目覚めたら全裸な俺は全裸な王子と一緒にゴブリンに強襲された砦を逃亡するクエストを与えられた!

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階段をとにかく上へと上がろうよ!

君が悪いんじゃないよ

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 ヴォラクは確かにまだまだ子供だ。
 いや、身体も年齢も十八歳の青年で間違いは無いのだが、中身が普通の王族のお姫様以上に無垢であどけないのである。

 いや、俺が出会って来たお姫様なんて、裕福なドラグーン王国の王女になりたいからと、俺こそ逃げ出したくなる勢いで俺に襲いかかってこなかったか?

 じゃあ、ヴォラクの純情可憐さは一体何なのだ?

 世間知らずでもあるが自分本意ではなく、自分以外の人間の気持ちを常に考えようとする振る舞いは、物凄いよい子で片付けられない王子か何か、なのだ。

 滅んだ国の王子?
 いや、国が滅んでいれば、荒んだところがあるはずだ。
 ましてや、あんな攻撃力がある王子がいたとしたら、そんな国が簡単に滅ぶはずはない。

 あ、ヴォラクの蹴りでゴブリンオークが三匹いっぺんに胸に大穴を開けた。

「すごいな。惚れ惚れする。宙に浮く可愛いお尻だ。」

 空飛ぶお尻は俺の声が聞こえたのか、首から上を真っ赤に染めた。

「バカユージン!お前もやれよ!」

「君もそう言うんだね。」

 あ、ヴォラクがゴブリンオークに入れるはずの蹴りを外した。
 彼はぽろっと床に落ち、可愛い彼に襲いかかるゴブリンオークに関して、俺はMPが殆どなくても放てるソーラレイという一般人魔法を撃っていた。

「お前さ!ソーラレイだけでいいだろ?どうして、あんな危険な魔法ばっかり繰り出すんだよ!」

「助けてもらってそんな言い方!真っ赤なルビーそのもののような君と戦うならば、俺は冬のダイヤモンドに拘りたい。」

「ハハハ。面白い奴!」

 俺のお尻は再びオークを蹴り飛ばす旅に飛び出し、俺は無邪気で真っ新な彼が小気味よいと眺めてしまった。

「初体験はいつだったの?」

「――覚えてもいない遠い昔だよ。思い出したくもない遠い昔だ。」

 ついさっきのヴァクラの質問に、本人ではなく俺の記憶の中のヴォラクに答えていた。
 俺は何をしたいのか。
 どうしてあんなにも彼を求めてしまうのか。
 彼が望むように時間をかけて彼を口説けば、彼は俺の手に簡単に堕ちて来るであろうに、どうして俺は彼に無理矢理ばかりを押し付けるのであろうか。

「それを知るには、まず、彼の望む上階に彼を誘わねば、か。」

 俺は右手を水平に掲げた。

「ヴォラク!一旦俺のところに戻ってこい!全ての仕掛けは終了だ。」

「聞いてねぇよ!プロキオンかよ!どうして雑魚敵にそんな危険な技ばっかり使うのよ!」

 俺を罵倒はしたが、ヴォラクは一番近場のゴブリンオークに大きな蹴りを入れるや、その反動を使って俺の元へと言葉通りに飛んで帰って来た。
 俺は彼を左腕で受けるや、伸ばしていた右手首をグイっと捩じった。
 そして、術が完全に発動したからと右腕も大事なヴォラクの背中に回した。

 俺達の周囲では花火が弾けている。
 敵には視認できない光の小さな爆弾。
 ゴブリンオークが次々に掛かるようにと、俺達は、いや、俺はヴォラクの戦い方を知っているから彼の動きを考慮して、罠にかかりやすい位置にゴブリンオーク達を誘導しながら爆弾を仕掛けていたのだ。

 爆弾は弾けながら次の爆弾の爆発を誘導し、抱き合う俺達にはまるで祝いの大砲か花火のようである。
 俺は自分にしがみ付くヴォラクを見下ろした。
 大きな目は俺に怒っていたが、俺はこの顔こそ可愛いと、左目の目尻を犬のようにしてベロンと舐めた。

「さあ、ヴォラク様。働き者の犬にご褒美をくれ。」

 彼は唇を尖らせた。
 俺はその唇を喜んで貰った。

「え、ちが!」
「違わない。」

 すごいな。
 ヴォラクは俺の口づけを、これこそ普通で当たり前のモノのようにして、受け取るようになったぞ。


※こいぬ座プロキオン:伴星があるが、伴星は暗すぎて視認できない
 よって、仕掛けが見えないという、クラスター爆弾的な攻撃魔法
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