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相見えしは怪物と少女
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ただただ平凡だった俺の人生は玄関の扉を開けた瞬間終わりを告げた。
この世のものとは思えない異形の者が両親の身体を刃物ようなもので貫いていた。
両親の身体から絶え間なく溢れでる血液を目にした俺は心の奥から何かが弾ける音を聴いた。
それは両親を殺されたことによる怒りで堪忍袋の緒が切れる音でも、両親と築いてきた数ある思い出がしゃぼん玉が如く消える音でもなかった。
ただ単にその異形の者が両親の命を奪ったように今度は俺の命を奪いに来ただけであった。
何かが弾ける音は俺の心の臓が弾けた音だった。途端に視界がかすんでいく。
両親と最期の会話も交わせず、俺と両親を殺した者の正体も分からず、俺は死ぬ。
あぁ、ちくしょう。
◆
「おはよう」
…あ…れ?
女の子声が聞こえた。
その声で起きたのか、俺が起きたから声を発したのか判断つかぬまま俺は瞼をうっすらと開いた。
見知らぬ天井。見知らぬ壁。
身体全体に痛みを感じるなか眼だけで得られる情報はそれしかない。
あと、見知らぬ少女が一人。
少女といっても俺と同じくらいの年なのかな。
寝ている俺のベッドの横で椅子に座っている。
挨拶の主はこの子か。まだ少し眠い。
ってそんなことより━━
ガバッ
「母さんは!?父さんは!?━━っ痛…!」
瞼に乗っかった甘い誘惑を振り払うと同時に身体を無理矢理起こした俺に激痛が走る。
そして、痛みのあまりベッドに倒れ込む。
「おいおいやめておけ。お前さんはさっきまで心臓が破裂しておったのだ。今は私が治してやったから問題ないが、身体が慣れるまで安静にしておくといい」
…なに、なんだって?
この子が俺の心臓を治しただって?
「アンタ何者なんだ?俺の両親は?ここはどこだ?」
「混乱はわからなくもないが落ち着いて聞いて欲しい」
「……あぁ、悪かった」
「お前さんの御両親なら死んだ」
「…………もうちょっと言い方というか」
「ここは私の家だ」
「お、おい……」
「私の名はリーシャ」
「いい加減にしろ!」
「…」
気がついたらまた身体を無理矢理起こしていた。
今度は痛みをそれほど感じない。
否、痛みが気にならない。
それほど憤怒を露にしてしまったのだろう。
あ。
少女…リーシャの顔をよく見ると両の頬に涙の軌跡が出来ていた。
やってしまった。
女の子を泣かせるとは情けない。
「……あ、あのすまん。本当にすまん。その…」
「いや、違うんだ。心配するな。お前さんの叱責で泣いたのではない。
お前さんとお前さんの御両親が殺された現場に行ったときから何故だか涙が出るのだ」
「……?」
わからないことが多すぎる。
俺の人生こんなに難しかったかな?
「ここは俺の家からどのくらいの距離なんだ?
あの変な化け物から匿ってくれて嬉しいんだけど、死んでるとはいえ両親に会いたいんだが」
正直、現実を受け止めきれていないので
ここで一度状況をはっきりさせたかった。
「距離…か、そうだな。先に言うべきだったな」
「え?」
「ここはお前さんのいた世界とは違う世界だ」
…?ますますわからない。
外国ってことか?
「言ってしまえば異世界だよ。お前さんの世界の文化にあるじゃろ?『あにめ』や『まんが』によくある話だよ」
「な…⁉」
別世界ってことなのか。
この部屋の空間だけでなく、この建物の外まで全部が全部。
俺のいた世界と違う世界?
