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林の中の攻防

聖なる者と魔の者と

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 敵は俺達の上にゆっくりと舞い降りて来た。
 逃げられないことが分かっている、彼等が思う獲物の恐怖を煽るための、敢えてのゆっくりな行動だ。

 彼等はきっと俺達を拷問することで、俺達が殺した仲間二人の帳尻を合わせようとするはずなのだ。
 だから、これは最初の精神的な拷問だろう。

 俺はそこまで分っておきながら、大事なヴォラクを逃がさねばならないと考えながらも、彼から手を離す事が出来なかった。

 いや、俺の顔の下に、ヴォラクの可愛いお尻の穴と、俺にびくびくしながら膨れて来たヴォラクの可愛い性器がこんにちはをしているのだ。
 積極的にむしゃぶりつきたいのに彼を手放せるわけが無いじゃないか!

 しかし、現在の俺は足手まといだ。
 ダークエルフが普通のエルフと同様に、植物を意のままに操ることが出来たとは知らなかった。
 彼等は毒のあるとげだらけの「蛇の鞭」という名の蔦を使い、俺を捕えて拘束して見せたのだ。
 俺の下半身はその毒で石のように冷たく硬くなって来ており、蔦を外した所で走り回ることは出来ないことは確実だ。

 さあ、ヴォラクに逃げろと言って手放すのだ。
 俺はヴォラクを見下ろし、可愛い尻の穴がきゅっと締まったそこが可愛いと、無意識に彼の尻の穴を舐めていた。

「きゃあ。」

 俺の真下でヴォラクが叫び、おやおや、俺の大事なものが彼の口に?
 うわあ。
 俺はその一瞬に身を委ねてしまった。

 ヴォラク、俺のモノを口から遠ざけようと舌や唇で突くのは、全く無意味だよ。

「ハハハハハ。死に瀕した人間は性欲に走ると言うが、その通りか!やはり下賤な生き物であるな!」

 ボスらしい赤目の金髪が俺を見下ろし、いやらしく口角を上げた。
 あ、何としたことだ!
 俺はヴォラクを逃がす大事な時間を失ってしまっていたではないか!

「本当に、ですね。こいつら盛りやがった。」

「一回イかせた後に片方の内臓を生きたまま抜くってのはどうですか?」

 手下Aがボスに追従し、手下Bが調子に乗った。
 合いの手がこの程度とは、ダークエルフの知能も窺い知れるってものだ。
 ボスは自分の手下の追従が嬉しいのか、にやにやしながら俺達に向かって言い捨てた。

「きっとあのレグルスも気に入るだろうさ。魔王が与える快楽に堕ちて、人間どころか聖なる神まで簡単に捨てたあの恥知らずにはな!」

 俺はこの台詞で、このダークエルフの憤懣が少しわかる気がした。
 正当なものが守られない気がする、今まで信じていたものが失われた、そんな哀れな目に遭った生き物の憤懣なのだ。

「お前は魔王を本気で愛しているんだな。」
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