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第一章:本編
30-マチカナ サガリ の、痛恨。
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キリの可愛さが留まる事を知らない。
そう思っているのは俺だけでは無いはずだ。
元々素質があると確信し、せっせと餌付けにボディケア、髪型に服にと見た目を磨き続けていたら、外見と中身が伴わないモノが出来上がった。
しかも日々可愛いを更新してると来たもんだ。
しかも最近ようやく自覚も出てきたらしい。
いつだったか、若干自信無さそうに、
「サガリ君、……もしかして僕って本当に可愛い……の?……あの、好きになっちゃったら何でも可愛く見えちゃう、みたいなやつじゃなくて?」
と聞いてきやがった。
キリは『あばたもえくぼ』と言いたかったのか、一生懸命にことわざは出なくとも勘違いでは無いか?と訴えてきた。
「かわいい。キリは可愛いし、上から見ても下から見ても横から見ても美少年だろうが。俺の審美眼を疑うのかよ」
そう言い返すと、少し照れながら「そっかぁ」と呟いていた。
どうやら職場のパートにも言われるらしい。
なので改めて確認をしたのだと。
なんだよソレ。
俺が言っても信用しなかったクセに、パートに言われりゃ信じるのかよ。
腑に落ちないが、キリが自覚を持ってくれた事には感謝した。
ただ、性格は変わらず陰キャのままで、慣れてない人間に話しかけられれば慌てふためくし、ボソボソと何喋ってるのか聞き取り難いし、聞き取れても会話が成立してるとも限らない。
慣れれば割と喋るしコミュニケーションも取れるんだがと、ラキのファン同士のやり取りを思い出す。
ただ、今も相手との距離感に自信が無いのか、俺と話してる時の様な気軽さはなく、ぎこちなさを感じる。
その気安さは、俺だけの特権だと思っておけばいいか。
▪▫❑⧉◻︎□◻︎□◻︎⧉❑▫▪
キリが己の外見の良さを自覚したからと言って鼻にかける事は一切無い。
むしろ褒められ慣れてないせいで「かわいい」と評しても、どう受け応えたら良いか分からず、曖昧に笑って目を泳がせてるだけだ。
そんな反応さえ愛おしい。
なんて事を考えながら、キリがまた俺のマンションに泊まりに来た時に、風呂上がりのボディケアの後、
「キリ、かわいい」
と、いつものように褒めた。
そうすれば、キリはまた微妙な反応をしながら下手に笑うだろう……
そう思っていたが、
「ありがと、良く言われる」
顎を突き出すような上からの視線(身長差により見下されてはいない)、自信たっぷりの表情で返しが来た。
は?
コイツは誰だ?
可愛いんだが?
一瞬状況が飲み込めず、俺とした事が固まってしまった。
何か言え、と思うが言葉が出ない。
知ってるか?オタクって感情の基準値を超えると無言になるんだよ。
で、体が震える。
あの陰キャのキリのドヤった顔。
言い慣れてない感じなのに自信たっぷり。
そのギャップよ。
目の前ではキリがオロオロと狼狽えてる。
恐らく俺の反応が何も無いからだろう。
無反応なのは、処理が追い付いてないだけで心では喋ってる。
「あっあっ!あああのっっ!!ごっっゴメ」
沈黙に耐えられなくなったのか、キリが言葉を発したが俺はそれに被せるように叫んでいた。
「さっっっっいこーーーー!!!かよ!!!!なんだよその返し!!!天使か!?小悪魔か!?小悪魔だろ!!何処で覚えて来たそんなけしからん!!誰だ!?誰の仕込みだ!?」
脳内の処理がようやく追いつき、キリの肩を掴んで揺らす。
これは絶対に誰かの仕込みだ。
キリ1人で出来る事ではない。
しかも言い慣れてない雰囲気はあるのに対応がスムーズだった。絶対に練習してるだろ。
誰だ?誰だ?誰だ?
