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第一章:本編
14-マチナカ サガリ は、いつも通り。
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ラキの5周年記念イベント当日。
俺はキリのトータルコディネートを手がけた。今まで仕込んできた集大成だ。
仕上がりは上場。
きっと誰もあの陰キャなドルオタキリだと思わないだろう。
今、俺の目の前に立っているのはキラキラのラキすらも霞ませてしまうのではないかと思うくらいの美少年が立っている。
俺からしたらカジュアルめだが、キリ的にはカッチリ系なのだろう。少し居心地悪そうに身動ぎをしていた。
俺は俺で、キリと対になるつもりは無かったのだが、結果的にシンプルなパンツにジャケットを羽織ったので、ちょっとしたリンクコーデの様になった。
お互い準備が整えば、改めて俺はキリの姿を見る。
「キリも良く似合っている」
そう言ってキリの頬をスリっと撫でると、やつはビックリしたように目を丸くし、少し頬を赤らめた。
少しくらい意識してくれてもいいんだがと思い、キリの頭や頬を撫でたり抱き締めたり、そこそこスキンシップを多めに取ってきた。まぁ、家族にする程度の優しいものではあるが。
聞けば、キリの家庭ではそこまで家族であってもスキンシップはしてなかったらしい。嫌がられるかと思ったが、俯いて「ちょっと恥ずかしいけど嬉しいね」と笑うキリが見れたので、遠慮はしなかった。
こいつは、イベントが終わったら自分のアパートに戻るつもりでいるのだろう。たまに遠くを見て寂しそうな顔をしてるが、そんなのは杞憂だ。
囲いこんでやる。
▪▫❑⧉◻︎□◻︎□◻︎⧉❑▫▪
なんて感情はおくびにも出さず、2人でイベント会場へ向かう。
場所は都内の有名ホテル。
既に開場されており、中に入ればホールの一角にファンが集まっていた。
ラキの変遷ブースが出来上がっていた。
俺がラキに嵌ったのはつい最近で、好きは好きだが、衣装の陳列も初めてのライブ会場がどこだろうと、どうでも良かった。
けどキリはそうじゃないのは分かっている。目をキラキラに輝かせ、ブースに突進していた。もちろん陰キャらしく他の人に迷惑がかからないよう距離を保ってだ。
そして、自分を陰キャなドルオタだと思ってるのは、もうキリしかいない。
えらい美少年がハスハスしながらブースに来たもんだから周りが驚いている。ドルオタなんて周りが見えてないと思うだろ?あいつらの美センサーは割と発達してる。と、俺は思ってる。だからキリ相手にも発動したのだろう。女どもなんてブースそっちのけでキリをチラチラ見てやがる。一部の男もだ。
あぁ、クソ。目立ちやがって。
ラキの関係者か何かと間違われてるのか、俺の近くに居る女どもが芸能事務所の子では?と話していた。
ちげぇよ。陰キャのドルオタだっての。元、だけどな。
俺はキリに近付いてクイッと襟首を掴んだ。
「ぐんっ」
キリの喉から変な声がして、後ろにバランスを崩してきた。想定の範囲内なのでキリを抱き留める。
「キリ、落ち着け。ブースは逃げない。もう少しで開演だから、そろそろ席確認しようぜ」
わざと周囲に聞こえるように名前を呼んでやった。
知ってるよな?
最前に行かない古参の陰キャドルオタ。
でもフリも口上も完璧。
SNSでは全肯定の脳内お花畑。
そして、
ラキのオキニだ。
ここの中に匿名掲示板でキリの容姿を叩いていたやつは居るだろうか?
周りの反応を見てみたけど、そこまでは分からなかった。
叩くまで行かなくても、現場組ならキリの事も知ってるだろ?
