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第四章・エンド・オブ・ストレンジャーズ
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(これだ……)ふたつの銃口を向けられ青ざめる男を見て、高岡は思った。(こうした行動の思い切りのよさが、こいつを凄腕の<グレイヴァー>であると同時に危険な人物にしているんだ)
「警告はしたぞ。さあ、仕事を受けるつもりがないなら出ていけ」
傷のある男がゆっくりと後ずさりし、部屋をあとにする。ほかの<グレイヴァー>たちもそれに続いて退出していく。
ふたりきりになるなり、高岡は霧子のもとへと歩いていった。椅子に腰かけて天井を仰ぎ見る少女の姿は、ともすれば先ほどの男たちよりも態度が大きかった。
「なにを考えてるんだ?」
霧子は問い詰める高岡を見ると、「いいじゃないか、これで話がすっきりした。口ばっかりの素人連中を雇って困るのはあんたらだろ。それに挑発に乗りやすい性格のおまえが、あの場を収められたとは思えなかったしな」
「そんなこと!」高岡は声を張りあげたが、図星だと気づいて首を横に振った。「おれは承知しないぞ。ブリーフィングを滅茶苦茶にしたどころか、報酬の割り前まで勝手に決めやがって……なによりこんな自殺行為、認められるもんか」
「相変わらず四角四面の考えだな。前職の名残か?」
触れられたくない過去に、またぞろ口を閉ざす。霧子はそんな高岡の態度を気にも留めず続けた。
「認めないとは言うけどな、そんなに悠長に構えていられる場合か?」
「それは……」
言いよどむ高岡をよそに霧子は立ち上がると、出口へと歩き出した。
「決まりだな」ドアのそばで足を止め、霧子が振り返る。「雇えた<グレイヴァー>はわたしだけってことでいいな? 返事が決まったら店にでも連絡してくれ」
「待てよ」立ち去ろうとする霧子の背中に声をかける。「どうしてこんな無茶な仕事の受けかたをする? いままでそんなこと無かったよな? まさか……あの速水とか言うガキのために――」
「そんなんじゃないさ」霧子はそう言うと柔らかく、しかし悲しげに笑った。「ただ調子に乗ってる能無しの同業者が許せなかっただけだ」
じゃあな、と部屋をあとにする霧子を、高岡は呼び止めることができなかった。普段から人を寄せつけない態度が、今日は突き放しているようにさえ思えたからだ。
「わかりやすい嘘つきやがって」ひとり部屋に取り残された高岡は、吐き捨てるように呟いた。「どいつもこいつも、勝手にしろよ……」
「警告はしたぞ。さあ、仕事を受けるつもりがないなら出ていけ」
傷のある男がゆっくりと後ずさりし、部屋をあとにする。ほかの<グレイヴァー>たちもそれに続いて退出していく。
ふたりきりになるなり、高岡は霧子のもとへと歩いていった。椅子に腰かけて天井を仰ぎ見る少女の姿は、ともすれば先ほどの男たちよりも態度が大きかった。
「なにを考えてるんだ?」
霧子は問い詰める高岡を見ると、「いいじゃないか、これで話がすっきりした。口ばっかりの素人連中を雇って困るのはあんたらだろ。それに挑発に乗りやすい性格のおまえが、あの場を収められたとは思えなかったしな」
「そんなこと!」高岡は声を張りあげたが、図星だと気づいて首を横に振った。「おれは承知しないぞ。ブリーフィングを滅茶苦茶にしたどころか、報酬の割り前まで勝手に決めやがって……なによりこんな自殺行為、認められるもんか」
「相変わらず四角四面の考えだな。前職の名残か?」
触れられたくない過去に、またぞろ口を閉ざす。霧子はそんな高岡の態度を気にも留めず続けた。
「認めないとは言うけどな、そんなに悠長に構えていられる場合か?」
「それは……」
言いよどむ高岡をよそに霧子は立ち上がると、出口へと歩き出した。
「決まりだな」ドアのそばで足を止め、霧子が振り返る。「雇えた<グレイヴァー>はわたしだけってことでいいな? 返事が決まったら店にでも連絡してくれ」
「待てよ」立ち去ろうとする霧子の背中に声をかける。「どうしてこんな無茶な仕事の受けかたをする? いままでそんなこと無かったよな? まさか……あの速水とか言うガキのために――」
「そんなんじゃないさ」霧子はそう言うと柔らかく、しかし悲しげに笑った。「ただ調子に乗ってる能無しの同業者が許せなかっただけだ」
じゃあな、と部屋をあとにする霧子を、高岡は呼び止めることができなかった。普段から人を寄せつけない態度が、今日は突き放しているようにさえ思えたからだ。
「わかりやすい嘘つきやがって」ひとり部屋に取り残された高岡は、吐き捨てるように呟いた。「どいつもこいつも、勝手にしろよ……」
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