28 / 200
第一章:本編
14-マチナカ サガリ は、いつも通り。
ラキの5周年記念イベント当日。
俺はキリのトータルコディネートを手がけた。今まで仕込んできた集大成だ。
仕上がりは上場。
きっと誰もあの陰キャなドルオタキリだと思わないだろう。
今、俺の目の前に立っているのはキラキラのラキすらも霞ませてしまうのではないかと思うくらいの美少年が立っている。
俺からしたらカジュアルめだが、キリ的にはカッチリ系なのだろう。少し居心地悪そうに身動ぎをしていた。
俺は俺で、キリと対になるつもりは無かったのだが、結果的にシンプルなパンツにジャケットを羽織ったので、ちょっとしたリンクコーデの様になった。
お互い準備が整えば、改めて俺はキリの姿を見る。
「キリも良く似合っている」
そう言ってキリの頬をスリっと撫でると、やつはビックリしたように目を丸くし、少し頬を赤らめた。
少しくらい意識してくれてもいいんだがと思い、キリの頭や頬を撫でたり抱き締めたり、そこそこスキンシップを多めに取ってきた。まぁ、家族にする程度の優しいものではあるが。
聞けば、キリの家庭ではそこまで家族であってもスキンシップはしてなかったらしい。嫌がられるかと思ったが、俯いて「ちょっと恥ずかしいけど嬉しいね」と笑うキリが見れたので、遠慮はしなかった。
こいつは、イベントが終わったら自分のアパートに戻るつもりでいるのだろう。たまに遠くを見て寂しそうな顔をしてるが、そんなのは杞憂だ。
囲いこんでやる。
▪▫❑⧉◻︎□◻︎□◻︎⧉❑▫▪
なんて感情はおくびにも出さず、2人でイベント会場へ向かう。
場所は都内の有名ホテル。
既に開場されており、中に入ればホールの一角にファンが集まっていた。
ラキの変遷ブースが出来上がっていた。
俺がラキに嵌ったのはつい最近で、好きは好きだが、衣装の陳列も初めてのライブ会場がどこだろうと、どうでも良かった。
けどキリはそうじゃないのは分かっている。目をキラキラに輝かせ、ブースに突進していた。もちろん陰キャらしく他の人に迷惑がかからないよう距離を保ってだ。
そして、自分を陰キャなドルオタだと思ってるのは、もうキリしかいない。
えらい美少年がハスハスしながらブースに来たもんだから周りが驚いている。ドルオタなんて周りが見えてないと思うだろ?あいつらの美センサーは割と発達してる。と、俺は思ってる。だからキリ相手にも発動したのだろう。女どもなんてブースそっちのけでキリをチラチラ見てやがる。一部の男もだ。
あぁ、クソ。目立ちやがって。
ラキの関係者か何かと間違われてるのか、俺の近くに居る女どもが芸能事務所の子では?と話していた。
ちげぇよ。陰キャのドルオタだっての。元、だけどな。
俺はキリに近付いてクイッと襟首を掴んだ。
「ぐんっ」
キリの喉から変な声がして、後ろにバランスを崩してきた。想定の範囲内なのでキリを抱き留める。
「キリ、落ち着け。ブースは逃げない。もう少しで開演だから、そろそろ席確認しようぜ」
わざと周囲に聞こえるように名前を呼んでやった。
知ってるよな?
最前に行かない古参の陰キャドルオタ。
でもフリも口上も完璧。
SNSでは全肯定の脳内お花畑。
そして、
ラキのオキニだ。
ここの中に匿名掲示板でキリの容姿を叩いていたやつは居るだろうか?
周りの反応を見てみたけど、そこまでは分からなかった。
叩くまで行かなくても、現場組ならキリの事も知ってるだろ?
