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序章
配属された廊下にて
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班目優斗は、不安定な世情に対応するために大学は法学部に進み、公務員の資格を取って警察庁に入庁する事も出来た。
だが、自分が配属された部署が対妖精案件処理対応執行管理課、通称対妖課だったことで、自分の選択がどこで間違ったのか頭を抱えて悩むしかない。
妖精管理官は、まず魔法使いでなければ事件に対応できやしないのである。
よって、対妖課の妖精管理官は、対妖課のドルイドとしか呼ばれない。
「おかしいよ。童貞だがまだ三十になっていないし、幽霊だって見たことが無い鈍感な俺がどうして対妖課?ドルイドになんなきゃならないわけ?」
班目は自分の手の中にある配属書を何度も見直していたが、そこに印字されている字が変わることはなく、華々しい人生設計が崩れていく音しか聞こえなくなっていった。
「ああ、ちくしょう。どうして五年前に世界が滅びなかったのか!」
班目がぼやく五年前の世界は、一時、存続の危機にあったのである。
妖精界が人間界とエンカウントの上、混ざり合ってしまったからだ。
しかし、混ざってしまったのならば仕方がない。
人と妖精は共生することに決め、人間界は妖精が人権を手に入れて闊歩する世界となってしまったのである。
けれども世界は既存の常識を失った。
そんな世界は所々が綻び、結局として、貧乏くじを引くのは真面目な人間となるのがこの世のさだめ。
人は妖精界に立ち入ることができないのに、妖精たちは大挙して人間界に入り込んできたことで、自由奔放すぎる妖精が巻き起こす悪戯に対処する必要性に迫られたのである。
ではどうするか。
人間は自分達の秩序を守る警察にその仕事を放り投げた。
結果、警察庁は超常現象に対応できる職員を選別して妖精管理官なるものを仕立て上げる必要に迫られ、新たな部署を警察内に設置したのである。
部署の正式名称は、対妖精案件処理執行管理課。
つまり、班目が配属されてしまった部署そのものだ。
「どうして?」
ばん!
背中を大きく叩かれて、班目は驚きながら後ろを振り返った。
そこで班目は目を瞠った。
そこには大柄で派手な男が立っていたのだ。
百七十四センチしかない班目が見上げる事になるぐらいに、班目の背中を叩いた男は長身で、きっと百九十近くはあるのだろうと班目は考えた。
ただし、背が高いから圧倒されたのではない。
その男が目を瞠るぐらいに整った姿形だったからだ。
長身の身体は細身であるが警察官らしく鍛え上げられている上に、手足はモデル並みに長くてしなやかだ。
浅黒い肌に似合う彫りの深い目鼻立ちには、闇夜のような真っ黒の瞳が輝き、髪の毛は烏のように艶やかな黒味である。
そんな美丈夫は班目を見下ろして、ふん、と鼻を鳴らした。
あ、そうか、先輩には挨拶か!
班目はそう気が付いて急いで敬礼をした。
「わたくし、本日より配属となりました、班目優斗と申します!」
男は左手で口元を押さえて、さらに班目を右手で突き飛ばした。
「何を!」
班目は突き飛ばされて気が付いたが、班目がぼやッと立っていたそこは男子トイレの入り口で、美丈夫はそこに駆けこんでいくや、物凄く大きな嘔吐の音を中から響かせてきたのである。
だが、自分が配属された部署が対妖精案件処理対応執行管理課、通称対妖課だったことで、自分の選択がどこで間違ったのか頭を抱えて悩むしかない。
妖精管理官は、まず魔法使いでなければ事件に対応できやしないのである。
よって、対妖課の妖精管理官は、対妖課のドルイドとしか呼ばれない。
「おかしいよ。童貞だがまだ三十になっていないし、幽霊だって見たことが無い鈍感な俺がどうして対妖課?ドルイドになんなきゃならないわけ?」
班目は自分の手の中にある配属書を何度も見直していたが、そこに印字されている字が変わることはなく、華々しい人生設計が崩れていく音しか聞こえなくなっていった。
「ああ、ちくしょう。どうして五年前に世界が滅びなかったのか!」
班目がぼやく五年前の世界は、一時、存続の危機にあったのである。
妖精界が人間界とエンカウントの上、混ざり合ってしまったからだ。
しかし、混ざってしまったのならば仕方がない。
人と妖精は共生することに決め、人間界は妖精が人権を手に入れて闊歩する世界となってしまったのである。
けれども世界は既存の常識を失った。
そんな世界は所々が綻び、結局として、貧乏くじを引くのは真面目な人間となるのがこの世のさだめ。
人は妖精界に立ち入ることができないのに、妖精たちは大挙して人間界に入り込んできたことで、自由奔放すぎる妖精が巻き起こす悪戯に対処する必要性に迫られたのである。
ではどうするか。
人間は自分達の秩序を守る警察にその仕事を放り投げた。
結果、警察庁は超常現象に対応できる職員を選別して妖精管理官なるものを仕立て上げる必要に迫られ、新たな部署を警察内に設置したのである。
部署の正式名称は、対妖精案件処理執行管理課。
つまり、班目が配属されてしまった部署そのものだ。
「どうして?」
ばん!
背中を大きく叩かれて、班目は驚きながら後ろを振り返った。
そこで班目は目を瞠った。
そこには大柄で派手な男が立っていたのだ。
百七十四センチしかない班目が見上げる事になるぐらいに、班目の背中を叩いた男は長身で、きっと百九十近くはあるのだろうと班目は考えた。
ただし、背が高いから圧倒されたのではない。
その男が目を瞠るぐらいに整った姿形だったからだ。
長身の身体は細身であるが警察官らしく鍛え上げられている上に、手足はモデル並みに長くてしなやかだ。
浅黒い肌に似合う彫りの深い目鼻立ちには、闇夜のような真っ黒の瞳が輝き、髪の毛は烏のように艶やかな黒味である。
そんな美丈夫は班目を見下ろして、ふん、と鼻を鳴らした。
あ、そうか、先輩には挨拶か!
班目はそう気が付いて急いで敬礼をした。
「わたくし、本日より配属となりました、班目優斗と申します!」
男は左手で口元を押さえて、さらに班目を右手で突き飛ばした。
「何を!」
班目は突き飛ばされて気が付いたが、班目がぼやッと立っていたそこは男子トイレの入り口で、美丈夫はそこに駆けこんでいくや、物凄く大きな嘔吐の音を中から響かせてきたのである。
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