心が傷つくじゃないか……。
―――説明がめんどくさいんだよな……あの2人の妹関係の話だし、そもそも妹がいること自体の情報が出回っているかも謎だし。
「あー、あれだ、そう、個人情報だから教えられないんだよ」
「なによそれー、その“こじんじょーほー”って便利じゃないの?? なんでもそれで済むと思わないでよねー」
彼女は頬をぷくっと膨らませて起こっている様子だ。しかし、彼女のそんな姿が小動物みたいで可愛いなと思ってしまった俺がいる。
まあ、なにはともあれ、ごまかすことはできた。
帰宅途中、何度か彼女に話しかけたが―――
「なあ、夕佳―――」
「つーん」
この始末だ。話しかけても『つーん』と言って取り合ってくれない。いや可愛いけど。
しかし、完全に彼女の機嫌を損ねてしまったな、と思っている。今度なにかプレゼントでもあげるかな……? 女子ってどういうのがプレゼントとして欲しいのだろうか。ちょっと愛海に聞いてみるか。まあ、那月は何となくだが、参考にならない気がする。
そんなこんなで家までたどり着いた。
「じゃあな、夕佳」
「バイバイ、レン―――じゃなかった……つーん」
(その設定はいつまで続くんだ?)
彼女の機嫌は悪いままのようだ……。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「ただいまー」
家に帰ると知らない人の靴が玄関の前に置いてあった。愛海が家にいることは知っているので大方愛海の友人でも家に連れてきてるのかな、と思った。靴の大きさも愛海と同じくらいの大きさだし。
リビングでゲームでもしてるのかなと思ったが、違う意味で予想を裏切った。
そこには、ゲームをしている愛海と―――――この前会った、奈菜がいた。
と思うと、ちょうどゲームが一区切りついたらしい。
「あ! おかえり、お兄ちゃん!」
「あ! 久しぶり! レンお兄ちゃん!」
ちなみにこの子と会ったのはつい昨日のことである。
「あ……あれ? 二人とも知り合いなの?」
(……『お兄ちゃん』は私と那月お姉ちゃんだけの特権なのに…………)
……どうした愛海、そんな絶望的な顔をして。そんなにショックなのか? いや、ちょっと待て。何にショックを受けているんだ? ……あれか? 紹介する気満々だったのに知り合いということでやる気を挫かれたのに対してか? …………なんかごめんな……愛海……。
「ごめんよ……愛海……」
「え? え? なんでお兄ちゃんが謝るの? ……え?」
愛海は必死に『違う、お兄ちゃんは何も悪くないから!』と説得された。妹に励まされるなんて……お兄ちゃん失格だよ……。
―――そんなことがあって。
「―――私の友達、初風奈菜だよ! お兄ちゃん! 仲良くしてあげてね!」
「初風奈菜です! また会ったね、レンお兄ちゃん! これからよろしくね!」
本当にこれは予想外の出来事だった。まさか、昨日助けた小学生にその翌日に会う―――しかも妹の友達として―――なんてことが起きるなんて夢にも思わなかった。こんなに早い展開なのか!? とも思った。しかも、聞いてみると俺が奈菜を助けたことを事細かに愛海に説明していたらしい。もちろん、そのことも愛海から聞いたのだが―――
『さすが、{私の}お兄ちゃんだね!』と褒めてくれた。
愛海のここまで満面の笑みは今までに萌えた顔ランキングベスト3には確実に入るものだった。―――え? じゃあ残りはって? もちろんすべて愛海さ! 愛海の満面の笑みに勝てるものはないんだよ……ましてや、何物にも代えられるものではないんだよ。
俺はひとりでウンウンと頷いていたが、それを見ていた2人は不思議そうに眺めていた。そう、『(レン)お兄ちゃんは大丈夫なのかな?』と。
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