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子爵が提案した新たなクエスト
娘思いの馬鹿親ですか?
我が最愛の父、イクセル・オーグレーン子爵は私に向かって両腕を広げた。
真っ白な近衛兵の制服の右胸には、ジャラジャラと勲章がぶら下がっており、彼を神々しく光り輝かせてもいるが、それらの輝きを全て取り去っても父は絶対に輝きを失わないだろう。
前王を親友として近衛連隊長にまで若くして成り上がった父であるが、その前王の暗殺という失態をもって辞職を願い出たらしいが、現王は父に王宮を守らせることに固執したほどなのだ。
現王が、ではないか。
王宮の華として父は社交界で今も昔も持て囃されているのであり、そして、前王の暗殺には父こそ死の淵を彷徨ったのだ。
あれは暗殺などという可愛いものでは無かったと聞いている。
詳しくは私も教えられてないどころか、当時のファイルは私どころかノアでさえ閲覧不可能だ。
――王子暗殺未遂犯の大罪人イルヴァ、君の汚名が喜ばしいよ。
命を懸けて前王を守ろうとした男の娘が前王の息子であるノアの暗殺を企てたなど、聞いた父こそきっと鼻で笑い飛ばしてくれたのだろうが、最悪の記憶も父の脳裏に呼び戻さなかっただろうか。
私の母もその日に一緒に亡くなったのだ。
私は父の腕の中に飛び込んだ。
「お父様が王宮からお払い箱になって無いと分かって悔しいわ。次はもっとお父様を追い詰められる汚名を被って見せますわ。」
「それでこそ俺の悪女でファムファタルだ。君の素晴らしさが解るのは、やはり大人の男だけだろうな。君の後ろの青臭いカナン少佐にはまだまだかな?」
「まあ、お父様。カナン少佐と面識がおありだったの?」
「面識はないが、小生意気で有名な若者の名前ぐらい耳に入るさ。」
私は父が紹介もなくカナンの事を見知っていた事に驚きながら振り向くと、当のカナンは物凄く余所行きの笑顔を顔に浮かべた姿でまっすぐに立っていた。
ほんの少しの付き合いだがわかる。
父に青臭いやら色々と言われて、カナンは確実にカチンときているのだ。
カナンは父に対抗するようにして、彼なりの、恐らくここに大叔母がいればとろけてしまうだろう素晴らしい笑顔に表情を変えた。
「青臭い若造ですが、お嬢様の素晴らしさは理解しておりますよ。」
「嘘つけ。だったらここに真っ直ぐ連れて来るか!俺だったらこのまま自分の部屋にでも連れ込んで口説き倒しているというのに。」
「殿下の婚約者にそんなことが出来ますか!」
「俺はしたぞ!この素晴らしき娘の母は、前王の婚約者の一人だった。」
父の実際を知らなかったカナンは蛙を呑み込んだような顔つきとなり、私は父の腕の中で父の物言いに対して頭を抱えた。
前王の若かりし頃には今のクリストファーと同じく婚約者候補が数人おり、選びようがないと悩む親友の為に一人減らしてあげたというのが父の持論だ。
「お父様、話がややこしくなりますから、お父様がわざわざ私に会いに来て下さった理由をお聞かせ願いませんか?」
「君は!愛娘に会いたいだけの父親の気持ちは否定か?」
この父にしてこの娘あり。
私は父に鼻で笑って見せた。
真っ白な近衛兵の制服の右胸には、ジャラジャラと勲章がぶら下がっており、彼を神々しく光り輝かせてもいるが、それらの輝きを全て取り去っても父は絶対に輝きを失わないだろう。
前王を親友として近衛連隊長にまで若くして成り上がった父であるが、その前王の暗殺という失態をもって辞職を願い出たらしいが、現王は父に王宮を守らせることに固執したほどなのだ。
現王が、ではないか。
王宮の華として父は社交界で今も昔も持て囃されているのであり、そして、前王の暗殺には父こそ死の淵を彷徨ったのだ。
あれは暗殺などという可愛いものでは無かったと聞いている。
詳しくは私も教えられてないどころか、当時のファイルは私どころかノアでさえ閲覧不可能だ。
――王子暗殺未遂犯の大罪人イルヴァ、君の汚名が喜ばしいよ。
命を懸けて前王を守ろうとした男の娘が前王の息子であるノアの暗殺を企てたなど、聞いた父こそきっと鼻で笑い飛ばしてくれたのだろうが、最悪の記憶も父の脳裏に呼び戻さなかっただろうか。
私の母もその日に一緒に亡くなったのだ。
私は父の腕の中に飛び込んだ。
「お父様が王宮からお払い箱になって無いと分かって悔しいわ。次はもっとお父様を追い詰められる汚名を被って見せますわ。」
「それでこそ俺の悪女でファムファタルだ。君の素晴らしさが解るのは、やはり大人の男だけだろうな。君の後ろの青臭いカナン少佐にはまだまだかな?」
「まあ、お父様。カナン少佐と面識がおありだったの?」
「面識はないが、小生意気で有名な若者の名前ぐらい耳に入るさ。」
私は父が紹介もなくカナンの事を見知っていた事に驚きながら振り向くと、当のカナンは物凄く余所行きの笑顔を顔に浮かべた姿でまっすぐに立っていた。
ほんの少しの付き合いだがわかる。
父に青臭いやら色々と言われて、カナンは確実にカチンときているのだ。
カナンは父に対抗するようにして、彼なりの、恐らくここに大叔母がいればとろけてしまうだろう素晴らしい笑顔に表情を変えた。
「青臭い若造ですが、お嬢様の素晴らしさは理解しておりますよ。」
「嘘つけ。だったらここに真っ直ぐ連れて来るか!俺だったらこのまま自分の部屋にでも連れ込んで口説き倒しているというのに。」
「殿下の婚約者にそんなことが出来ますか!」
「俺はしたぞ!この素晴らしき娘の母は、前王の婚約者の一人だった。」
父の実際を知らなかったカナンは蛙を呑み込んだような顔つきとなり、私は父の腕の中で父の物言いに対して頭を抱えた。
前王の若かりし頃には今のクリストファーと同じく婚約者候補が数人おり、選びようがないと悩む親友の為に一人減らしてあげたというのが父の持論だ。
「お父様、話がややこしくなりますから、お父様がわざわざ私に会いに来て下さった理由をお聞かせ願いませんか?」
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この父にしてこの娘あり。
私は父に鼻で笑って見せた。
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