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第四章 王国へ
17 破壊無くして
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かつて何があったか、当時幼かった宰相夫人の記憶は曖昧だ。
ただ、ここは酷いところだった。それだけは、はっきりしている。辿ればもっと思い出すこともあるだろうが、それを思い出すべきか否か、夫人は逡巡する。その夫人に声がかかる。
「久しいなシファ」
上機嫌な東の先代を前に、シファこと宰相夫人が礼をとる。
「お久しぶりにございます。先の宮様には長の間ご挨拶も申し上げませず、」
続けようとした夫人を遮って東の先代が言う。
「口上はいい、かかれ」
「かしこまりました」
他に何の指示もない。
しかし即座に詠唱に入った夫人は、当然のように東西の連合軍と北の宮の近衛隊、この討伐に集まった全ての者に防御の術をかけ、同時に辺り一帯に探知の結界を仕掛けていく。
往時には帝国で最も堅いと言われた南の宮の砦跡は、滅びて今なお威容を誇る。その巨大な城壁が、宰相夫人の結界によってあっという間に覆われてゆく。
夫人の流れるような詠唱が、前触れなくふっと途切れる。
そうしてトン、と夫人が槍で地面を打つと、空気が震えた。何だと思うまもなく、今度は攻撃の結界だろう、同時に二つ、見える者にはそれ以上の数の術を無詠唱で素早く展開していく宰相夫人に、兵たちは呆気にとられる。
ある者は「ザイ様みたいだ」とささやき、ある者は在りし日のカイルを思い出し唇を噛む。
そのうちに異様な、おそらくは魔物の断末魔と思われる嫌な咆哮が立て続けに響き渡り、やがて止む。
それを合図にか、東の先代が宰相夫人に問う。
「見えたか」
「地下に。……砦の地下にございます」
「地下か……」
やはりな、と呟く先代はしばらく思案する。
「お前は近衛と共に見届け役として、ここにおるか?」
「私もお連れくださいまし。そのつもりで参りました」
「ほう」
「ですが、私にとっては久しぶりの外向きのこと。多少の無作法はお見逃しくださいまし」
「はは、今になって、俺はお前を指名したことを後悔したぞ」
若い兵たちが分からない顔をしている。先々帝の御代を知る古強者どもと北の宮の近衛たちは、苦笑いをする。
「ならば行くか。東の一列、シファにつけ。我が帝国が宰相夫人の髪一筋でも損なえば命はないと思え。
西の軍には砦の外側からの支援をお願いしたい。残りは三方に分かれる」
先代の指示が続く中、するりと東の先代の隣に付く宰相夫人を、近衛達は見送った。
※
それから半日。
旧南の宮の砦の一角が崩れていた。一角とはいえ、大層な瓦礫の山である。
それらを手分けして片付ける新兵たちは、一様に言葉少なだった。
「……凄かったな」
「……先代様はいつものことだけど」
「あの槍、どうせ演出だろ? とか思ってた自分を殴りたい……」
穂先に魔力を乗せずとも、十分威力がありそうな宰相夫人の槍術に慄いた兵は少なくない。
東の先代と宰相夫人によって上級の魔物共の首が次々と刎ねられる様は、凄まじいなどといったものを通り越して、滑稽でさえあった。
「西の人に聞いたんだけど、あの奥方さま、西の宮さまの槍の師匠だったらしいよ?」
「まじか。そりゃ強えはずだわ」
「あんな強え人がお母さんだったら、ザイ侍従みたいになるのかな……」
「あんな人がお母さんだったら……?」
絶対悪いことできねえ、と兵達は想像して震え上がる。
そして、兵達の誰となく言う。
「俺たち、必要なかったんじゃ……」
そこに指揮官が晴れやかに通りかかった。
「お前たち呆然としている暇ないぞー。明日からは演習だ!」
「演習?」
聞いてたか? と確かめ合う兵たちに指揮官が無情に告げる。
「先程正式決定となった。東西の軍と近衛の合同演習。あと一週間、先代様のしごきが待っている」
「……そ、」
「討伐予定の一週間の予算は元から下りているからな、それを使って残りは演習をやろうというわけだ。返上の予算やらの手続きは面倒だしな!」
指揮官がカラカラと笑う。
──指揮官殿、事務っぽいこともちゃんとして!
