地下アイドルを推してたワープアコミュ障陰キャな僕だけど気付いたら執着系ハイスペイケメンに僕が推されて(性的にも)磨かれました?

黒川

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第一章:本編

13-カナタ キリ は、されるがまま。

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あともう少しで待ちに待ったラキちゃんの5周年記念イベント!
土曜日にあるんだけど、僕は仕事のシフト調整を頑張った。マチ君に絶対2日連続して休めって言われたから、土日で休めるようにエリアマネージャーにお願いした。
と言っても、僕の職場ってそこまで土日の出勤はうるさく言われないんだけどね。
2連休の方がちょっと難しいかな?
でも、普段はシフト調整でワガママ言ってなかったせいか、エリアマネージャーも「カナタ君は普段こんな事言わないもんね、よっぽどなんでしょ?」と優先的に調整してくれた。

休みの確保が出来たので、イベントも参加確定。
あとは当日を迎えるだけだーとワクワクしていたら、マチ君に怒られた。

「キリ、脳内お花畑。ドレスコード見たか?そこまで本格的な指定は無いが、いつもの格好じゃ入れないからな?」

そう、ホテルで行われるイベントでは、ドレスコードが設けられていた。
ラキちゃんの言葉を借りるなら【いっぱいオシャレしてきてね!】だって。
その後に色々事務的な指示事項があったけど、いつもの高校生の頃から着てるシャツとパンツじゃダメって事だよね。 
なので、考えたのは入社式に使ったスーツ。
マチ君に見せたら「七五三か」と突っ込まれた。

あとは髪型。床屋もギリギリまで行かないから、だいたいいつもモッサリしてる。そしたら仕事が休みの時に、マチ君行きつけだって言う美容院に連れて行かれた。見るからに高そうな外観をしてたし、美容師さんも見た目が筋肉モリモリでチャラそうな陽キャっぽい人で怖かった。僕が不安そうにマチ君を見ると、

「俺のポイントカード、ポイント消費する習慣が無さすぎてすっげー溜まってんの。コレ全部キリに使うから、普段の床屋代くらいで済む。足が出るようなら俺が出す」

と言ってきた。

「トシさん、いいよね?新規の彼に俺のポイント使わせて」

トシさん、と呼ばれた美容師さんはニコニコしながら頷いていた。

「マチちゃんがお友達連れてくるなんて初めてかしらぁ?しかも良く見ると可愛いのね、彼。誰もが振り向く美少年になるわよぉ」

口を開いたら女性っぽい言葉遣いで、少しだけ怖い気持ちが和らいだ。
言われるがままに椅子に座らされて、色々言われたんだけど、マチ君がずっと傍にいてくれて、髪型の注文は全部マチ君が対応してくれた。
そもそも、どんな髪型にしたいか?なんて考えたことも無かったし、そう言うのは陽キャでイケメンな人達が一生懸命伝えるものだと思っていた。

いい匂いのするシャンプーで髪の毛が洗われて、乾かされて、シャキシャキとハサミで髪の毛が切られて行く。
床には凄い量の髪の毛が落ちていく。

「はわぁ~……ほんっっとう……なんで今まであんな髪型にしてたの?あなた……美への冒涜よ?」

ため息混じりに担当してくれているトシさんが言う。

「でしょ?トシさん、もっと言ってよ。こいつ自分のこと陰キャなドルオタとしか認識してないんだよ」

「あらあらあらあら、それは……きちんと分からせてあげないとねっ」

鏡越し、僕を見て大袈裟にウィンクするトシさん。どう返したらいいか分からないので、とりあえず僕は「へへ」とオタクな笑みで返した。


▪▫❑⧉◻︎□◻︎□◻︎⧉❑▫▪


「こんな感じ。後ろも……見える?」

鏡と鏡を合わせて後ろの襟足を見せてくれる。けど、僕が答える前に

「ありがと。満足。さすがトシさん」

と、マチ君が受け答えしている。
鏡に写っている散髪し終えた僕の姿は……髪の毛がスッキリした僕だった。

トシさんがしきりに「美少年」と言ってきたけど、リップサービスなんだろうなと思いながらへへっと笑っておいた。

洋服も……凄かった……マチ君のご実家に連れられ、弟君の部屋でアレコレ服を選んでもらって、上から下まで着替えさせられた。
見ただけでも分かったけど、着てみると更に分かる、とても上等な服。
僕がアタフタと冷や汗かいているのも気にせず、兄弟でいろいろ話していた。僕はそれどころじゃなかったけど。
一瞬、弟くんに「ね?」って話を振られて、適当に頷いてしまったけど、大丈夫……だよね?
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