必死になって問い詰めると、
「サガリ君……限界オタクみたい……」
ボソッと呟かれた。
否定はしねーな。
「っったりめーだろ!!キリの限界オタクだっつーーの!!そのサイコーの返しを仕込んだ奴を言え!ちょっと課金して来る」
取り敢えず仕込んだヤツに感謝を伝えたい。
そう思っているのは俺だけでは無いはずだ。
元々素質があると確信し、せっせと餌付けにボディケア、髪型に服にと見た目を磨き続けていたら、外見と中身が伴わないモノが出来上がった。
しかも日々可愛いを更新してると来たもんだ。
しかも最近ようやく自覚も出てきたらしい。
いつだったか、若干自信無さそうに、
「サガリ君、……もしかして僕って本当に可愛い……の?……あの、好きになっちゃったら何でも可愛く見えちゃう、みたいなやつじゃなくて?」
と聞いてきやがった。
キリは『あばたもえくぼ』と言いたかったのか、一生懸命にことわざは出なくとも勘違いでは無いか?と訴えてきた。
「かわいい。キリは可愛いし、上から見ても下から見ても横から見ても美少年だろうが。俺の審美眼を疑うのかよ」
そう言い返すと、少し照れながら「そっかぁ」と呟いていた。
どうやら職場のパートにも言われるらしい。
なので改めて確認をしたのだと。
なんだよソレ。
俺が言っても信用しなかったクセに、パートに言われりゃ信じるのかよ。
腑に落ちないが、キリが自覚を持ってくれた事には感謝した。
ただ、性格は変わらず陰キャのままで、慣れてない人間に話しかけられれば慌てふためくし、ボソボソと何喋ってるのか聞き取り難いし、聞き取れても会話が成立してるとも限らない。
慣れれば割と喋るしコミュニケーションも取れるんだがと、ラキのファン同士のやり取りを思い出す。
ただ、今も相手との距離感に自信が無いのか、俺と話してる時の様な気軽さはなく、ぎこちなさを感じる。
その気安さは、俺だけの特権だと思っておけばいいか。
▪▫❑⧉◻︎□◻︎□◻︎⧉❑▫▪
キリが己の外見の良さを自覚したからと言って鼻にかける事は一切無い。
むしろ褒められ慣れてないせいで「かわいい」と評しても、どう受け応えたら良いか分からず、曖昧に笑って目を泳がせてるだけだ。
そんな反応さえ愛おしい。
なんて事を考えながら、キリがまた俺のマンションに泊まりに来た時に、風呂上がりのボディケアの後、
「キリ、かわいい」
と、いつものように褒めた。
そうすれば、キリはまた微妙な反応をしながら下手に笑うだろう……
そう思っていたが、
「ありがと、良く言われる」
顎を突き出すような上からの視線(身長差により見下されてはいない)、自信たっぷりの表情で返しが来た。
は?
コイツは誰だ?
可愛いんだが?
一瞬状況が飲み込めず、俺とした事が固まってしまった。
何か言え、と思うが言葉が出ない。
知ってるか?オタクって感情の基準値を超えると無言になるんだよ。
で、体が震える。
あの陰キャのキリのドヤった顔。
言い慣れてない感じなのに自信たっぷり。
そのギャップよ。
目の前ではキリがオロオロと狼狽えてる。
恐らく俺の反応が何も無いからだろう。
無反応なのは、処理が追い付いてないだけで心では喋ってる。
「あっあっ!あああのっっ!!ごっっゴメ」
沈黙に耐えられなくなったのか、キリが言葉を発したが俺はそれに被せるように叫んでいた。
「さっっっっいこーーーー!!!かよ!!!!なんだよその返し!!!天使か!?小悪魔か!?小悪魔だろ!!何処で覚えて来たそんなけしからん!!誰だ!?誰の仕込みだ!?」
脳内の処理がようやく追いつき、キリの肩を掴んで揺らす。
これは絶対に誰かの仕込みだ。
キリ1人で出来る事ではない。
しかも言い慣れてない雰囲気はあるのに対応がスムーズだった。絶対に練習してるだろ。
誰だ?誰だ?誰だ?
必死になって問い詰めると、
「サガリ君……限界オタクみたい……」
ボソッと呟かれた。
否定はしねーな。
「っったりめーだろ!!キリの限界オタクだっつーーの!!そのサイコーの返しを仕込んだ奴を言え!ちょっと課金して来る」
取り敢えず仕込んだヤツに感謝を伝えたい。
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