地下アイドルを推してたワープアコミュ障陰キャな僕だけど気付いたら執着系ハイスペイケメンに僕が推されて(性的にも)磨かれました?

黒川

文字の大きさ
150 / 190
第二章:本編

26-マチナカサガリ は、指示を出す

しおりを挟む
気を取り直して弟の話を根気良く聞き取る。
二言目にはキリを見下した様な発言をしてきて不快極まりないが、ヤツの言っている事を整理すると、またトンデモ理論が繰り広げられていた。

現在、求職中である。ニートかよ!
デイブの仕事をキリに代わって弟がやってやる。
上から目線に腹が立つ。
デイブの会社に自分を紹介しろ。
どの口が言う?

思わず頭を抱えてしまった。
無理だろ。
どうやったって無理だろうがよ。
あのキリが実家に帰った時のやり取りを忘れたのか?
無ぇ⋯⋯無ぇだろ⋯⋯

「そもそも、英会話が出来ないと、デイブさんの仕事はこなせないよ?」

キリが真っ当な理由で弟を諭そうとすると、

『馬鹿にすんなよ。日常会話くらい出来るし』

と、主張してきた。
無ぇよ。
出来てたら、あの時の俺らの暴言を理解出来ていたら、この性格をした弟だったら、もっとキレてるはずだろ。
それくらいの事は言ってたはずなのに、あの時出てきた言葉はしどろもどろな返事のみ。
理解してない人間の典型的な態度だった。
なのに、出来る、とな?
無ぇだろ、無ぇだろうがよ。
と、段々腹が立ってきて、キリにジェスチャーで『電話、代われ』と伝えた。

「HELLO」

どんだけ英語が出来ないか、理解させてやらないと。

『は……え…!?』

「『あんた英会話出来るってどの口が言ってんの?前にお前らのこと目の前でボロクソ言ってたの分かって無かっただろ?』」

俺の出来る範囲での早口と時々スラングも混ぜて喋る。
向こうは、何も口を挟んでこない。そりゃそうだろ。
聞き取れて無いもんなぁ?

「『ほら、何か言い返してみろよクズ。何も言えねぇの?それで良く日常会話が出来るなんて主張出来るな?俺だったら恥ずかしくて言えやしねぇよ』」

日本語で同じ事を言えば確実にキレるであろうセリフを吐いても、向こうは焦るだけ。

『え……と、あの……おい!兄貴!!兄貴側に居るんだろ!?代われよ!』

で、散々見下していた兄貴に助けを求めるのか?
恥ずかしいヤツだ。
俺は笑いを噛み殺しながら、また電話を代わろうとしたキリの耳元で「English!」と囁いた。

「は……HELLO~」

おもっクソ日本語英語の発音だった。

『馬鹿にしてんのか?』

電話越しのクソ弟は案の定の態度だ。
分かりやすくて、いっそ清々しい。
俺はキリに向かって小声で「English!」と指示を出した。

「『していません。貴方は英語が出来ません。私は理解しました。』」

『出来るって言ってんだろうが!』

キリの言葉は聞き取ったのか。
だいぶ発音は良い方だが、表現がお堅いんだよな。
まぁ、理解しやすいからいいけど。

キリに向かって『弟にも話させろ!』と口パクとジェスチャーで伝える。
それと同時に、クソ弟に伝えてほしい事を自分のスマホのメモ帳に打ち込んでキリに見せた。

『近くに関係者が居るからお前の英会話レベルを今から見てやる』

キリも合点がいったようで、クソ弟とやり取りを英語で始めた。

「『貴方も英語で会話してください。側に関係する人が居ます。貴方の英語のスキルを確認します。良いですね?』」

弟からも『OK』と声が聞こえた。
これも聞き取れるのか。
って事は英語が出来るってのもあながち嘘では無いのかも知れないな。

「『私の仕事は通訳と観光案内です。様々な国の人へ日本の観光地を英語で紹介します。あなたは日本の文化や伝統、歴史的建造物を知り、それに関わる歴史等の知識を持ち、それらを英語で相手に伝える事が出来ますか?これは採用のためのテストです。今から貴方の好きな日本の伝統について英語で説明をしてください』」

……返答が無ぇ。
え?聞き取れなかったのか?だいぶ分かりやすくキリは説明していたぞ?模範的な話し方だ。
しばらく沈黙が続き、クソ弟に対して、英語が出来るかも知れないと一瞬でも思ってしまった自分を恥じた。
そしてキリに向かって、両手で大きなバッテンを作って見せた。

無理だろ。

キリは何だか申し訳なさそうな顔をしていたが、様子がおかしいのは、キリではなく、お前の弟だからな。
お前が申し訳なく思う必要は無ぇんだ。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)

優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。 本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。

ハイスペックストーカーに追われています

たかつきよしき
BL
祐樹は美少女顔負けの美貌で、朝の通勤ラッシュアワーを、女性専用車両に乗ることで回避していた。しかし、そんなことをしたバチなのか、ハイスペック男子の昌磨に一目惚れされて求愛をうける。男に告白されるなんて、冗談じゃねぇ!!と思ったが、この昌磨という男なかなかのハイスペック。利用できる!と、判断して、近づいたのが失敗の始まり。とある切っ掛けで、男だとバラしても昌磨の愛は諦めることを知らず、ハイスペックぶりをフルに活用して迫ってくる!! と言うタイトル通りの内容。前半は笑ってもらえたらなぁと言う気持ちで、後半はシリアスにBLらしく萌えると感じて頂けるように書きました。 完結しました。

