目覚めたら全裸な俺は全裸な王子と一緒にゴブリンに強襲された砦を逃亡するクエストを与えられた!

蔵前

文字の大きさ
28 / 32
奴隷商人の館から飛び出そう

林をまず抜けなければ!

しおりを挟む
 昔に領主の館だったらしい奴隷館の周囲に拡がった林は、放棄された庭園の成れの果てであった。
 そこいらじゅうに飾られていた石造には蔦が這い、下草は刈られる事がないためにぼうぼうと茂って広がっている。
 以前の園芸品目も混ざり合っているようで、トゲだらけという植物が生い茂っているこの場所は、裸の俺達には辛い事この上ない。
 足の裏は勿論、脛にもふくらはぎにも、いやいや、肩位にまで草木の突き出した枝やトゲでチクチクするひっかき傷が増えていくのだ。

「ユージン!本当にこっちの方向で良いんだな!」

「もう少し走れば本物の森に入る。目指す水車小屋は森の中の小川に、っつ!」

 俺の隣を走っていたユージンが転がった。
 彼を助け起こそうと手を差し伸べれば、彼の足にはとげのある蛇の鞭という名の蔦が、その名前の通りに蛇のようにして絡みついていた。

「その草には毒があるのに!」

 俺は慌ててしゃがみ込み、ユージンに巻き付く蔦を千切り始めた。

「君は先に逃げろ!」
「わかった。」

 立ち上がりかけた俺の腕は、すぐさまユージンに掴まれて引き戻された。

「君は素直すぎる。」

「絶対に止めると思ったらその通りだな。心にもない事を言うなよ。」

 ユージンは俺に怒られて不貞腐れるどころか、にやにやと気味の悪い笑顔を顔に浮かべた。

「君は最初から俺を見捨てる気は無かったんだね。うふふ。」

 見捨てたい。
 しかし、敵に追い詰められたら、魔法が使えるユージンは使えるのだ。
 俺は蔦を手に絡めるようにして掴み、勢いよく引っ張ろうとしたのだが、やっぱりユージンに腕を掴まれた。

「君の可愛い手が怪我をする。やっぱり逃げて。」

 俺はユージンを見返した。
 俺の脳内には選択肢が浮かんでいる。

1、ユージンの言う通りに見捨てる。

2、君を見捨てられないよ、とユージンの願い通りの言葉を与える。

3、面倒だから親父を呼んで家に帰る。

 1を選べば数分前の行為と同じ事が繰り返されるだけであり、3の親父を呼んだら俺は家に帰れるが、二度と危険なお外に出られなくなる気がする。

 俺は舌打ちをすると、真っ直ぐにユージンを見つめた。

「君を見捨てられないよ。」

「嘘つき!」


「何で嘘かな。これこそお前が欲しがっていた言葉だろうが!」

「欲しいけどさ、いかにも頭の中でシュミレーションして答えてみました!って感じじゃないの!ぜんぜん感情が籠っていない!答えるまでの間が開きすぎ!」

 俺は凄く面倒になって来た。
 もうなんか、3を選択しちゃいたい気だ。

 そんな俺達に炎の魔法が襲って来た。

 ユージンに俺は引っ張られ、俺はユージンの身体の下に隠された。
 俺が数秒前にいた場所、ほんの直径三十センチくらいだけど、は、今や真っ黒の消し炭になって燻っている。
 当たっていたら大火傷、かな?

 しかし、庇って貰えて嬉しい?という気持ちは湧かなかった。
 だってこれはさ、ユージンとしても何の他意もなかった咄嗟の好意なんだろうけれど、俺の頭はユージンの下半身に、俺の下半身にユージンの上半身、というシックスナインな体勢なんだよ。

 俺の頬をユージンのモノが突いた。
 奴は意識的?
 やっぱり親父を呼ぼうか。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

魔王に飼われる勇者

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 敵の屋敷に攻め込んだ勇者が逆に捕まって淫紋を刻まれて飼われる話です。

美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました

SEKISUI
BL
 ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた  見た目は勝ち組  中身は社畜  斜めな思考の持ち主  なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う  そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される    

後輩が二人がかりで、俺をどんどん責めてくるー快楽地獄だー

天知 カナイ
BL
イケメン後輩二人があやしく先輩に迫って、おいしくいただいちゃう話です。

強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない

砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。 自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。 ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。 とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。 恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。 ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。 落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!? 最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。 12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

【完結】国に売られた僕は変態皇帝に育てられ寵妃になった

cyan
BL
陛下が町娘に手を出して生まれたのが僕。後宮で虐げられて生活していた僕は、とうとう他国に売られることになった。 一途なシオンと、皇帝のお話。 ※どんどん変態度が増すので苦手な方はお気を付けください。

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜

飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。 でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。 しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。 秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。 美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。 秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

処理中です...