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■フェーズ:051『もう二度と会えない味』
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Title:『もう二度と会えない味』
「へいらっしゃい!」
元気な女将さんに迎えられ、俺はカウンター席についた。
昭和の風情漂う店内は静かだが、ほぼ満席。
どうやら地元客に愛されているようだ。
「はい、おまっとさん!」
注文した日替わり定食が目の前に置かれ、
俺はそれを夢中でたいらげた。
なんというか涙が出そうになるぐらい美味い。
「そんなに慌てなさんな」
女将さんに笑われ、照れくさくなっていると――。
「今日もいいかい?」
ホームレス風の男性が俺の隣に腰をおろした。
「ったく、また……あんたか」
主人らしき男性が厨房から顔を覗かせ嫌そうな顔をする。
しかし、女将さんは相も変わらずニコニコ笑顔。
「お前さん、お客さんは神様仏様だよ!」
女将さんはホームレス風の男性に「ゆっくりしてきな」と声をかけ、
厨房の奥へ消えて行った。
すると、男性が俺をジロリと睨み、こう呟いた。
「……ここは、お前みたいなヤツが来るとこじゃねぇ。さっさといきな」
「どういう意味ですか?」
不躾な物言いにカチンとくる。
男性はやれやれと肩をすくめ、
「俺みたいになんなってこった……」とだけ返した。
意味が分からない。
というか、もう食い終わったし、
言われなくても帰るさ。
心の中で悪態をついて立ち上がる。
と――そこで気づいた。
食べたはずの定食が、手付かずのまま置かれていることに。
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Title:『もう二度と会えない味』
「へいらっしゃい!」
元気な女将さんに迎えられ、俺はカウンター席についた。
昭和の風情漂う店内は静かだが、ほぼ満席。
どうやら地元客に愛されているようだ。
「はい、おまっとさん!」
注文した日替わり定食が目の前に置かれ、
俺はそれを夢中でたいらげた。
なんというか涙が出そうになるぐらい美味い。
「そんなに慌てなさんな」
女将さんに笑われ、照れくさくなっていると――。
「今日もいいかい?」
ホームレス風の男性が俺の隣に腰をおろした。
「ったく、また……あんたか」
主人らしき男性が厨房から顔を覗かせ嫌そうな顔をする。
しかし、女将さんは相も変わらずニコニコ笑顔。
「お前さん、お客さんは神様仏様だよ!」
女将さんはホームレス風の男性に「ゆっくりしてきな」と声をかけ、
厨房の奥へ消えて行った。
すると、男性が俺をジロリと睨み、こう呟いた。
「……ここは、お前みたいなヤツが来るとこじゃねぇ。さっさといきな」
「どういう意味ですか?」
不躾な物言いにカチンとくる。
男性はやれやれと肩をすくめ、
「俺みたいになんなってこった……」とだけ返した。
意味が分からない。
というか、もう食い終わったし、
言われなくても帰るさ。
心の中で悪態をついて立ち上がる。
と――そこで気づいた。
食べたはずの定食が、手付かずのまま置かれていることに。
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