書きの種 ’25(エッセイ)

佐藤遼空

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『チコちゃん』が神回!?

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今回の『チコちゃんに叱られる!』は、僕的には神回だった。いや、素晴らしい内容だった!

まず最初が「~君」の「君」ってなに? だ。結論から言うと、これが松下村塾発祥の呼び名だと言うではないか! えぇっ!? ホントに? そんな事あるの? にわかには信じがたい。

で、何故、松下村塾では「~君」と呼ぶようになったか? それは塾生の中には武士もいれば、町人、百姓もいる。そんな中で、吉田松陰が「忌憚なく意見を出したまえ」とか言っても、目上の人には「~様」、目下には「~殿」と呼ぶような関係では、身分の差が意見に反映してしまう。

その身分の壁を打破するために松陰が言い出したのが、全員を「~君」と呼ぶ方式、なのだそうだ。そしてこの身分の一番下にいたのが、伊藤博文だ。伊藤博文が直接関わったかどうかは判らないが、現在でも国会では、議員を「~君」と呼んで発言を求める。ああいうところから「~君」がまず認知される。

そしてその後、書生たちの間で、お互いに「~君」と呼ぶような文化が広まった。ここまで来ると、ちょっと見知った感じだ。そして驚いた事に、相手を「君」、自分の事を「僕」という言葉使いも、松下村塾から始まったことらしい。マジか! もう……「僕」「君」は、僕のアイデンティを形成する呼称だ。これぬきには、僕の自己形成は考えられない。――という訳で、今回は神回なのだ。

が! もう一つ、凄かった。それは「映像に音楽をつける」という事の効果の検証だ。岡村くんが局に来て挨拶をし、楽屋に入り、本番に臨む。それだけのなんでもない映像を見た後で、その映像にスガシカオの歌がつけられる。……あれ? これ『仕事の流儀』? なんか岡村くんが凄い人で、一仕事終えた感が出るから不思議だ。

解説によると、音楽がつくと、人は『自分の意識』に集中するのだそうだ。つまり、見てる映像それ自体より、それにより自分の記憶や感情を喚起されるのである。それが深い感動につながるのだそうだ。実に興味深い。人は他者の情報には注意深くなってしまって、それを処理するのに懸命になってしまう。感動というのは、自分へのフィードバックなのだとは、新鮮な驚きだった。
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