地下アイドルを推してたワープアコミュ障陰キャな僕だけど気付いたら執着系ハイスペイケメンに僕が推されて(性的にも)磨かれました?

黒川

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第一章:本編

6-カナタ キリ は、偶然。

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何度も主張するけど、僕は清掃会社に務めている会社員だ。
会社が提携しているビルや施設を掃除する仕事。
掃除が好きって言うより、高校の時に就活して受かった会社がここだっただけ。あの頃は、ラキちゃんにはまだ出会ってなくて、働いてお給料が貰えて一人暮らしが出来る環境なら何処でも良かったんだ。
でも、そんな不純な動機でも8年続けられてるのは、それなりに僕に合ってるんだろう。

今日も提携先のビルの清掃に行く。
一日中同じ建物の中で仕事をする時もあれば、いくつか掛け持ちする日もある。
今日は急きょ掛け持ちの日。
パートで働いている人たちが、お子さんの熱とか、他にも色々な理由で一斉に休んじゃった現場があるんだって。
人が足りてない所にお手伝いで行くのも社員の仕事だ。
初めての現場だったけど、スマホ見ながらなんとか辿り着いたし、その場所を担当している先輩社員から凄く助かったって、感謝して貰えた。
誰かにありがとうとか言われるの、嬉しいよね。


▪▫❑⧉◻︎□◻︎□◻︎⧉❑▫▪


今日はお手伝いしに行った現場から直接帰る。
いつも乗る駅とは違うから、キョロキョロしていると、偶然にもマチ君に会った。
えぇー?そんな偶然なんてあるのかな?

「キリ!」

と、肩を叩かれて、ちょっとビクッとしながら振り向いたら、ライブ会場で会った時より、ちょっと緩い服装をしたマチ君が立ってた。
そうか、ライブ会場の服はおめかしだったんだね。
いいなぁ、イケメンは。オシャレすればするほどカッコよくなるし、オシャレしてなくてもカッコイイ。

「マチ君だ。凄い偶然だね」

「お……おぅ。キリは?仕事終わりか?」

なんか気まずそうな返事だったけど、気にせず質問に答える。

「うん。そうだよ。今日はいつもと違う仕事場に行っててね、その帰り」

「じゃ、もう用事は無いって事か」

「うーん……?うん、そうだね。ラキちゃんが急に配信するって言わなければ、今日は何も無いよ」

基本、ラキちゃんの動画配信は事前にお知らせされるのだけど、それとは別にラキちゃんの気分で不定期で配信される事もある。
けど、SNSを見る限りは今日は無さそうかな?

「夕飯は?」

「家に帰ってから食べるよ」

あれ?コレって一緒にどっかで食べる誘いだったのかな?そしたら困るなぁ。僕、外食する余裕無いし……ラーメンならラキちゃん費から出せるけど、マチ君が行く所って高そう……
なんて僕が少し困った顔をしていたら、マチ君はニヤッと笑った。
うーん、こういう表情もイケメンがすると様になるよね。

「そしたら、夕飯俺が作るから、俺ん家で一緒に食おうぜ。はらぺこキリ」

なんと、おうちへのお誘いだった!
えぇー?いいのかな?いつもSNSで誘われていたのは社交辞令じゃなかったのか。あ、でも材料費はきっと出さないとだから……

「あんまり難しい事考えなくていいんだよ。俺んち来な。冷蔵庫にあるもんで作るから、手ぶらでオッケー。ラキに自慢してやろうぜ?」

マチ君はちょっと強引に僕の肩を抱いて歩き始めたので、僕もつられて歩き始めた。
えぇー?マチ君の家に行くのは決定?決定なの?
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