書きの種 ’25(エッセイ)

佐藤遼空

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若冲と応挙がコラボ!?

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『歴史探偵 天才絵師 若冲と応挙』を見た。まず驚いたのは、伊藤若冲と丸山応挙の二人が、ひとつながりの屏風に絵を描いたものがある、という事だ。まったく、知らなかった。え~っ! そんなものがあるの? とか思った。

その一枚、若冲の方は、いかにも若冲らしい鶏の絵。眼が鋭く、足が凛々しい。羽が猛々しくてカッコいい! これぞ、若冲! という感じの躍動感あふれる絵だ。

対して応挙の方は、梅の下に二匹の鯉。この鯉の立体感が凄い。応挙の写実、ここにあり、という一枚だ。しかしこの二人が一枚に描くとは、どういうこと? そんな贅沢な話あるの!? と最初は驚いた。

しかし番組の中で語られたのが、二人がビックリするほどの近所なこと。京都の歩いて三分くらいのところに、二人は住んでいた。解説の人が言うのは、「なじみの店があったら、まずかぶるくらい近所」という事だ。そうかあ、二人が知り合いだった可能性もあるのか。

それで二人の画業のそれぞれをたどっていくのだが、若冲が影響を受けた中国の画家が紹介された。そういう画家がいるというのが驚きだったし、またその画家の絵に出てくる、猫の目つきが凄かった。それは若冲が今まで見た事がなかった『写実的』な絵だった。

その写実に追いつくために若冲がとった手段は――なんと、鶏をめっちゃ飼うこと! めっちゃ飼ったらしい。そして観察! 観察の後は描きまくる! そうやって、あの若冲の超絶技巧が生み出された。

が、若冲はただ写実なだけではなく、それにプラスした独自の世界を展開した。若冲の掛け軸が紹介されていたが、どういう訳か、鶏の首がぐるっと曲がってうねっている。普通の写実ではない。僕はちょっとその感じ、荒木飛呂彦を想い出した。

応挙の方は、二次元の絵にいかに三次元の奥行きを出すか、という観点から考察されていた。ダ・ビンチがやった、遠いものが青くなる、というような技法に近いことを、独自にやっていたらしい。応挙も若冲も、凄かった。
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