──面倒とか言ってんじゃねえ!
新兵たちの心の叫びは、滂沱の涙に流れた。
※
夕餉の天幕には先代の宮と宰相夫人、そして、それぞれの従僕がいる。特に人払いをされないことに先代の従僕が気を揉む。しかし、東の先代が楽しげに言う。
「また妙な噂になっては困るからな。この年でまさかと思うだろうが、前の時、お前は十にもならぬ子どもであったのにあの噂だ。あれは往生した」
それに、宰相夫人は苦笑を漏らすだけである。
「何か俺に言いたいことがあるか?」
「まさか、ございません」
今度はころころと笑う宰相夫人に先代も片頬をあげる。それは今上にも似ていて、夫人はますますおかしく思う。
「あのお小さかった殿下が宮に。その上、ザイがお仕えするようになるとは、思いませんでした」
「お前の眼鏡には敵わなかったようだが?」
「世の噂など、あてにならぬものでございましょう? 私ではお役に立てぬと思うただけにございます」
そう言って夫人は、今度は少し寂しそうに微笑む。
「先代さまが早々に宮を降りられるとは思いませんでした」
「不満そうだな」
やはり言いたいことがあるのだろう? そう笑う先代にシファもまた笑う。
ここへ来る前は、先代に対して思うところのあった夫人だったが、ひと暴れした後は違っていた。やはり、自分は暇にするとろくなことを考えないらしい。
「こわいことはおっしゃらないで下さいまし。ただ……」
夫人の顔から笑顔が消える。
「……私は、あなた様に頼り過ぎていたと……」
カイルとともに東に保護されて以来、夫人は反発しつつもこの先代の宮をどこか拠り所にしてしまっていた。
カイルを失って、道標をなくしたように考えたのはザイだけではなかった。
ザイと自分はさほど変わりないと夫人は思う。
夫も実のところはそうだ。歳を取った分、隠すのがうまいだけだ。
その日その日をどうにかやり過ごし、倒れまいと踏ん張っている。先の東の宮にはそれを見抜かれているはずだが、この御仁は隠遁を決め込んでだんまりを続けている。
「恨むか」
「いいえ。我が身が歯痒いだけにございます」
ザイが侍従にふさわしいかどうかなど、この御仁に確かめるべきことではなかった。
ザイを信じなくてどうする。
帝国の未来を今上に託さなくて一体誰に託す?
かつて夫人が仕えた先々帝が、先帝とその臣下に全てを託して逝ってしまったように、先帝とカイルもそうしたのだ。
夫によると、カイルが今上に向けた最期の言葉はこうだった。
──文句が山程もおありでしょうが、後はお任せします。どうぞ、ご自由に。
それは彼の偽らざる本心だろう。北の宮を誰より恨み、しかし最期は殉じたカイルを夫人は哀しく思う。
しかし今上とザイにそれぞれ言付けが出来たことは、カイルにとって幸せだっただろう。その言付けが、今はそれぞれ彼らを苦しめるものであっても。
この先代もまた、ガレスを手放し、弟宮に東の宮を譲り渡した後、宮との関わりを殆ど持たなくなった。
──後はどうとでもやれ。栄えるも滅ぶも勝手にしろ。
この宮は笑ってそう言うのだろう。夫人には到底出来ないと思う。
先日宰相邸に訪れたセラと話をするまでは、今更北の宮になど決して関わるまいと思っていたのに。
「シファよ」
東の先代が意地の悪い笑みを浮かべていう。
「儘ならんなあ?」
先代の宮は楽しそうである。いつだってこの方はそうだと、夫人は思い出す。カイルも夫も、この方には散々に振り回されていた。リヒトなど言うまでもない。
夫人はそれを嫌がってこの宮とは距離をとってきたつもりだったが、それもこの宮からは面白く思われていたことだろう。全くままならないことだ。
「はい。そのようでございます」
「なんだ、えらくしおらしいではないか」
「私も歳を取ったのでございます」
「丸くなったとでも? そんな奴がリヒトを吊し上げたりするものか」
「でもリヒトさんですもの」
「それもそうか」
念のため今は護衛として宰相邸に詰めているリヒトが聞いたら何を思うだろう?
