地下アイドルを推してたワープアコミュ障陰キャな僕だけど気付いたら執着系ハイスペイケメンに僕が推されて(性的にも)磨かれました?

黒川

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第二章:本編

25-マチナカサガリ は、傍聴する

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キリに成りすまして、ヤツの母親とのやりとりを終えると、当たり前の様にキリのスマホを操作して着信拒否をしていた弟妹(と思われる)の番号を解除した。
たちの悪い弟妹の事だ。
どんなトンデモ理論でキリに電話をかけていたか、分かったもんじゃねぇ。

「俺が側に居ない時は絶対に出るな。それから、電話に出る時はスピーカーフォンに切り替えて録音も念の為しておけ。ショートメールは勝手に返信するなよ。俺が確認してからだ」

そう言って、キリにスマホを返した。
絶対に一人の時は出させない。
俺が居るところで出てもらう。

「う、うん」

キリは戸惑うように返事をしていたが、構うものか。
キリと一緒に実家に帰った時の弟妹の言動を思い返せば、俺じゃなくても過保護にならざるを得ないだろう。


▪▫❑⧉◻︎□◻︎□◻︎⧉❑▫▪


「そう言う家庭が世の中にはある、と言う事は理解してるけど、こんな身近にあると結構衝撃受ける」

大学で、ゼミが一緒の友人に雑談よろしく先日あった事をサラッと話したら、そんな返しをされた。
ヤツの家も比較的裕福で家族仲も悪くない。
俺と似たり寄ったりな環境だ。

「俺も、頭で理解している事と実際に経験をして知る事の乖離が体験出来て、なかなか興味深かった。しばらく続きそうだから楽しみだ」

「興味深いだの楽しみだのプラスの言葉が言えるマチナカのメンタルって強いよな」

「そうか?」

大学の友人は嫌そうな顔をしている。
分からなくは無いが、こんな低俗な人間と関わる事なんて、そう滅多に無いのだから、楽しみ以外何があるというのだろう。
友人からの理解は得られなかった。


▪▫❑⧉◻︎□◻︎□◻︎⧉❑▫▪


そして夜、キリの弟から電話がかかってきた。
キリは俺が忠告した通り、録音とスピーカーフォンの設定をして電話に出た。

「もしもし」

『兄貴なんで着拒するんだよ。馬鹿か?』

「知らない番号からワンギリされたら悪質なイタズラだと思うよ」

『うぜー』

「僕に用事があるんだよね?」

なかなか威勢がいいな。
キリはクソ真面目に受け答えてるので、2人の温度差にかなり乖離があり、弟の態度が滑稽に見えた。
キリも長い時間、話をしたくないのか、さっさと弟に用件を聞いていた。

『あぁ、兄貴さ、ダブルワークしてるって言ってただろ?清掃会社じゃない方に俺が就職してやるよ』

「は?」

『だから、俺がその会社で働いてやるっていってるんだよ。そっちの採用係りに口利きしろよ』

「え?」

っはぁぁぁーーー!?!?!?
心の中で存分に叫んだ。
馬鹿か?
こいつ正真正銘の馬鹿なのか?
キリも俺の方を見ているが、俺だってそんな話振られても困るわ!
鏡は見ていないが、さぞかし俺は変な表情をしていただろう。

斜め上過ぎて、想定外だった。
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