せいぜい驚いてろ。
▪▫❑⧉◻︎□◻︎□◻︎⧉❑▫▪
チケットは連番で取ったのでテーブルはキリと一緒だ。安堵したキリの顔を見て俺も顔が綻んだ。頼りにされているのは心地よい。
今回のイベントのテーマは披露宴と言っていたが、かなり力の入った会場だった。席札メッセージカードもラキの手書きだ。定型文ではあるだろうが、来場者全員分は純粋に尊敬する。
そう言えばキリが結婚式と披露宴の違いを理解していなかった。ずっと結婚式みたいと言っていたので、披露宴じゃね?と訂正してみたが、まぁ直ぐに忘れそうな顔で頷いていた。正直どうでもいい事だしな。
いつもと違う雰囲気に、キリは物珍しそうにキョロキョロと辺りを見渡し、近くのテーブルの奴らや、同席してるやつはそんなキリをチラチラと見ていた。
俺はキリのトータルコディネートを手がけた。今まで仕込んできた集大成だ。
仕上がりは上場。
きっと誰もあの陰キャなドルオタキリだと思わないだろう。
今、俺の目の前に立っているのはキラキラのラキすらも霞ませてしまうのではないかと思うくらいの美少年が立っている。
俺からしたらカジュアルめだが、キリ的にはカッチリ系なのだろう。少し居心地悪そうに身動ぎをしていた。
俺は俺で、キリと対になるつもりは無かったのだが、結果的にシンプルなパンツにジャケットを羽織ったので、ちょっとしたリンクコーデの様になった。
お互い準備が整えば、改めて俺はキリの姿を見る。
「キリも良く似合っている」
そう言ってキリの頬をスリっと撫でると、やつはビックリしたように目を丸くし、少し頬を赤らめた。
少しくらい意識してくれてもいいんだがと思い、キリの頭や頬を撫でたり抱き締めたり、そこそこスキンシップを多めに取ってきた。まぁ、家族にする程度の優しいものではあるが。
聞けば、キリの家庭ではそこまで家族であってもスキンシップはしてなかったらしい。嫌がられるかと思ったが、俯いて「ちょっと恥ずかしいけど嬉しいね」と笑うキリが見れたので、遠慮はしなかった。
こいつは、イベントが終わったら自分のアパートに戻るつもりでいるのだろう。たまに遠くを見て寂しそうな顔をしてるが、そんなのは杞憂だ。
囲いこんでやる。
▪▫❑⧉◻︎□◻︎□◻︎⧉❑▫▪
なんて感情はおくびにも出さず、2人でイベント会場へ向かう。
場所は都内の有名ホテル。
既に開場されており、中に入ればホールの一角にファンが集まっていた。
ラキの変遷ブースが出来上がっていた。
俺がラキに嵌ったのはつい最近で、好きは好きだが、衣装の陳列も初めてのライブ会場がどこだろうと、どうでも良かった。
けどキリはそうじゃないのは分かっている。目をキラキラに輝かせ、ブースに突進していた。もちろん陰キャらしく他の人に迷惑がかからないよう距離を保ってだ。
そして、自分を陰キャなドルオタだと思ってるのは、もうキリしかいない。
えらい美少年がハスハスしながらブースに来たもんだから周りが驚いている。ドルオタなんて周りが見えてないと思うだろ?あいつらの美センサーは割と発達してる。と、俺は思ってる。だからキリ相手にも発動したのだろう。女どもなんてブースそっちのけでキリをチラチラ見てやがる。一部の男もだ。
あぁ、クソ。目立ちやがって。
ラキの関係者か何かと間違われてるのか、俺の近くに居る女どもが芸能事務所の子では?と話していた。
ちげぇよ。陰キャのドルオタだっての。元、だけどな。
俺はキリに近付いてクイッと襟首を掴んだ。
「ぐんっ」
キリの喉から変な声がして、後ろにバランスを崩してきた。想定の範囲内なのでキリを抱き留める。
「キリ、落ち着け。ブースは逃げない。もう少しで開演だから、そろそろ席確認しようぜ」
わざと周囲に聞こえるように名前を呼んでやった。
知ってるよな?
最前に行かない古参の陰キャドルオタ。
でもフリも口上も完璧。
SNSでは全肯定の脳内お花畑。
そして、
ラキのオキニだ。
ここの中に匿名掲示板でキリの容姿を叩いていたやつは居るだろうか?
周りの反応を見てみたけど、そこまでは分からなかった。
叩くまで行かなくても、現場組ならキリの事も知ってるだろ?
せいぜい驚いてろ。
▪▫❑⧉◻︎□◻︎□◻︎⧉❑▫▪
チケットは連番で取ったのでテーブルはキリと一緒だ。安堵したキリの顔を見て俺も顔が綻んだ。頼りにされているのは心地よい。
今回のイベントのテーマは披露宴と言っていたが、かなり力の入った会場だった。席札メッセージカードもラキの手書きだ。定型文ではあるだろうが、来場者全員分は純粋に尊敬する。
そう言えばキリが結婚式と披露宴の違いを理解していなかった。ずっと結婚式みたいと言っていたので、披露宴じゃね?と訂正してみたが、まぁ直ぐに忘れそうな顔で頷いていた。正直どうでもいい事だしな。
いつもと違う雰囲気に、キリは物珍しそうにキョロキョロと辺りを見渡し、近くのテーブルの奴らや、同席してるやつはそんなキリをチラチラと見ていた。
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