せいぜい驚いてろ。
▪▫❑⧉◻︎□◻︎□◻︎⧉❑▫▪
チケットは連番で取ったのでテーブルはキリと一緒だ。安堵したキリの顔を見て俺も顔が綻んだ。頼りにされているのは心地よい。
今回のイベントのテーマは披露宴と言っていたが、かなり力の入った会場だった。席札メッセージカードもラキの手書きだ。定型文ではあるだろうが、来場者全員分は純粋に尊敬する。
そう言えばキリが結婚式と披露宴の違いを理解していなかった。ずっと結婚式みたいと言っていたので、披露宴じゃね?と訂正してみたが、まぁ直ぐに忘れそうな顔で頷いていた。正直どうでもいい事だしな。
いつもと違う雰囲気に、キリは物珍しそうにキョロキョロと辺りを見渡し、近くのテーブルの奴らや、同席してるやつはそんなキリをチラチラと見ていた。
俺はキリのトータルコディネートを手がけた。今まで仕込んできた集大成だ。
仕上がりは上場。
きっと誰もあの陰キャなドルオタキリだと思わないだろう。
今、俺の目の前に立っているのはキラキラのラキすらも霞ませてしまうのではないかと思うくらいの美少年が立っている。
俺からしたらカジュアルめだが、キリ的にはカッチリ系なのだろう。少し居心地悪そうに身動ぎをしていた。
俺は俺で、キリと対になるつもりは無かったのだが、結果的にシンプルなパンツにジャケットを羽織ったので、ちょっとしたリンクコーデの様になった。
お互い準備が整えば、改めて俺はキリの姿を見る。
「キリも良く似合っている」
そう言ってキリの頬をスリっと撫でると、やつはビックリしたように目を丸くし、少し頬を赤らめた。
少しくらい意識してくれてもいいんだがと思い、キリの頭や頬を撫でたり抱き締めたり、そこそこスキンシップを多めに取ってきた。まぁ、家族にする程度の優しいものではあるが。
聞けば、キリの家庭ではそこまで家族であってもスキンシップはしてなかったらしい。嫌がられるかと思ったが、俯いて「ちょっと恥ずかしいけど嬉しいね」と笑うキリが見れたので、遠慮はしなかった。
こいつは、イベントが終わったら自分のアパートに戻るつもりでいるのだろう。たまに遠くを見て寂しそうな顔をしてるが、そんなのは杞憂だ。
囲いこんでやる。
▪▫❑⧉◻︎□◻︎□◻︎⧉❑▫▪
なんて感情はおくびにも出さず、2人でイベント会場へ向かう。
場所は都内の有名ホテル。
既に開場されており、中に入ればホールの一角にファンが集まっていた。
ラキの変遷ブースが出来上がっていた。
俺がラキに嵌ったのはつい最近で、好きは好きだが、衣装の陳列も初めてのライブ会場がどこだろうと、どうでも良かった。
けどキリはそうじゃないのは分かっている。目をキラキラに輝かせ、ブースに突進していた。もちろん陰キャらしく他の人に迷惑がかからないよう距離を保ってだ。
そして、自分を陰キャなドルオタだと思ってるのは、もうキリしかいない。
えらい美少年がハスハスしながらブースに来たもんだから周りが驚いている。ドルオタなんて周りが見えてないと思うだろ?あいつらの美センサーは割と発達してる。と、俺は思ってる。だからキリ相手にも発動したのだろう。女どもなんてブースそっちのけでキリをチラチラ見てやがる。一部の男もだ。
あぁ、クソ。目立ちやがって。
ラキの関係者か何かと間違われてるのか、俺の近くに居る女どもが芸能事務所の子では?と話していた。
ちげぇよ。陰キャのドルオタだっての。元、だけどな。
俺はキリに近付いてクイッと襟首を掴んだ。
「ぐんっ」
キリの喉から変な声がして、後ろにバランスを崩してきた。想定の範囲内なのでキリを抱き留める。
「キリ、落ち着け。ブースは逃げない。もう少しで開演だから、そろそろ席確認しようぜ」
わざと周囲に聞こえるように名前を呼んでやった。
知ってるよな?
最前に行かない古参の陰キャドルオタ。
でもフリも口上も完璧。
SNSでは全肯定の脳内お花畑。
そして、
ラキのオキニだ。
ここの中に匿名掲示板でキリの容姿を叩いていたやつは居るだろうか?
周りの反応を見てみたけど、そこまでは分からなかった。
叩くまで行かなくても、現場組ならキリの事も知ってるだろ?
せいぜい驚いてろ。
▪▫❑⧉◻︎□◻︎□◻︎⧉❑▫▪
チケットは連番で取ったのでテーブルはキリと一緒だ。安堵したキリの顔を見て俺も顔が綻んだ。頼りにされているのは心地よい。
今回のイベントのテーマは披露宴と言っていたが、かなり力の入った会場だった。席札メッセージカードもラキの手書きだ。定型文ではあるだろうが、来場者全員分は純粋に尊敬する。
そう言えばキリが結婚式と披露宴の違いを理解していなかった。ずっと結婚式みたいと言っていたので、披露宴じゃね?と訂正してみたが、まぁ直ぐに忘れそうな顔で頷いていた。正直どうでもいい事だしな。
いつもと違う雰囲気に、キリは物珍しそうにキョロキョロと辺りを見渡し、近くのテーブルの奴らや、同席してるやつはそんなキリをチラチラと見ていた。
あなたにおすすめの小説
ハイスペックストーカーに追われています
たかつきよしき
BL
祐樹は美少女顔負けの美貌で、朝の通勤ラッシュアワーを、女性専用車両に乗ることで回避していた。しかし、そんなことをしたバチなのか、ハイスペック男子の昌磨に一目惚れされて求愛をうける。男に告白されるなんて、冗談じゃねぇ!!と思ったが、この昌磨という男なかなかのハイスペック。利用できる!と、判断して、近づいたのが失敗の始まり。とある切っ掛けで、男だとバラしても昌磨の愛は諦めることを知らず、ハイスペックぶりをフルに活用して迫ってくる!!
と言うタイトル通りの内容。前半は笑ってもらえたらなぁと言う気持ちで、後半はシリアスにBLらしく萌えると感じて頂けるように書きました。
完結しました。
ハイスペックED~元凶の貧乏大学生と同居生活~
みきち@書籍発売中!