「私があの現場に駆けつけたときにはお前さんの言う化け物はもう逃げていた。というよりは用が済んだから帰ったのだろう」
「駆けつけたって……お前まさか」
「あぁ」
リーシャは軽く頷きながら語り出す。
「私はあの化け物を追っておる。
お前さんとお前さんの御両親を殺したあの化け物を追っておる」
大事なことは二度言うというが
リーシャの言葉にはどこか重みが違う気がする。
「もう一年になるか…一向に捕まる兆しがない。
今回はイケるかと思ったが残念だった」
「リーシャはこの世界の警察みたいなものなのか?」
「警察…?あぁ、こちらの世界ではそういうのは居ないんだ。
全くお前さんの世界が心底羨ましいよ。
こっちでは罪を犯したものは被害者やその遺族の怨恨により殺されるか。英雄気取りの賞金稼ぎにやはり殺されるかだからな。」
この世界の文化とやらに少し興味が湧いてきたが、今はそれどころではない。
俺はリーシャの話を聞きながら
自らが置かれている状況を整理していくことにした。
「疑問というか質問なんだが、リーシャの世界には魔法みたいなものはないのか?」
「魔法はもちろん、錬金や占術、怪しげな儀式があるぞ」
「占術!それだよそれ!それで、あの化け物の未来を読めないのか?」
一番手っ取り早く、便利な方法があるならば
使わない手はない。
「当然試したよ何度も何度も、だが駄目だった。私が思うにあの化け物、自分に対魔法の術をかけているのだろう。」
「……そうか」
素人の浅知恵だったな。
あ、そうだ。
「そういえば、俺をどうやってこの世界に連れてきたんだ?」
意識がなかったので全くその辺のところはわからない。
「簡単なワープゲートだよ。入口と出口を作ってそこを通るだけ」
「めちゃくちゃ便利じゃん。
なのにあの化け物を捕まえることが出来ないのか?」
「魔法にも条件があってな。
私のワープゲートは魔力の欠片を元に精製されている」
なにやら小難しい話になってきた。
「ここは私がいた世界だし、そもそもこの家は私の魔力で満ちているワープゲートの入口は簡単に作れる。」
ふむ。
「問題は、お前さんの世界でワープゲートを作るとなるとどうなるか」
「魔力の欠片すらない」
「その通り」
そういう世界だもの。
「じゃが、唯一作れる方法が皮肉にも出来たのだ。」
「……そうか。あの化け物か」
「察しがいいのう」
あの化け物が魔力を纏っているため
それをたよりに俺のいた世界に来れていると言うことか。
対魔法の魔法をあの化け物は纏っている。
「待てよ、皮肉にも出来たのだって、リーシャ。お前は一度俺のいた世界に来ようとしたのか」
「あぁ、そうだ。知恵のある者を探しにな
あの化け物を追う手伝いをしてもらいたくてな」
「知恵…?そんなの魔法だのなんだの扱うこの世界の住人のほうがよっぽど頭がいいんじゃ?」
「いや、我々は先人たちが築き上げた叡智の結晶をただ使っているだけだ、決められた詠唱を唱えているだけだ。なにも学ばない、なにも考えようとしない。」
リーシャは首を横に振りながら呆れた顔と声で答えた。
まるで、自分に言い聞かせるかのように。
「お前さんの世界と似たようなものだよ。
何だったかなあの板…け、けた、あ!そうそう『けえたい』だ」
けえたいってケータイ。
携帯電話を指しているのだろう。
「あれだって作った人間は頭が良いが時代と共に使う人間ばかり増え仕組みもよく理解せず、ただ便利だなぁっと思って使っている人間多いだろ?それと同じだよ」
あぁまあはい、そうです。
俺もその人間の一人だ。
「俺のいた世界で知恵のあるものを探そうにもあの化け物がいたところでないとワープゲートが作れないってことか」
自由に行ったり来たりできないのは不便だな。
「お前さんの世界に留まって探しに行ってもよいのだが
それだとあの化け物の魔力の欠片が次第に薄まり消えてなくなってしまう。
そうなるとワープゲートを作れなくなる。
元の世界に帰れず、次回あの化け物を追うことも叶わなくなる」
俺のいた世界では長時間の滞在が無理と言うことか。
「今回はイケるってリーシャ言ったよな。勝算があったのか?」
「ワープゲートを作る時間は
私のいるこの世界、この私の家で約1秒ほど。
対してお前さんの世界だと約10秒ほど。
その間にあの化け物には逃げられておるのだがな。
……私にもよく分からない現象なのだが何故だか今回に限りお前さんの家でワープゲートの精製時間が約3秒ほどだった。
故に、今度こそ捕まえられると思ったが」
「あの化け物のほうがよっぽど速かったってのか」
「うむ」
俺の家ではワープゲート精製速度が速かった…か
「なあリーシャ。偶然だか運命だかわからんがお前が俺を助けてくれたのには意味があると思う」
「どういうことだ?」
「お前、知恵のあるものを探してんだよな。でも、あの化け物がいる場所にしかワープ出来ないから、なかなか巡り会えない。」
「…そうだ」
悲しそうな顔をするリーシャに俺は微力ながら助けとなる事実を打ち明ける。
「実は俺……探偵やってるんだ。俺に依頼してみないか?」
この世のものとは思えない異形の者が両親の身体を刃物ようなもので貫いていた。
両親の身体から絶え間なく溢れでる血液を目にした俺は心の奥から何かが弾ける音を聴いた。
それは両親を殺されたことによる怒りで堪忍袋の緒が切れる音でも、両親と築いてきた数ある思い出がしゃぼん玉が如く消える音でもなかった。
ただ単にその異形の者が両親の命を奪ったように今度は俺の命を奪いに来ただけであった。
何かが弾ける音は俺の心の臓が弾けた音だった。途端に視界がかすんでいく。
両親と最期の会話も交わせず、俺と両親を殺した者の正体も分からず、俺は死ぬ。
あぁ、ちくしょう。
◆
「おはよう」
…あ…れ?
