目覚めたら全裸な俺は全裸な王子と一緒にゴブリンに強襲された砦を逃亡するクエストを与えられた!

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奴隷商人の館から飛び出そう

林をまず抜けなければ!

 昔に領主の館だったらしい奴隷館の周囲に拡がった林は、放棄された庭園の成れの果てであった。
 そこいらじゅうに飾られていた石造には蔦が這い、下草は刈られる事がないためにぼうぼうと茂って広がっている。
 以前の園芸品目も混ざり合っているようで、トゲだらけという植物が生い茂っているこの場所は、裸の俺達には辛い事この上ない。
 足の裏は勿論、脛にもふくらはぎにも、いやいや、肩位にまで草木の突き出した枝やトゲでチクチクするひっかき傷が増えていくのだ。

「ユージン!本当にこっちの方向で良いんだな!」

「もう少し走れば本物の森に入る。目指す水車小屋は森の中の小川に、っつ!」

 俺の隣を走っていたユージンが転がった。
 彼を助け起こそうと手を差し伸べれば、彼の足にはとげのある蛇の鞭という名の蔦が、その名前の通りに蛇のようにして絡みついていた。

「その草には毒があるのに!」

 俺は慌ててしゃがみ込み、ユージンに巻き付く蔦を千切り始めた。

「君は先に逃げろ!」
「わかった。」

 立ち上がりかけた俺の腕は、すぐさまユージンに掴まれて引き戻された。

「君は素直すぎる。」

「絶対に止めると思ったらその通りだな。心にもない事を言うなよ。」

 ユージンは俺に怒られて不貞腐れるどころか、にやにやと気味の悪い笑顔を顔に浮かべた。

「君は最初から俺を見捨てる気は無かったんだね。うふふ。」

 見捨てたい。
 しかし、敵に追い詰められたら、魔法が使えるユージンは使えるのだ。
 俺は蔦を手に絡めるようにして掴み、勢いよく引っ張ろうとしたのだが、やっぱりユージンに腕を掴まれた。

「君の可愛い手が怪我をする。やっぱり逃げて。」

 俺はユージンを見返した。
 俺の脳内には選択肢が浮かんでいる。

1、ユージンの言う通りに見捨てる。

2、君を見捨てられないよ、とユージンの願い通りの言葉を与える。

3、面倒だから親父を呼んで家に帰る。

 1を選べば数分前の行為と同じ事が繰り返されるだけであり、3の親父を呼んだら俺は家に帰れるが、二度と危険なお外に出られなくなる気がする。

 俺は舌打ちをすると、真っ直ぐにユージンを見つめた。

「君を見捨てられないよ。」

「嘘つき!」


「何で嘘かな。これこそお前が欲しがっていた言葉だろうが!」

「欲しいけどさ、いかにも頭の中でシュミレーションして答えてみました!って感じじゃないの!ぜんぜん感情が籠っていない!答えるまでの間が開きすぎ!」

 俺は凄く面倒になって来た。
 もうなんか、3を選択しちゃいたい気だ。

 そんな俺達に炎の魔法が襲って来た。

 ユージンに俺は引っ張られ、俺はユージンの身体の下に隠された。
 俺が数秒前にいた場所、ほんの直径三十センチくらいだけど、は、今や真っ黒の消し炭になって燻っている。
 当たっていたら大火傷、かな?

 しかし、庇って貰えて嬉しい?という気持ちは湧かなかった。
 だってこれはさ、ユージンとしても何の他意もなかった咄嗟の好意なんだろうけれど、俺の頭はユージンの下半身に、俺の下半身にユージンの上半身、というシックスナインな体勢なんだよ。

 俺の頬をユージンのモノが突いた。
 奴は意識的?
 やっぱり親父を呼ぼうか。
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