BL
イケメン投資家(24)が、学生時代に初恋拗らせてEDになり、元凶の貧乏大学生(19)と同居する話。
成り行きで添い寝してたらとんでも関係になっちゃう、コメディ風+お料理要素あり♪
イケメン投資家(高見)×貧乏大学生(主人公:凛)
前世が飼い猫だったので、今世もちゃんと飼って下さい
夜鳥すぱり
BL
黒猫のニャリスは、騎士のラクロア(20)の家の飼い猫。とってもとっても、飼い主のラクロアのことが大好きで、いつも一緒に過ごしていました。ある寒い日、メイドが何か怪しげな液体をラクロアが飲むワインへ入れています。ニャリスは、ラクロアに飲まないように訴えるが……
◆いつもハート、エール、しおりをありがとうございます。冒頭暗いのに耐えて読んでくれてありがとうございました。いつもながら感謝です。
◆お友達の花々緒さんが、表紙絵描いて下さりました。可愛いニャリスと、悩ましげなラクロア様。
◆これもいつか続きを書きたいです、猫の日にちょっとだけ続きを書いたのだけど、また直して投稿します。
俺は夜、社長の猫になる
衣草 薫
BL
冤罪で職を追われた葵は、若き社長・鷹宮に拾われる。
ただし条件は――夜は“猫”として過ごすこと。
言葉を話さず、ただ撫でられるだけの奇妙な同居生活。
タワマン高層階の部屋で、葵は距離を崩さない鷹宮に少しずつ惹かれていく。
けれど葵はまだ知らない。自分が拾われた本当の理由を。
相性最高な最悪の男 ~ラブホで会った大嫌いな同僚に執着されて逃げられない~
柊 千鶴
BL
【執着攻め×強気受け】
人付き合いを好まず、常に周囲と一定の距離を置いてきた篠崎には、唯一激しく口論を交わす男がいた。
その仲の悪さから「天敵」と称される同期の男だ。
完璧人間と名高い男とは性格も意見も合わず、顔を合わせればいがみ合う日々を送っていた。
ところがある日。
篠崎が人肌恋しさを慰めるため、出会い系サイトで男を見繕いホテルに向かうと、部屋の中では件の「天敵」月島亮介が待っていた。
「ど、どうしてお前がここにいる⁉」「それはこちらの台詞だ…!」
一夜の過ちとして終わるかと思われた関係は、徐々にふたりの間に変化をもたらし、月島の秘められた執着心が明らかになっていく。
いつも嫌味を言い合っているライバルとマッチングしてしまい、一晩だけの関係で終わるには惜しいほど身体の相性は良く、抜け出せないまま囲われ執着され溺愛されていく話。小説家になろうに投稿した小説の改訂版です。
合わせて漫画もよろしくお願いします。(https://www.alphapolis.co.jp/manga/763604729/304424900)
運命の番は僕に振り向かない
ゆうに
BL
大好きだったアルファの恋人が旅先で運命の番と出会ってしまい、泣く泣く別れた経験があるオメガの千遥。
それ以来、ずっと自分の前にも運命の番があらわれることを切に願っていた。
オメガひとりの生活は苦しく、千遥は仕方なく身体を売って稼ぐことを決心する。
ネットで知り合った相手と待ち合わせ、雑踏の中を歩いている時、千遥は自分の運命の番を見つけた。
ところが視線が確かに合ったのに運命の番は千遥を避けるように去っていく。彼の隣には美しいオメガがいた。
ベータのような平凡な見た目のオメガが主人公です。
ふんわり現代、ふんわりオメガバース、設定がふんわりしてます。
完結しました!ありがとうございました。
姉が結婚式から逃げ出したので、身代わりにヤクザの嫁になりました
拓海のり
BL
芳原暖斗(はると)は学校の文化祭の都合で姉の結婚式に遅れた。会場に行ってみると姉も両親もいなくて相手の男が身代わりになれと言う。とても断れる雰囲気ではなくて結婚式を挙げた暖斗だったがそのまま男の家に引き摺られて──。
昔書いたお話です。殆んど直していません。やくざ、カップル続々がダメな方はブラウザバックお願いします。やおいファンタジーなので細かい事はお許しください。よろしくお願いします。
タイトルを変えてみました。
借金のカタに同居したら、毎日甘く溺愛されてます
なの
BL
父親の残した借金を背負い、掛け持ちバイトで食いつなぐ毎日。
そんな俺の前に現れたのは──御曹司の男。
「借金は俺が肩代わりする。その代わり、今日からお前は俺のものだ」
脅すように言ってきたくせに、実際はやたらと優しいし、甘すぎる……!
高級スイーツを買ってきたり、風邪をひけば看病してくれたり、これって本当に借金返済のはずだったよな!?
借金から始まる強制同居は、いつしか恋へと変わっていく──。
冷酷な御曹司 × 借金持ち庶民の同居生活は、溺愛だらけで逃げ場なし!?
短編小説です。サクッと読んでいただけると嬉しいです。