女の子声が聞こえた。
その声で起きたのか、俺が起きたから声を発したのか判断つかぬまま俺は瞼をうっすらと開いた。
見知らぬ天井。見知らぬ壁。
身体全体に痛みを感じるなか眼だけで得られる情報はそれしかない。
あと、見知らぬ少女が一人。
少女といっても俺と同じくらいの年なのかな。
寝ている俺のベッドの横で椅子に座っている。
挨拶の主はこの子か。まだ少し眠い。
ってそんなことより━━
ガバッ
「母さんは!?父さんは!?━━っ痛…!」
瞼に乗っかった甘い誘惑を振り払うと同時に身体を無理矢理起こした俺に激痛が走る。
そして、痛みのあまりベッドに倒れ込む。
「おいおいやめておけ。お前さんはさっきまで心臓が破裂しておったのだ。今は私が治してやったから問題ないが、身体が慣れるまで安静にしておくといい」
…なに、なんだって?
この子が俺の心臓を治しただって?
「アンタ何者なんだ?俺の両親は?ここはどこだ?」
「混乱はわからなくもないが落ち着いて聞いて欲しい」
「……あぁ、悪かった」
「お前さんの御両親なら死んだ」
「…………もうちょっと言い方というか」
「ここは私の家だ」
「お、おい……」
「私の名はリーシャ」
「いい加減にしろ!」
「…」
気がついたらまた身体を無理矢理起こしていた。
今度は痛みをそれほど感じない。
否、痛みが気にならない。
それほど憤怒を露にしてしまったのだろう。
あ。
少女…リーシャの顔をよく見ると両の頬に涙の軌跡が出来ていた。
やってしまった。
女の子を泣かせるとは情けない。
「……あ、あのすまん。本当にすまん。その…」
「いや、違うんだ。心配するな。お前さんの叱責で泣いたのではない。
お前さんとお前さんの御両親が殺された現場に行ったときから何故だか涙が出るのだ」
「……?」
わからないことが多すぎる。
俺の人生こんなに難しかったかな?
「ここは俺の家からどのくらいの距離なんだ?
あの変な化け物から匿ってくれて嬉しいんだけど、死んでるとはいえ両親に会いたいんだが」
正直、現実を受け止めきれていないので
ここで一度状況をはっきりさせたかった。
「距離…か、そうだな。先に言うべきだったな」
「え?」
「ここはお前さんのいた世界とは違う世界だ」
…?ますますわからない。
外国ってことか?
「言ってしまえば異世界だよ。お前さんの世界の文化にあるじゃろ?『あにめ』や『まんが』によくある話だよ」
「な…⁉」
別世界ってことなのか。
この部屋の空間だけでなく、この建物の外まで全部が全部。
俺のいた世界と違う世界?