控える双方の従僕は遠い目をするのだった。
先代と宰相夫人の語らいは、夜半まで続いた。
※
翌朝、演習が始まった。場所は砦ではなく、そこから少し離れた平原に陣を移して行われた。砦の修復も並行して行われたそれは、遠征先での実戦を想定してのもの。
機動力こそ大きく劣るものの、カイルやザイとほぼ同じ技を使える宰相夫人である。彼女の展開する結界を中心に陣形のすり合わせが行われた。
その演習で想定されている遠征先はどこなのか?
そんなことを思う暇さえないほど、兵たちは追い込まれた。
※────
演習初日の若年兵&新兵の皆さん
「誰だよ砦修復班のが楽とか言った奴!」
「てめえだろがうるせえ伏せろ」
「先代様の奇襲あるかもとか聞いてない!」
「誰かリヒト様、リヒト様呼んで止めてもらって!」
「無理無理無理あの人自体俺らじゃ捕まらないから!」
「ちょっ、なんか砦外の右翼丸ごと消えてんですけど⁉︎」
「うそ⁉︎」
「よそ見すんな落ち着け構うな夫人の罠だ! あれザイ様も使う目眩しのやつだから! ちゃんと右翼いるから!」
「本当に⁉︎ 本当ですか⁉︎ えと、なんだか左翼抜かれてるっぽいのもそうですか⁉︎ 目眩し⁉︎」
「……いや。あれは今し方抜かれたようだ……」
「ってうわ本当だ先代様の部隊来てるー! 怖いー!」
「守れー! お止めしろー!」
「無理ー!」
こんなだったのが、躾けられて一週間後は淡々と対処するようになります。
ただ、ここは酷いところだった。それだけは、はっきりしている。辿ればもっと思い出すこともあるだろうが、それを思い出すべきか否か、夫人は逡巡する。その夫人に声がかかる。
「久しいなシファ」
上機嫌な東の先代を前に、シファこと宰相夫人が礼をとる。
「お久しぶりにございます。先の宮様には長の間ご挨拶も申し上げませず、」
続けようとした夫人を遮って東の先代が言う。
「口上はいい、かかれ」
「かしこまりました」
他に何の指示もない。
しかし即座に詠唱に入った夫人は、当然のように東西の連合軍と北の宮の近衛隊、この討伐に集まった全ての者に防御の術をかけ、同時に辺り一帯に探知の結界を仕掛けていく。
往時には帝国で最も堅いと言われた南の宮の砦跡は、滅びて今なお威容を誇る。その巨大な城壁が、宰相夫人の結界によってあっという間に覆われてゆく。
夫人の流れるような詠唱が、前触れなくふっと途切れる。
そうしてトン、と夫人が槍で地面を打つと、空気が震えた。何だと思うまもなく、今度は攻撃の結界だろう、同時に二つ、見える者にはそれ以上の数の術を無詠唱で素早く展開していく宰相夫人に、兵たちは呆気にとられる。
ある者は「ザイ様みたいだ」とささやき、ある者は在りし日のカイルを思い出し唇を噛む。
そのうちに異様な、おそらくは魔物の断末魔と思われる嫌な咆哮が立て続けに響き渡り、やがて止む。
それを合図にか、東の先代が宰相夫人に問う。
「見えたか」
「地下に。……砦の地下にございます」
「地下か……」
やはりな、と呟く先代はしばらく思案する。
「お前は近衛と共に見届け役として、ここにおるか?」
「私もお連れくださいまし。そのつもりで参りました」
「ほう」
「ですが、私にとっては久しぶりの外向きのこと。多少の無作法はお見逃しくださいまし」
「はは、今になって、俺はお前を指名したことを後悔したぞ」
若い兵たちが分からない顔をしている。先々帝の御代を知る古強者どもと北の宮の近衛たちは、苦笑いをする。
「ならば行くか。東の一列、シファにつけ。我が帝国が宰相夫人の髪一筋でも損なえば命はないと思え。
西の軍には砦の外側からの支援をお願いしたい。残りは三方に分かれる」
先代の指示が続く中、するりと東の先代の隣に付く宰相夫人を、近衛達は見送った。
※
それから半日。
