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53 冒険者は、心許しかける。
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観光協会を出ると、ちょうど時告げる鐘が鳴った。
17時半。謎解きも、少し焦るところはあったが、無事に1日で終わらせる事が出来た。
「楽しかったね」
「はい。とても」
しみじみと、心から思えた。
「あーっ!!昼間のお兄さんたち!!」
近くでキィン!とした甲高い声がしたので、そちらの方を向くと、昼間に声をかけてきた女の人たちがそこに居た。
「私たちも無事に解いたんですよぅ!観光協会でヒント貰ったらスイスイーっでした。こういうのは自分たちで解いてこそですね」
謎が解けた後の高揚感なのか、だいぶフレンドリーだ。
「良かったですね」
タットさんが、ニコっと笑って対応すると、女の人たちは少し顔を赤らめていた。
そして、女の人同士、顔を見合わせてから再度こちらを向く。
ニヤリ、と言う表現が1番しっくりくる顔つきで
「「明日ハ晴レルヨ」」
と言ってきた。タットさんと俺も、一瞬キョトンとしたが、
「「明日ハ晴レルヨ」」
と返して4人で笑った。
── 明日ハ晴レルヨ ───
これは、今回の謎解きの最終キーワードだ。謎解きの物語は、1羽のフクロウが、この街に迷い込んで色々と散策をする所から始まっている。そして、そのフクロウを、俺たちが追い、フクロウが宿り木にした最終の場所を探すのが目的だった。
そして、正しくフクロウと宿り木を見つけると、今回の言葉がキーワードとして完成する。
クリアしないと言い合えない言葉。
観光協会の人も、彼女たちも、初めて会ったのに、「謎解き」で言葉が繋がった。とても不思議な感覚だった。そして、体験を共有したおかげか、彼女たちに対して、日中感じていた怖さは薄らいでいた。
「あのぉ~これから私たち打ち上げみたいな事をしようと思ってるんですけどぉ~一緒に……」
薄らいでない。やっぱ怖い。これ以上一緒にこの人たちと居るのは無理!!
「もう帰ろ!!」
俺は彼女が言い終わる前に、タットさんの腕を引っ張って踵を返した。
「バイバイ!!打ち上げ楽しんでね!!」
一瞬だけでも、怖くない人たちって思えたので、日中のタットさんの対応を思い出して俺も出来る限り声をかけた。
けど、これが限界っ!!
腕を引っ張られてるタットさんも、何だかご機嫌に手を振ってる。
そんな愛想良くしなくていいのにっ!!!
「ふふっ……あは……あははははは!!!」
歩きながらタットさんが笑ってる。
「ゆん君が……可愛くてたまらないんだけど……っ……ふふっ……ふはっ……」
「何か、おかしかったですか?」
不満気に聞くと、タットさんはご機嫌に首を横に振った。
「んーん。全然おかしな所は無かったよ。けどね、ゆん君は、知らない女の子に話しかけられるのは苦手でしょ?でも、彼女たちへの態度がさ、日中とさっきとで違ってたのって、きっと『もしかしたら苦手な人たちじゃないかも?』って言う気持ちに変化したんじゃないかなって」
「……そうです」
「でも、やっぱり苦手な所もあった」
「はい」
「それでも、頑張って女の子に声をかけてあげた」
「ですね」
「それがね、可愛くて可愛くて……それでいて俺の腕をギュッて掴んでくれるのが愛おしくて愛おしくて、思わず笑っちゃったんだ。気に障った?ごめんね」
コテン、と俺の肩に頭を乗っけて甘えてくるタットさん。こんな可愛い仕草されたら不満なんて何処吹く風だ。
「別に怒ってないです。タットさんがなんで笑ってるのか知りたかっただけです」
明らかに拗ねてます的な返しになってしまったが、タットさんは「いいこ」と言って俺の頭を撫でてくれた。
17時半。謎解きも、少し焦るところはあったが、無事に1日で終わらせる事が出来た。
「楽しかったね」
「はい。とても」
しみじみと、心から思えた。
「あーっ!!昼間のお兄さんたち!!」
近くでキィン!とした甲高い声がしたので、そちらの方を向くと、昼間に声をかけてきた女の人たちがそこに居た。
「私たちも無事に解いたんですよぅ!観光協会でヒント貰ったらスイスイーっでした。こういうのは自分たちで解いてこそですね」
謎が解けた後の高揚感なのか、だいぶフレンドリーだ。
「良かったですね」
タットさんが、ニコっと笑って対応すると、女の人たちは少し顔を赤らめていた。
そして、女の人同士、顔を見合わせてから再度こちらを向く。
ニヤリ、と言う表現が1番しっくりくる顔つきで
「「明日ハ晴レルヨ」」
と言ってきた。タットさんと俺も、一瞬キョトンとしたが、
「「明日ハ晴レルヨ」」
と返して4人で笑った。
── 明日ハ晴レルヨ ───
これは、今回の謎解きの最終キーワードだ。謎解きの物語は、1羽のフクロウが、この街に迷い込んで色々と散策をする所から始まっている。そして、そのフクロウを、俺たちが追い、フクロウが宿り木にした最終の場所を探すのが目的だった。
そして、正しくフクロウと宿り木を見つけると、今回の言葉がキーワードとして完成する。
クリアしないと言い合えない言葉。
観光協会の人も、彼女たちも、初めて会ったのに、「謎解き」で言葉が繋がった。とても不思議な感覚だった。そして、体験を共有したおかげか、彼女たちに対して、日中感じていた怖さは薄らいでいた。
「あのぉ~これから私たち打ち上げみたいな事をしようと思ってるんですけどぉ~一緒に……」
薄らいでない。やっぱ怖い。これ以上一緒にこの人たちと居るのは無理!!
「もう帰ろ!!」
俺は彼女が言い終わる前に、タットさんの腕を引っ張って踵を返した。
「バイバイ!!打ち上げ楽しんでね!!」
一瞬だけでも、怖くない人たちって思えたので、日中のタットさんの対応を思い出して俺も出来る限り声をかけた。
けど、これが限界っ!!
腕を引っ張られてるタットさんも、何だかご機嫌に手を振ってる。
そんな愛想良くしなくていいのにっ!!!
「ふふっ……あは……あははははは!!!」
歩きながらタットさんが笑ってる。
「ゆん君が……可愛くてたまらないんだけど……っ……ふふっ……ふはっ……」
「何か、おかしかったですか?」
不満気に聞くと、タットさんはご機嫌に首を横に振った。
「んーん。全然おかしな所は無かったよ。けどね、ゆん君は、知らない女の子に話しかけられるのは苦手でしょ?でも、彼女たちへの態度がさ、日中とさっきとで違ってたのって、きっと『もしかしたら苦手な人たちじゃないかも?』って言う気持ちに変化したんじゃないかなって」
「……そうです」
「でも、やっぱり苦手な所もあった」
「はい」
「それでも、頑張って女の子に声をかけてあげた」
「ですね」
「それがね、可愛くて可愛くて……それでいて俺の腕をギュッて掴んでくれるのが愛おしくて愛おしくて、思わず笑っちゃったんだ。気に障った?ごめんね」
コテン、と俺の肩に頭を乗っけて甘えてくるタットさん。こんな可愛い仕草されたら不満なんて何処吹く風だ。
「別に怒ってないです。タットさんがなんで笑ってるのか知りたかっただけです」
明らかに拗ねてます的な返しになってしまったが、タットさんは「いいこ」と言って俺の頭を撫でてくれた。
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