「私があの現場に駆けつけたときにはお前さんの言う化け物はもう逃げていた。というよりは用が済んだから帰ったのだろう」
「駆けつけたって……お前まさか」
「あぁ」
リーシャは軽く頷きながら語り出す。
「私はあの化け物を追っておる。
お前さんとお前さんの御両親を殺したあの化け物を追っておる」
大事なことは二度言うというが
リーシャの言葉にはどこか重みが違う気がする。
「もう一年になるか…一向に捕まる兆しがない。
今回はイケるかと思ったが残念だった」
「リーシャはこの世界の警察みたいなものなのか?」
「警察…?あぁ、こちらの世界ではそういうのは居ないんだ。
全くお前さんの世界が心底羨ましいよ。
こっちでは罪を犯したものは被害者やその遺族の怨恨により殺されるか。英雄気取りの賞金稼ぎにやはり殺されるかだからな。」
この世界の文化とやらに少し興味が湧いてきたが、今はそれどころではない。
俺はリーシャの話を聞きながら
自らが置かれている状況を整理していくことにした。
「疑問というか質問なんだが、リーシャの世界には魔法みたいなものはないのか?」
「魔法はもちろん、錬金や占術、怪しげな儀式があるぞ」
「占術!それだよそれ!それで、あの化け物の未来を読めないのか?」
一番手っ取り早く、便利な方法があるならば
使わない手はない。
「当然試したよ何度も何度も、だが駄目だった。私が思うにあの化け物、自分に対魔法の術をかけているのだろう。」
「……そうか」
素人の浅知恵だったな。
あ、そうだ。
「そういえば、俺をどうやってこの世界に連れてきたんだ?」
意識がなかったので全くその辺のところはわからない。
「簡単なワープゲートだよ。入口と出口を作ってそこを通るだけ」
「めちゃくちゃ便利じゃん。
なのにあの化け物を捕まえることが出来ないのか?」
「魔法にも条件があってな。
私のワープゲートは魔力の欠片を元に精製されている」
なにやら小難しい話になってきた。
「ここは私がいた世界だし、そもそもこの家は私の魔力で満ちているワープゲートの入口は簡単に作れる。」
ふむ。
「問題は、お前さんの世界でワープゲートを作るとなるとどうなるか」
「魔力の欠片すらない」
「その通り」
そういう世界だもの。
「じゃが、唯一作れる方法が皮肉にも出来たのだ。」
「……そうか。あの化け物か」
「察しがいいのう」
あの化け物が魔力を纏っているため
それをたよりに俺のいた世界に来れていると言うことか。
対魔法の魔法をあの化け物は纏っている。
「待てよ、皮肉にも出来たのだって、リーシャ。お前は一度俺のいた世界に来ようとしたのか」
「あぁ、そうだ。知恵のある者を探しにな
あの化け物を追う手伝いをしてもらいたくてな」
「知恵…?そんなの魔法だのなんだの扱うこの世界の住人のほうがよっぽど頭がいいんじゃ?」
「いや、我々は先人たちが築き上げた叡智の結晶をただ使っているだけだ、決められた詠唱を唱えているだけだ。なにも学ばない、なにも考えようとしない。」
リーシャは首を横に振りながら呆れた顔と声で答えた。
まるで、自分に言い聞かせるかのように。
「お前さんの世界と似たようなものだよ。
何だったかなあの板…け、けた、あ!そうそう『けえたい』だ」
けえたいってケータイ。
携帯電話を指しているのだろう。
「あれだって作った人間は頭が良いが時代と共に使う人間ばかり増え仕組みもよく理解せず、ただ便利だなぁっと思って使っている人間多いだろ?それと同じだよ」
あぁまあはい、そうです。
俺もその人間の一人だ。
「俺のいた世界で知恵のあるものを探そうにもあの化け物がいたところでないとワープゲートが作れないってことか」
自由に行ったり来たりできないのは不便だな。
「お前さんの世界に留まって探しに行ってもよいのだが
それだとあの化け物の魔力の欠片が次第に薄まり消えてなくなってしまう。
そうなるとワープゲートを作れなくなる。
元の世界に帰れず、次回あの化け物を追うことも叶わなくなる」
俺のいた世界では長時間の滞在が無理と言うことか。
「今回はイケるってリーシャ言ったよな。勝算があったのか?」
「ワープゲートを作る時間は
私のいるこの世界、この私の家で約1秒ほど。
対してお前さんの世界だと約10秒ほど。
その間にあの化け物には逃げられておるのだがな。
……私にもよく分からない現象なのだが何故だか今回に限りお前さんの家でワープゲートの精製時間が約3秒ほどだった。
故に、今度こそ捕まえられると思ったが」
「あの化け物のほうがよっぽど速かったってのか」
「うむ」
俺の家ではワープゲート精製速度が速かった…か
「なあリーシャ。偶然だか運命だかわからんがお前が俺を助けてくれたのには意味があると思う」
「どういうことだ?」
「お前、知恵のあるものを探してんだよな。でも、あの化け物がいる場所にしかワープ出来ないから、なかなか巡り会えない。」
「…そうだ」
悲しそうな顔をするリーシャに俺は微力ながら助けとなる事実を打ち明ける。
「実は俺……探偵やってるんだ。俺に依頼してみないか?」
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