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ガロード編■魔法都市
25.謀反
しおりを挟むリディ隊が壊滅した頃、そんな事などつゆ知らず、回復隊のリリアーナと特殊隊のディラルドのパーティは共に行動し、魔法が効かないオークゾンビ達に対して圧倒的な戦力を持って駆逐していた。
特殊隊の魔法無効化打ち消しは絶大で、オークゾンビ達が本来の『勝てる』モンスターと化していた。
そして、100体ほどのオークゾンビを殲滅して疲労が溜まってきた頃に、彼らは行動に出た。
「ベティ、レック、奴さん達に魔封じをしたまえ!」
「ブラムスとセリアは奴らの魔力を根こそぎ奪え、殲滅は私がやるからねえ!」
特殊隊リーダーのディラルドは軍でも随一の、優秀な参謀だ。
常に周りを警戒しているような長い前髪から覗く目が上下左右にせわしなく動き、瞬間的に状況を判断する特技を持っている。
一見マッドサイエンティストのような風貌だが、冷静沈着で、信頼も厚い。
軍が発足した頃からアラドを支える彼は、誰よりもナハトヴァールを気にかけていた。
メンバーがなかなか集まらない時も、どこからか優秀な人材を連れてくる彼の手腕をアラドも大きく買っており、誰よりも信用していた。
だから、アラドも、リディも、リリアーナも、誰も気付かなかった。
特殊隊は、全員ディラルドが集めたことを。
そのディラルド隊が謀反を起こそうとしていたことを。
「ナスチャ、リリム、どうしたの!?」
リリアーナが、急に脱力して座り込んでしまったパーティメンバーに声をかける。
「分からないの、突然魔力が無くなってしまって」
「私もほとんど魔力が残ってないんです、どうしてしまったのでしょうか」
ナスチャとリリムが揃って口にするのは、『突然魔力が尽きた』だった。
一体何が──
その瞬間、リリアーナの持つ杖から青白い光が流れ出し、一直線に飛んでいった。
「っっ!!」
咄嗟に魔道具から手を離すと光の流出は収まったが、彼女の魔力も大半が流れ出てしまったようで、杖の先端に埋め込まれたハルキゲニアがチカチカと点滅している。
流れた魔力が向かう先は──
──ディラルド隊のメンバー達の杖に入り込んでいく!!
「ディラルド、どういうつもり!?魔力がなくなったら誰が回復を」
「うるさいねえ!」
ディラルドの杖が灰色に光ると、リリアーナに向かって魔法陣が描かれた。
「──石化魔法!?」
リリアーナは反射魔法を唱えようとしたが魔力が足らなかったのだろう、魔法陣が一瞬描かれ、すぐに消えてしまった。
灰色の光とともに、神経が全て抜かれてしまったかのように身体が動かなくなる。
「ガ、ロ、ド」
石像に変えられた彼女の最後の言葉は、最愛の恋人には届かなかった。
その後は、もうメチャクチャだった。
魔力が尽きた残りの4人は、リリアーナを失ったパニックで逃げ出そうと走り出したが、無駄だった。
魔法が封じられた彼女達は、赤子も同然だった。
ディラルドが放った真空魔法でズタズタに切り裂かれ、動けなくなったところを灼熱魔法で焼き尽くされて消滅した。
「クックック......リリアーナ、すまないねえ!」
リリアーナは返事をすることなく、固まったまま立ち尽くしていた。
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