monster

Nono

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1話

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「ROACHって知ってるか?」
釜蔵仁は編集長の野上から昼休憩
していた時にこんなことを言われた。
いつもながら突拍子がない
「やめてくださいよ編集長 お昼中に」
「いやいや虫の方じゃなくてさ」
じゃあどの方だと言うのかという
ツッコミを抑えると
野上がタブレット端末でインターネット
の記事を見せてきた。
«栄宮区に現るダークヒーロー!
         ROACHとは何者!?»
「なんですかこれ」
こんな記事フィクションでしか見たことない。
「なんでもこの街に現れるそうじゃないか。次のネタにしてみたら面白そう
じゃあない?」
ヘラヘラと笑いながら野上は仁に提案
してきた。
「嫌です。オカルトライターじゃないんですから」
寧ろこの都市伝説みたいなものを
どうやって書けと言うのか
疑問でしかなかったが、
野上はどうしても気になるのか
甘えるような声で
「ねぇ頼むよ~この街が出来てからの
仲だろう~一生のお願いだからさぁ~」
この声に気分が悪くなったが
こうなったら下がらないのが野上だった
「はぁ、分かりましたよ。それで?
どこに取材に行けばいいんですか」
「さっすがぁ!やっば話分かるねぇ!
ここにその人と落ち合ってくれる?」
野上は仁に紙切れ1枚を渡した。
そこには喫茶店の住所と取材する人物の
写真がまとめられていた
「ってこれ女子高生じゃないですか!
なんで危ない橋を渡らせようとするんですか!」
「大丈夫大丈夫!話は付けてあるからさ
今が12時半くらいだから3時半ぐらいには来ると思うよ」
何が大丈夫なのか分からないが
とにかく引き受けることになった以上
行かされることは確定だった。
職質されないことを祈りつつ、昼食を
終え3時になってから出発した。
         ◆
「だから、話すことなんて無いですよ」
仁は取材相手の神谷薫に言われた言葉に
軽く絶望していた
(あの野郎帰ったら1発殴ってやる)
そんなことを思いながらも
「だったら何故そんなことを言われるようになったか教えて欲しいな」
となるべく笑顔で取材してみる。
そんなこととは勿論ROACHの事だ
「別に特別な理由なんてないですよ。
どこから生まれたのか
知らないですけど高校で勝手に言われてるだけです。」
丁寧に説明する薫
少し嘘っぽい感じがしたが仁自身
あまりやる気はなかったためもうこれで
いい気がしてきた。
「ごめんね。うちの編集長のせいで
こんな取材受けさせちゃって」
こんな取材に付き合わされた薫が気の毒だ。
「いえ、引っかかった私も悪いですし今日のことはお互い忘れましょう」
薫の気遣いが胸に染みた。
イマドキの高校生も捨てたもんじゃないなぁとおじさん臭い感想を抱きつつ、
せめてものお詫びということで
薫の珈琲代を奢り、喫茶店で別れた仁は野上をどうしてやろうか、
考えながら出版社に帰ろうとした時
「あの~すみません」
と声がした
振り向くとそこには1人の男子高生が
携帯の地図機能を開きながら
「ここの図書館に行きたんですが
どうすればいいですかね?」
とへにゃっとした顔で尋ねてきた。
ここの高校生はなんでみんな顔面偏差値が高いんだと思いながらも
「どれどれ」と携帯の地図を見た
図書館とは逆方向に行っている
「あ~こりゃ多分今通ってきた道だね」
「うげ マジですか」
「大マジだ。方向音痴みたいだしなんならついて行こうか?」
出版社と図書館は同じ方向だ帰り道より
少し長いがそれでも徒歩で帰って来れるレベルだ。
「すみません気遣わせてしまって
それじゃあ宜しくです」
そうしてイケメンの男子高生を連れて
図書館へと行くことになってしまった。
お節介焼きは大人になっても変わらないらしい。


















         ◆







「仁は行ったみたいだな
さてこっちもお仕事開始といきますか」
1人そう呟いた野上は上着を羽織り
タイピングの音で騒がしい職場を1人
出ていった。
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