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第一章:本編
15-カナタ キリ は、楽しむ。
僕がキョロキョロと辺りを見回していると、辺りが暗くなった。
ラキちゃんのデビュー曲のイントロが流れると、着席しているファン達もザワつき、扉に目を向けた。
ライトが扉に当たり、ゆっくりと開くと、真っ白なドレスを着たラキちゃんが入場してきた。
本当に結婚式みたい。
結婚式に呼ばれたことないけど。
あれ?披露宴だっけ?もうどっちでもいいや。
とにかく、ラキちゃんが世界で一番の花嫁さんに見えた。
「みんなー!今日は私のアイドルデビュー5周年記念イベントに来てくれてありがとう。みんな楽しんでね!」
ドレスなんて動き辛そうな格好なのに、スカートの裾をヒラヒラと揺らし、歌いながらゆっくりと歩いて行く。
綺麗……かわいい……
見惚れていると、僕たちが座っているテーブルまで近付いてきてくれた。
フロア全体を回ってるみたい。
ラキちゃんが手を振ってくれる。
僕も他の人に迷惑がかからないように、ラキちゃんに向かって小さく手を振った。
▪▫❑⧉◻︎□◻︎□◻︎⧉❑▫▪
その後も、ラキちゃんはドレスのまま歌ってダンスして、僕たちを楽しませてくれた。
曲が終わると、ラキちゃんのMC。
「みんなで乾杯しよー!」と、グラスに注がれた飲み物で乾杯すると、コース料理が運ばれてきた。テーブルマナーとか、全く分からなかったので、マチ君に教わりながら食事を進めたけど、どれもみんな美味しかった。
食事中、デビューライブの映像が流れたかと思えば、シンガーソングライター時代の映像、果てはジュニアアイドルをしていた頃のちっちゃなラキちゃんの映像も流れて、口も目も何もかもが忙しかった。
「ずっとずっと前の映像なんて恥ずかしいね」
なんて、ラキちゃんは照れていたけど、僕たちはずっと沸き立っていた。
途中で、衣装を変えると言ってステージからはけた時は、音声のみの放送でお着替えの実況をしてくれていた。
僕、ちょっと興奮。
「ねぇー!なんでこんなにギッチギチにコルセット付け……はぁっはぁ!取れたっ。らくちんっ!花嫁さんって大変なのね。将来旦那さまになる人たちは未来の花嫁さんを大事にするんだよ!」
凄い……シャラシャラと布の擦れる音がリアルだ。
恥ずかしさで思わず両手で顔を隠す。
ペシっと後頭部を叩かれたので顔を上げると、マチ君が苦笑いしていた。
「もうちょっとフラットに受け止めてやれ」
そんな事言われたって恥ずかしいものは恥ずかしいんだもん……
▪▫❑⧉◻︎□◻︎□◻︎⧉❑▫▪
お着替えが終わったラキちゃんは、アイドルらしいキラキラの新しい衣装に身を包んで再登場してくれた。
かかった曲は、知らない曲。
新曲だった!
ラキちゃんらしい、キラキラでウキウキ楽しくなる曲。
……でも……?と、僕は首を傾げた。
何がどう、と詳しくは言葉に出来ないのだけど、違和感があった。
メロディも歌詞もラキちゃんらしいのだけど、何かが違う……
チラっとマチ君を見ると、ジッとラキちゃんを見つめていた。
曲が終わると、ラキちゃんはペットボトルのお水を飲んだ。
ついでにご飯も食べてる。
うん、コルセットがキツかったって言ってたもんね。
自由な所もかわいいな。
一息着いたところでラキちゃんが口を開いた。
「新しい曲、どうだったかな?これから、みんなに大切なお知らせがあります」
アイドルの「大切なお知らせ」ほど怖いものは無い。ピンッと空気が張り詰めるのが分かった。
「んもう、そんな身構えないで。結婚でも引退でも無いよ!この披露宴だってみんなと結婚するつもりで作ったんだから!」
頬を膨らまして怒る仕草がかわいい。
しかも僕らと結婚だって!!
うん、結婚しよっ!!