旧南の宮の砦の一角が崩れていた。一角とはいえ、大層な瓦礫の山である。
それらを手分けして片付ける新兵たちは、一様に言葉少なだった。
「……凄かったな」
「……先代様はいつものことだけど」
「あの槍、どうせ演出だろ? とか思ってた自分を殴りたい……」
穂先に魔力を乗せずとも、十分威力がありそうな宰相夫人の槍術に慄いた兵は少なくない。
東の先代と宰相夫人によって上級の魔物共の首が次々と刎ねられる様は、凄まじいなどといったものを通り越して、滑稽でさえあった。
「西の人に聞いたんだけど、あの奥方さま、西の宮さまの槍の師匠だったらしいよ?」
「まじか。そりゃ強えはずだわ」
「あんな強え人がお母さんだったら、ザイ侍従みたいになるのかな……」
「あんな人がお母さんだったら……?」
絶対悪いことできねえ、と兵達は想像して震え上がる。
そして、兵達の誰となく言う。
「俺たち、必要なかったんじゃ……」
そこに指揮官が晴れやかに通りかかった。
「お前たち呆然としている暇ないぞー。明日からは演習だ!」
「演習?」
聞いてたか? と確かめ合う兵たちに指揮官が無情に告げる。
「先程正式決定となった。東西の軍と近衛の合同演習。あと一週間、先代様のしごきが待っている」
「……そ、」
「討伐予定の一週間の予算は元から下りているからな、それを使って残りは演習をやろうというわけだ。返上の予算やらの手続きは面倒だしな!」
指揮官がカラカラと笑う。
──指揮官殿、事務っぽいこともちゃんとして!
──面倒とか言ってんじゃねえ!
新兵たちの心の叫びは、滂沱の涙に流れた。
※
夕餉の天幕には先代の宮と宰相夫人、そして、それぞれの従僕がいる。特に人払いをされないことに先代の従僕が気を揉む。しかし、東の先代が楽しげに言う。
「また妙な噂になっては困るからな。この年でまさかと思うだろうが、前の時、お前は十にもならぬ子どもであったのにあの噂だ。あれは往生した」
それに、宰相夫人は苦笑を漏らすだけである。
「何か俺に言いたいことがあるか?」
「まさか、ございません」
今度はころころと笑う宰相夫人に先代も片頬をあげる。それは今上にも似ていて、夫人はますますおかしく思う。
「あのお小さかった殿下が宮に。その上、ザイがお仕えするようになるとは、思いませんでした」
「お前の眼鏡には敵わなかったようだが?」
「世の噂など、あてにならぬものでございましょう? 私ではお役に立てぬと思うただけにございます」
そう言って夫人は、今度は少し寂しそうに微笑む。
「先代さまが早々に宮を降りられるとは思いませんでした」
「不満そうだな」
やはり言いたいことがあるのだろう? そう笑う先代にシファもまた笑う。
ここへ来る前は、先代に対して思うところのあった夫人だったが、ひと暴れした後は違っていた。やはり、自分は暇にするとろくなことを考えないらしい。
「こわいことはおっしゃらないで下さいまし。ただ……」
夫人の顔から笑顔が消える。
「……私は、あなた様に頼り過ぎていたと……」
カイルとともに東に保護されて以来、夫人は反発しつつもこの先代の宮をどこか拠り所にしてしまっていた。
カイルを失って、道標をなくしたように考えたのはザイだけではなかった。
ザイと自分はさほど変わりないと夫人は思う。
夫も実のところはそうだ。歳を取った分、隠すのがうまいだけだ。
その日その日をどうにかやり過ごし、倒れまいと踏ん張っている。先の東の宮にはそれを見抜かれているはずだが、この御仁は隠遁を決め込んでだんまりを続けている。
「恨むか」
「いいえ。我が身が歯痒いだけにございます」
ザイが侍従にふさわしいかどうかなど、この御仁に確かめるべきことではなかった。
ザイを信じなくてどうする。
帝国の未来を今上に託さなくて一体誰に託す?
