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とりあえず 馬房からの脱出
魔法も力も使えなくとも、人間だったら知恵がある
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ドラグーン王国にどうして来てしまったのかと、俺は自分の浅はかさに頭を抱えながらも現状打開を考えた。
いや、俺は浅はかでも無いだろう。
魔王と人間のカップルに拾われた人間の子供だと固く信じて育った所で、魔王が愛した人間の右腕と魔王の右腕を煮詰め、魔王の力によって合成された生き物だと告白されたのだ。
「ちょっと待て!レグルス!お前には右腕あるじゃないか!魔王はわかるけど、人間の腕はトカゲの尻尾みたいに生えてこない!」
俺の本当の父と言い張る魔王は、彼が果てしなく愛する愛人(レグルス)の肩を抱き、ものすっごい笑顔で俺に終了の言葉を与えた。
「レグルスだって俺への愛で頑張って生えるんだよ!」
「意味わかんねぇよ!」
俺はそれで両親(人間オス×魔王オスカップル?)の城を飛び出た。
ええと、出ていくときには、とりあえず、傷つきやすいレグルスには適当な事を言った。
真っ赤な髪に黒い瞳を持つレグルスは、いつでも十代前半の少年のようで、とっても弱々しく可愛らしく見えるからだ。
そんなレグルスを傷つけたと、魔王を怒らせて俺が単なる右腕二本に戻されても悲しいじゃないか。
「お父さんたちの告白でね、俺も生えないはずの腕が生えるぐらいに、心から愛せる人を探してきたくなっちゃったの。」
レグルスは恥ずかしそうに、だが、天使のような笑顔をして輝かせて、俺に言っておいでと俺の背中を押してくれたのである。
「俺達の事は心配しなくていいよ。また、新婚の頃みたいになるだけさ。」
子は鎹とは言うが、意外と俺はラブの邪魔だったらしいな、父さんずよ!
「鎖、どうする?愛する人よ?」
俺は俺の現実逃避したいだけの物思いを、図々しくも破って来た男を見返した。
まあ、いいか。
思い出に関しても、俺は思い出した事から逃避したくてここにいるのだから!
さて、俺が見つめ俺に見つめられて嬉しそうに俺を見返す男。
ユージンは青紫というとても美しい瞳をしている。
王子である彼の整った顔立ちをこの瞳がさらに際立たせてもいるが、この宝玉のような瞳を彼がしているのは、伝説通りに王族にドラゴンの血が混じっているからかもしれない。
が、俺は親父と同じ変態野郎と彼を見ているので、奴の目は魔族特有の青紫であるのだとも考えている。
顔だけいい男は俺に見つめられていると嬉しそうに微笑んだ。
俺はユージンの顔をピシャリと叩くと、馬房に何か角のある硬いものはないかと捜し始めた。
「何を探しているの?」
「角のあるもの。石ぐらいの強度が必要。」
「じゃあ、ここ?」
ハハハ、この建物の土台は石だったな。
俺は石の土台と木の柱の丁度境目、ほんの少し石部分が飛び出ている所に鎖のリングを引っかけた。
「何をする?」
「鎖を切る。」
そのリングを支点にして鎖をぐりぐりまわすだけなのだが、しばらくまわしていると鎖はカチンと音を立てて切れた。
「すごいな。俺のはまだ切れない。」
「勇者様の底力って奴だよ。貸せ。」
本当は魔王様の遺伝による馬鹿力というやつだが、地面を裂ける魔王様と違って俺は牛並み程度の力しかない。
がちん。
「さすが勇者様だ。勇者ヴォラクよ。俺は君を守り忠誠で貫くと誓おう。」
「欲望が駄々洩れだぞ。お前に貫かれてたまるか。」
いや、俺は浅はかでも無いだろう。
魔王と人間のカップルに拾われた人間の子供だと固く信じて育った所で、魔王が愛した人間の右腕と魔王の右腕を煮詰め、魔王の力によって合成された生き物だと告白されたのだ。
「ちょっと待て!レグルス!お前には右腕あるじゃないか!魔王はわかるけど、人間の腕はトカゲの尻尾みたいに生えてこない!」
俺の本当の父と言い張る魔王は、彼が果てしなく愛する愛人(レグルス)の肩を抱き、ものすっごい笑顔で俺に終了の言葉を与えた。
「レグルスだって俺への愛で頑張って生えるんだよ!」
「意味わかんねぇよ!」
俺はそれで両親(人間オス×魔王オスカップル?)の城を飛び出た。
ええと、出ていくときには、とりあえず、傷つきやすいレグルスには適当な事を言った。
真っ赤な髪に黒い瞳を持つレグルスは、いつでも十代前半の少年のようで、とっても弱々しく可愛らしく見えるからだ。
そんなレグルスを傷つけたと、魔王を怒らせて俺が単なる右腕二本に戻されても悲しいじゃないか。
「お父さんたちの告白でね、俺も生えないはずの腕が生えるぐらいに、心から愛せる人を探してきたくなっちゃったの。」
レグルスは恥ずかしそうに、だが、天使のような笑顔をして輝かせて、俺に言っておいでと俺の背中を押してくれたのである。
「俺達の事は心配しなくていいよ。また、新婚の頃みたいになるだけさ。」
子は鎹とは言うが、意外と俺はラブの邪魔だったらしいな、父さんずよ!
「鎖、どうする?愛する人よ?」
俺は俺の現実逃避したいだけの物思いを、図々しくも破って来た男を見返した。
まあ、いいか。
思い出に関しても、俺は思い出した事から逃避したくてここにいるのだから!
さて、俺が見つめ俺に見つめられて嬉しそうに俺を見返す男。
ユージンは青紫というとても美しい瞳をしている。
王子である彼の整った顔立ちをこの瞳がさらに際立たせてもいるが、この宝玉のような瞳を彼がしているのは、伝説通りに王族にドラゴンの血が混じっているからかもしれない。
が、俺は親父と同じ変態野郎と彼を見ているので、奴の目は魔族特有の青紫であるのだとも考えている。
顔だけいい男は俺に見つめられていると嬉しそうに微笑んだ。
俺はユージンの顔をピシャリと叩くと、馬房に何か角のある硬いものはないかと捜し始めた。
「何を探しているの?」
「角のあるもの。石ぐらいの強度が必要。」
「じゃあ、ここ?」
ハハハ、この建物の土台は石だったな。
俺は石の土台と木の柱の丁度境目、ほんの少し石部分が飛び出ている所に鎖のリングを引っかけた。
「何をする?」
「鎖を切る。」
そのリングを支点にして鎖をぐりぐりまわすだけなのだが、しばらくまわしていると鎖はカチンと音を立てて切れた。
「すごいな。俺のはまだ切れない。」
「勇者様の底力って奴だよ。貸せ。」
本当は魔王様の遺伝による馬鹿力というやつだが、地面を裂ける魔王様と違って俺は牛並み程度の力しかない。
がちん。
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「欲望が駄々洩れだぞ。お前に貫かれてたまるか。」
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