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監視室を抜けるとそこは大きなお屋敷だった
腕の中で震える恋人
俺の腕の中でヴォラクは目を伏せた。
そして伏せた彼の長いまつ毛は、罠にかかったばかりの小動物みたいに脅えてフルフルと震えている。
まつ毛までがブラッドオレンジ色で、光を受けて透明に輝くので、彼はまるで白いふわふわのマシュマロに飴細工を施したお菓子みたいにも思える。
いや、とっても甘いと俺は知っているのだから、彼は俺の大事な大事な秘密のお菓子であるのだ。
いくら食べても満足できなさそうな、魔法のお菓子だ。
「ヴォラク、まずは俺達は階段に行こう。この部屋を出てすぐの、この屋敷がルルー村の領主館であった時代、本来は使用人が使っていただろう階段だ。」
え?とヴォラクは目を見開いた。
とっても驚いた風にして。
俺は知っている事を教えてやれる優越感で、軽くヴォラクの額にキスをした。
「十年前に侵略されて廃村になったんだ。この様子じゃ、無人となった村を盗賊団が奴隷飼育場として勝手に住み着いていたようだけどね。」
おや、ヴォラクの目が据わっている。
もしかして彼はお子様すぎて、人が自分よりものを知っていたり、推測力が上だと思うとカチンとくるのだろうか?
「ヴォラク。この屋敷が石造りという大きな建物であると見れば、普通にどこぞの領主館か貴族の館だったものを転用したものと考え付くでしょう。使用方法が宿でもね、金持ちでも普通の商人がこんな建物なんか作れないんだからさ。」
「おい、ユージン。俺が気になったのは、お前が、この領主館だったらしい建物があった村の村名を口にした上に、ここが盗賊の隠れ里だと言い切った事だよ。お前さ、もしかして最初からこの村を潰すつもりで俺を巻き込んだ?もしかしてさ、このゴブリンオークの襲来も、お前の仕込み?」
「前半はその通りだが、後半は違う。俺こそ怒っているんだよ!俺は君と二人で盗賊村を破壊し、君とさらに仲良くなろうと企んだのに!ゴブリンオークが割り込んできたせいで、ほら、君は縛られてこんな目だ。」
「俺をこんな目にもあんな目にも合わせてきたのはお前一人だ!」
俺は煩い子供の口塞いだ。
自分の唇で。
ヴォラクが噛みついて来ることを見越して、俺は彼の頬を右手で鷲掴み顎を押さえてから、舌で散々に彼の口腔内を探索してやったのだ。
嫌がりながらも、所々で彼の身体はびくりと震え、俺は彼の弱点の場所を知ったからと彼を解放した。
ヴォラクは俺のお陰で両足の力を失い、俺の胸に額をつけてハアハアと肩で息をしている。
俺は左腕で彼を支えながら、右手をこれからの俺達の進行方向へと翳していた。
「アルデバラン。」
俺の手の平から生まれた大きな光は輝きながら前方を真っ直ぐに飛んで行き、その先々でゴブリンオークの屍も築いていった。
左腕で支えるヴォラクをグイっと引き上げ、今度は掴むのでなく右手の指先に乗せるようにして彼の顎を持ち上げた。
「さあ、俺達は階段に行こう。階段からは俺は君に恋人としての甘いキスを与えると約束するよ。」
真っ青で空のような透明な瞳は、俺を敵と見做した睨みしか寄こさず、俺が口づけたばかりのふわふわの唇は、唇そのものが無かった物のようにして真一文字に結ばれていた。
「ヴォラク。」
「恋人としてキスしたいならさ、ちゃんと口説けよ。俺は口説いてもくれない恋人なんかとキスなどしたくない。」
言い切った彼は再び口を閉じた。
子供のように真一文字にして。
どうしてこの子は俺の劣情ばかりを駆り立てるのか。
可愛らし過ぎ!だろ?
そして伏せた彼の長いまつ毛は、罠にかかったばかりの小動物みたいに脅えてフルフルと震えている。
まつ毛までがブラッドオレンジ色で、光を受けて透明に輝くので、彼はまるで白いふわふわのマシュマロに飴細工を施したお菓子みたいにも思える。
いや、とっても甘いと俺は知っているのだから、彼は俺の大事な大事な秘密のお菓子であるのだ。
いくら食べても満足できなさそうな、魔法のお菓子だ。
「ヴォラク、まずは俺達は階段に行こう。この部屋を出てすぐの、この屋敷がルルー村の領主館であった時代、本来は使用人が使っていただろう階段だ。」
え?とヴォラクは目を見開いた。
とっても驚いた風にして。
俺は知っている事を教えてやれる優越感で、軽くヴォラクの額にキスをした。
「十年前に侵略されて廃村になったんだ。この様子じゃ、無人となった村を盗賊団が奴隷飼育場として勝手に住み着いていたようだけどね。」
おや、ヴォラクの目が据わっている。
もしかして彼はお子様すぎて、人が自分よりものを知っていたり、推測力が上だと思うとカチンとくるのだろうか?
「ヴォラク。この屋敷が石造りという大きな建物であると見れば、普通にどこぞの領主館か貴族の館だったものを転用したものと考え付くでしょう。使用方法が宿でもね、金持ちでも普通の商人がこんな建物なんか作れないんだからさ。」
「おい、ユージン。俺が気になったのは、お前が、この領主館だったらしい建物があった村の村名を口にした上に、ここが盗賊の隠れ里だと言い切った事だよ。お前さ、もしかして最初からこの村を潰すつもりで俺を巻き込んだ?もしかしてさ、このゴブリンオークの襲来も、お前の仕込み?」
「前半はその通りだが、後半は違う。俺こそ怒っているんだよ!俺は君と二人で盗賊村を破壊し、君とさらに仲良くなろうと企んだのに!ゴブリンオークが割り込んできたせいで、ほら、君は縛られてこんな目だ。」
「俺をこんな目にもあんな目にも合わせてきたのはお前一人だ!」
俺は煩い子供の口塞いだ。
自分の唇で。
ヴォラクが噛みついて来ることを見越して、俺は彼の頬を右手で鷲掴み顎を押さえてから、舌で散々に彼の口腔内を探索してやったのだ。
嫌がりながらも、所々で彼の身体はびくりと震え、俺は彼の弱点の場所を知ったからと彼を解放した。
ヴォラクは俺のお陰で両足の力を失い、俺の胸に額をつけてハアハアと肩で息をしている。
俺は左腕で彼を支えながら、右手をこれからの俺達の進行方向へと翳していた。
「アルデバラン。」
俺の手の平から生まれた大きな光は輝きながら前方を真っ直ぐに飛んで行き、その先々でゴブリンオークの屍も築いていった。
左腕で支えるヴォラクをグイっと引き上げ、今度は掴むのでなく右手の指先に乗せるようにして彼の顎を持ち上げた。
「さあ、俺達は階段に行こう。階段からは俺は君に恋人としての甘いキスを与えると約束するよ。」
真っ青で空のような透明な瞳は、俺を敵と見做した睨みしか寄こさず、俺が口づけたばかりのふわふわの唇は、唇そのものが無かった物のようにして真一文字に結ばれていた。
「ヴォラク。」
「恋人としてキスしたいならさ、ちゃんと口説けよ。俺は口説いてもくれない恋人なんかとキスなどしたくない。」
言い切った彼は再び口を閉じた。
子供のように真一文字にして。
どうしてこの子は俺の劣情ばかりを駆り立てるのか。
可愛らし過ぎ!だろ?
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