かつて夫人が仕えた先々帝が、先帝とその臣下に全てを託して逝ってしまったように、先帝とカイルもそうしたのだ。
夫によると、カイルが今上に向けた最期の言葉はこうだった。
──文句が山程もおありでしょうが、後はお任せします。どうぞ、ご自由に。
それは彼の偽らざる本心だろう。北の宮を誰より恨み、しかし最期は殉じたカイルを夫人は哀しく思う。
しかし今上とザイにそれぞれ言付けが出来たことは、カイルにとって幸せだっただろう。その言付けが、今はそれぞれ彼らを苦しめるものであっても。
この先代もまた、ガレスを手放し、弟宮に東の宮を譲り渡した後、宮との関わりを殆ど持たなくなった。
──後はどうとでもやれ。栄えるも滅ぶも勝手にしろ。
この宮は笑ってそう言うのだろう。夫人には到底出来ないと思う。
先日宰相邸に訪れたセラと話をするまでは、今更北の宮になど決して関わるまいと思っていたのに。
「シファよ」
東の先代が意地の悪い笑みを浮かべていう。
「儘ならんなあ?」
先代の宮は楽しそうである。いつだってこの方はそうだと、夫人は思い出す。カイルも夫も、この方には散々に振り回されていた。リヒトなど言うまでもない。
夫人はそれを嫌がってこの宮とは距離をとってきたつもりだったが、それもこの宮からは面白く思われていたことだろう。全くままならないことだ。
「はい。そのようでございます」
「なんだ、えらくしおらしいではないか」
「私も歳を取ったのでございます」
「丸くなったとでも? そんな奴がリヒトを吊し上げたりするものか」
「でもリヒトさんですもの」
「それもそうか」
念のため今は護衛として宰相邸に詰めているリヒトが聞いたら何を思うだろう?
控える双方の従僕は遠い目をするのだった。
先代と宰相夫人の語らいは、夜半まで続いた。
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翌朝、演習が始まった。場所は砦ではなく、そこから少し離れた平原に陣を移して行われた。砦の修復も並行して行われたそれは、遠征先での実戦を想定してのもの。
機動力こそ大きく劣るものの、カイルやザイとほぼ同じ技を使える宰相夫人である。彼女の展開する結界を中心に陣形のすり合わせが行われた。
その演習で想定されている遠征先はどこなのか?
そんなことを思う暇さえないほど、兵たちは追い込まれた。
※────
演習初日の若年兵&新兵の皆さん
「誰だよ砦修復班のが楽とか言った奴!」
「てめえだろがうるせえ伏せろ」
「先代様の奇襲あるかもとか聞いてない!」
「誰かリヒト様、リヒト様呼んで止めてもらって!」
「無理無理無理あの人自体俺らじゃ捕まらないから!」
「ちょっ、なんか砦外の右翼丸ごと消えてんですけど⁉︎」
「うそ⁉︎」
「よそ見すんな落ち着け構うな夫人の罠だ! あれザイ様も使う目眩しのやつだから! ちゃんと右翼いるから!」
「本当に⁉︎ 本当ですか⁉︎ えと、なんだか左翼抜かれてるっぽいのもそうですか⁉︎ 目眩し⁉︎」
「……いや。あれは今し方抜かれたようだ……」
「ってうわ本当だ先代様の部隊来てるー! 怖いー!」
「守れー! お止めしろー!」
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