「えっとね、今までフリーで活動してきたのですが、ヒラキラキは今後、事務所に所属する事になりました。CANDY STAGEさんのお世話になります!」
まさかの事務所入り。
「基本、今までと活動内容は変わらないけど、ちょっと仕事の幅が広がったり、一緒に活動する人が増えたりするかも?みんなにも、もっともっと色んなヒラキラキを見せたいな」
今回の新曲は、CANDY STAGEに所属するアイドルグループが良くお世話になってるアレンジャーの人だった。
だから違和感があったのか。
ちょっと納得。
大事なお知らせの後、ラキちゃんの怒涛のライブパフォーマンスが続いた。アンコールも終わって、ファン達は大満足。
名残惜しいけど、アンコール2回で今回のイベントはおしまい。
最後に、ラキちゃんがお土産を一人一人手渡してお見送りをしてくれた。
僕の番に来た時、ラキちゃんはとても素敵な笑顔だった。
「キリ君、私はすぐ分かったよ。沢山オシャレしてきてくれてありがとう。とってもかわいい」
「あっ……あっ……」
言いたい事は何も言えず、お土産の手提げを貰って剥がされた。
✂ーーーーーーーーーーーーー✂
CANDY STAGE→ 『食べたい2人の気散事』『ミニマム男子の睦事』に出てくる秋葉原にあるライブステージ併設のコンセプトカフェ。芸能事務所も手掛けるようになりました。
ラキちゃんのデビュー曲のイントロが流れると、着席しているファン達もザワつき、扉に目を向けた。
ライトが扉に当たり、ゆっくりと開くと、真っ白なドレスを着たラキちゃんが入場してきた。
本当に結婚式みたい。
結婚式に呼ばれたことないけど。
あれ?披露宴だっけ?もうどっちでもいいや。
とにかく、ラキちゃんが世界で一番の花嫁さんに見えた。
「みんなー!今日は私のアイドルデビュー5周年記念イベントに来てくれてありがとう。みんな楽しんでね!」
ドレスなんて動き辛そうな格好なのに、スカートの裾をヒラヒラと揺らし、歌いながらゆっくりと歩いて行く。
綺麗……かわいい……
見惚れていると、僕たちが座っているテーブルまで近付いてきてくれた。
フロア全体を回ってるみたい。
ラキちゃんが手を振ってくれる。
僕も他の人に迷惑がかからないように、ラキちゃんに向かって小さく手を振った。
▪▫❑⧉◻︎□◻︎□◻︎⧉❑▫▪
その後も、ラキちゃんはドレスのまま歌ってダンスして、僕たちを楽しませてくれた。
曲が終わると、ラキちゃんのMC。
「みんなで乾杯しよー!」と、グラスに注がれた飲み物で乾杯すると、コース料理が運ばれてきた。テーブルマナーとか、全く分からなかったので、マチ君に教わりながら食事を進めたけど、どれもみんな美味しかった。
食事中、デビューライブの映像が流れたかと思えば、シンガーソングライター時代の映像、果てはジュニアアイドルをしていた頃のちっちゃなラキちゃんの映像も流れて、口も目も何もかもが忙しかった。
「ずっとずっと前の映像なんて恥ずかしいね」
なんて、ラキちゃんは照れていたけど、僕たちはずっと沸き立っていた。
途中で、衣装を変えると言ってステージからはけた時は、音声のみの放送でお着替えの実況をしてくれていた。
僕、ちょっと興奮。
「ねぇー!なんでこんなにギッチギチにコルセット付け……はぁっはぁ!取れたっ。らくちんっ!花嫁さんって大変なのね。将来旦那さまになる人たちは未来の花嫁さんを大事にするんだよ!」
凄い……シャラシャラと布の擦れる音がリアルだ。
恥ずかしさで思わず両手で顔を隠す。
ペシっと後頭部を叩かれたので顔を上げると、マチ君が苦笑いしていた。
「もうちょっとフラットに受け止めてやれ」
そんな事言われたって恥ずかしいものは恥ずかしいんだもん……
▪▫❑⧉◻︎□◻︎□◻︎⧉❑▫▪
お着替えが終わったラキちゃんは、アイドルらしいキラキラの新しい衣装に身を包んで再登場してくれた。
かかった曲は、知らない曲。
新曲だった!
ラキちゃんらしい、キラキラでウキウキ楽しくなる曲。
……でも……?と、僕は首を傾げた。
何がどう、と詳しくは言葉に出来ないのだけど、違和感があった。
メロディも歌詞もラキちゃんらしいのだけど、何かが違う……
チラっとマチ君を見ると、ジッとラキちゃんを見つめていた。
曲が終わると、ラキちゃんはペットボトルのお水を飲んだ。
ついでにご飯も食べてる。
うん、コルセットがキツかったって言ってたもんね。
自由な所もかわいいな。
一息着いたところでラキちゃんが口を開いた。
「新しい曲、どうだったかな?これから、みんなに大切なお知らせがあります」
アイドルの「大切なお知らせ」ほど怖いものは無い。ピンッと空気が張り詰めるのが分かった。
「んもう、そんな身構えないで。結婚でも引退でも無いよ!この披露宴だってみんなと結婚するつもりで作ったんだから!」
頬を膨らまして怒る仕草がかわいい。
しかも僕らと結婚だって!!
うん、結婚しよっ!!
「えっとね、今までフリーで活動してきたのですが、ヒラキラキは今後、事務所に所属する事になりました。CANDY STAGEさんのお世話になります!」
まさかの事務所入り。
「基本、今までと活動内容は変わらないけど、ちょっと仕事の幅が広がったり、一緒に活動する人が増えたりするかも?みんなにも、もっともっと色んなヒラキラキを見せたいな」
今回の新曲は、CANDY STAGEに所属するアイドルグループが良くお世話になってるアレンジャーの人だった。
だから違和感があったのか。
ちょっと納得。
大事なお知らせの後、ラキちゃんの怒涛のライブパフォーマンスが続いた。アンコールも終わって、ファン達は大満足。
名残惜しいけど、アンコール2回で今回のイベントはおしまい。
最後に、ラキちゃんがお土産を一人一人手渡してお見送りをしてくれた。
僕の番に来た時、ラキちゃんはとても素敵な笑顔だった。
「キリ君、私はすぐ分かったよ。沢山オシャレしてきてくれてありがとう。とってもかわいい」
「あっ……あっ……」
言いたい事は何も言えず、お土産の手提げを貰って剥がされた。
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CANDY STAGE→ 『食べたい2人の気散事』『ミニマム男子の睦事』に出てくる秋葉原にあるライブステージ併設のコンセプトカフェ。芸能事務所も手掛けるようになりました。
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