我らが行くはガチャポンな戦場

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オレンジは嫌い

明日に向かって、というかとにかく走れ!

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「やっば。超やっば!」

 犬型怪人が俺に向かって走って来た。
 両手を広げ、まるで、再会した飼い主に抱きつくがごとし!

「抱かれてたまるか!」

 怪人の腕につかまる前に転がり逃げ、そのまま俺は子供達が騒ぐグラウンドではなく、校舎裏となるところへと駆けこんだ。

 ぐああああああん。

 犬はやっぱり犬だ。
 逃げた俺を喜んで追いかけて来た。

「雷光!制御プラグの制御なんとかをそのリンリンにも差してあげて!」

 現怪人で俺の好みの女の子に仕立てられた 美々霧みみむが、犬型怪人の退治法について俺に指示してきたが、なんだそのふわっとした物言いは。

「制御何とかって何?俺は逃げるのに必死なんだけど?」

「ほら、私にあなたが差した。」

 きゃあああ!

 複数の若い女性の大きな悲鳴。
 俺は通信機が入っている右耳を押さえた。

「何が起きた!」

「このあばずれ!やったのね!雷光さんにさされたなんて!」

「あの行方不明の時に、雷光さんはやっぱり淫行で捕まっていたのね。」

「俺は美々霧をやっていないって!」

 思わず叫んだが、この通信機の音声は美々霧の右耳を痛めただけだった。

「うっさい、この馬鹿!とにかくリンリン連れてこちらに戻ってらして!」

「どっちだよ!」

「グランドよ。」

「子供がいるでしょう! 人死ひとじにが出たらどうするの!」

「だって、怪人解除の薬をここにいるリンリンの友が持ってるみたいなんだもの。取りあえずそれで戦闘状態だけは解除しましょう。」

「そんなものあんの?って、おい!」

 ぶつ。
 ぶん。

 通信が切れたと同時に空気を切る音が聞こえ、俺はそのおかげで命拾いができたようだ。

 地面に転がるようにして大きく身を屈め、そのまま右手を地面についてそれを軸にして体の向きを変える。

「うっりゃああああ。」

 ついでに怪人の足を大きく蹴りつけた。

 ずずん。

 着ぐるみ怪人は着ぐるみそのものの様相で真後ろに倒れ、俺はそれが起き上がる前にと再びグラウンドに取って返した。
 走れ、走れ!
 モコモコ怪人は四つん這いになって俺に向かって走って来たぞ!

「ひいい。」

 俺は必死で走り、必死で走った俺が辿り着いたグラウンドには、犬怪人ではない怪人によって女の子達が地面に転がされていた。

「美々霧!なんてことを!」
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