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01 だって目立つから

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「何か、なんでもいい、我に手伝えることはないか⁉︎」

「そんなことをおっしゃられましても」

 契約の申し出を丁重にお断りしての、さらなる竜からの申し出に困惑する一方のシファは、小首を傾げて相手を見上げる。

 その考える仕草に、相手がずずいと身を乗り出してくる。

 そうされるだけでも大した威圧感である。結界を張っていなければ、熱に焼かれるか光に目を射られるか、ろくなことにならないだろう。

 そんな、ただそこにいるだけで、周りに負荷を強いる存在に手伝って欲しいことなど、シファには思いつかない。

 もし、付いて来られなどしたら目立つことこの上ない。

 どちらかと言えば、否、はっきりきっぱりと邪魔であろう。

 だから、シファは言う。

「間に合っております」
「おおおおっ」

 シファの素気無い返事に、竜王と名乗る魔山の主は、ついに地面に突っ伏した。
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