辺境の酒場で育った少年が、美貌の伯爵にとろけるほど愛されるまで

月ノ江リオ
BL
◆ウィリアム邸でのひだまり家族な子育て編 始動。不器用な父と、懐いた子どもと愛される十五歳の青年と……な第二部追加◆断章は残酷描写があるので、ご注意ください◆ 辺境の酒場で育った十三歳の少年ノアは、八歳年上の若き伯爵ユリウスに見初められ肌を重ねる。 けれど、それは一時の戯れに過ぎなかった。 孤独を抱えた伯爵は女性関係において奔放でありながら、幼い息子を育てる父でもあった。 年齢差、身分差、そして心の距離。 不安定だった二人の関係は年月を経て、やがて蜜月へと移り変わり、交差していく想いは複雑な運命の糸をも巻き込んでいく。 ■執筆過程の一部にchatGPT、Claude、Grok BateなどのAIを使用しています。 使用後には、加筆・修正を加えています。 利用規約、出力した文章の著作権に関しては以下のURLをご参照ください。 ■GPT https://openai.com/policies/terms-of-use ■Claude https://www.anthropic.com/legal/archive/18e81a24-b05e-4bb5-98cc-f96bb54e558b ■Grok Bate https://grok-ai.app/jp/%E5%88%A9%E7%94%A8%E8%A6%8F%E7%B4%84/

Take On Me

マン太
BL
 親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。  初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。  岳とも次第に打ち解ける様になり…。    軽いノリのお話しを目指しています。  ※BLに分類していますが軽めです。  ※他サイトへも掲載しています。

相性最高な最悪の男 ~ラブホで会った大嫌いな同僚に執着されて逃げられない~

柊 千鶴
BL
【執着攻め×強気受け】 人付き合いを好まず、常に周囲と一定の距離を置いてきた篠崎には、唯一激しく口論を交わす男がいた。 その仲の悪さから「天敵」と称される同期の男だ。 完璧人間と名高い男とは性格も意見も合わず、顔を合わせればいがみ合う日々を送っていた。 ところがある日。 篠崎が人肌恋しさを慰めるため、出会い系サイトで男を見繕いホテルに向かうと、部屋の中では件の「天敵」月島亮介が待っていた。 「ど、どうしてお前がここにいる⁉」「それはこちらの台詞だ…!」 一夜の過ちとして終わるかと思われた関係は、徐々にふたりの間に変化をもたらし、月島の秘められた執着心が明らかになっていく。 いつも嫌味を言い合っているライバルとマッチングしてしまい、一晩だけの関係で終わるには惜しいほど身体の相性は良く、抜け出せないまま囲われ執着され溺愛されていく話。小説家になろうに投稿した小説の改訂版です。 合わせて漫画もよろしくお願いします。(https://www.alphapolis.co.jp/manga/763604729/304424900)

【完結】おじさんダンジョン配信者ですが、S級探索者の騎士を助けたら妙に懐かれてしまいました

大河
BL
世界を変えた「ダンジョン」出現から30年── かつて一線で活躍した元探索者・レイジ(42)は、今や東京の片隅で地味な初心者向け配信を続ける"おじさん配信者"。安物機材、スポンサーゼロ、視聴者数も控えめ。華やかな人気配信者とは対照的だが、その真摯な解説は密かに「信頼できる初心者向け動画」として評価されていた。 そんな平穏な日常が一変する。ダンジョン中層に災厄級モンスターが突如出現、人気配信パーティが全滅の危機に!迷わず単身で救助に向かうレイジ。絶体絶命のピンチを救ったのは、国家直属のS級騎士・ソウマだった。 冷静沈着、美形かつ最強。誰もが憧れる騎士の青年は、なぜかレイジを見た瞬間に顔を赤らめて……? 若き美貌の騎士×地味なおじさん配信者のバディが織りなす、年の差、立場の差、すべてを越えて始まる予想外の恋の物語。

家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!

灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。 何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。 仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。 思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。 みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。 ※完結しました!ありがとうございました!

優しい檻に囚われて ―俺のことを好きすぎる彼らから逃げられません―

無玄々
BL
「俺たちから、逃げられると思う?」 卑屈な少年・織理は、三人の男から同時に告白されてしまう。 一人は必死で熱く重い男、一人は常に包んでくれる優しい先輩、一人は「嫌い」と言いながら離れない奇妙な奴。 選べない織理に押し付けられる彼らの恋情――それは優しくも逃げられない檻のようで。 本作は織理と三人の関係性を描いた短編集です。 愛か、束縛か――その境界線の上で揺れる、執着ハーレムBL。 ※この作品は『記憶を失うほどに【https://www.alphapolis.co.jp/novel/364672311/155993505】』のハーレムパロディです。本編未読でも雰囲気は伝わりますが、キャラクターの背景は本編を読むとさらに楽しめます。 ※本作は織理受けのハーレム形式です。 ※一部描写にてそれ以外のカプとも取れるような関係性・心理描写がありますが、明確なカップリング意図はありません。が、ご注意ください

処理中です...