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交わり不要説

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イブに雨乞いの儀について詳しく聞いたところ、ネオがくれたリンゴを食べて力が湧いたという話だった。


アーサーにはリンゴよりも

「ネオ」の方が引っかかった。


単純に考えて、

好きな相手に励まされて、

力が湧いた。


聖女の力とは、単純にそういうことなのではないだろうか。


【恋する気持ちが、雨を降らせる】


イブが今まで全く雨を降らせることができなかったのは、恋をしたことがなかったから。


そう考えれば辻褄があう。


アーサーの母である前聖女が十歳から雨を降らしまくっていたのは、

父である国王のことがすでに大好きだったから。


二人がどれほどおしどり夫婦であったかは、アーサーがよく知っていた。


早くから好きな相手がいた。

そのために雨が降りやすかっただけではないか?

相手がたまたま王族だっただけ。


聖女の力を支配するために、

王族の血との「交わり」は本当に必要か?


「え、聖女様、恋文の意味わかってます?」

「こんな感じでしょう?」

「いや全然違いますよ?!おはようで終わってどうするんですか!」

「え?」


アーサーは足を組み替えて、可愛い幼なじみたちが恋文に奮闘する様子を見ながら考える。


(「王族との交わり不要」説。これ、大いにあるね。僕にとっては最高に都合がいい)


今日の儀式の成功を得て、アーサーには王族不要仮説が立っていた。



しかし、今まで権威としてきた「王族と聖女の交わり」を無意味だと国王に訴えて、聞き入れられるほど政は甘くない。


ましてや、前聖女に力を与えたと誇っている国王に「王族と聖女の交わり不要説」を認めさせるのは、もはや不可能に近い。


(国王を動かすには別の考えが必要として。

とにかく交わり不要説を証明したい。要調査だね)


「見てニナ!できたわ!」


可愛い幼なじみ二人がああでもないこうでもないと恋文議論を続けるが、ニナの口があんぐり開いてしまった。


「恋文なのに朝ご飯の内容しかない!!なぜ?!」


アーサーは考え事に耽りつつソファに移動して、足を組み、恋文議論に聞き耳も立てる。王子たるもの忙しくてかなわない。


(聖女は文才死んでるけど、打つ手は本当に恋文でいいのかな?)

 

   
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