地下アイドルを推してたワープアコミュ障陰キャな僕だけど気付いたら執着系ハイスペイケメンに僕が推されて(性的にも)磨かれました?

黒川

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第一章:本編

32-カナタ キリ は、狙われる。

ラキちゃんの弾き語りも終わってイベントは完全に終わった。
ステージの幕が下りて、客席が明るくなった。
でも、僕の涙は止まらなくて……

「ラ゛キ゛ち゛ゃーーん…………はぁ、最高……最高だよ……」

気が付いたらサガリ君がハンカチで僕の顔を拭いてくれていた。

「キリ、キリ、顔汚ぇ。すっげー顔になってる。汚ぇ」

汚いって2回も言われた。

「だって……だって……ラキちゃんが……ラキちゃんが……うぅっ……」

「あぁ、分かってる。分かってるが顔が酷ぇ。泣き止めとも言わねーが、落ち着け。もう出るぞ」

座りっぱなしだった僕の腕を引っ張って立たせてくれる。
そのまま腰を抱かれてファンの人たちの流れに沿ってホールの出口に向かった。
周りを見れば僕みたいにボロボロに泣いてる人もいれば、ちょっと目が潤んでる人も居たから、みんなラキちゃんの弾き語りに感動したんだねと、知らない人たちだったけど親近感を持った。

「マチ君ありがと。もう1人で歩けるから離して平気」

ラキちゃんの現場では、僕はサガリ君の事をマチ君と呼んでる。
最近、他のファンの人たちとおしゃべりするようになったから、SNSのアカウントと同じ呼び方にしてるんだ。

サガリ君と並んで、人の流れに沿って今回の会場となった施設のエントランスまで出た。

まだ人がいっぱい。

帰る前に、いつもお喋りしてるファンの人たちが居たら挨拶くらいしたいなーと思ったけど、今回は人が多過ぎて見当たらなかった。

「キリ、トイレ寄ってきていい?」

そう切り出したのはサガリ君。
僕は大丈夫だったので、

「うん。行ってらっしゃい。ここで待ってるね」

エントランスの壁に寄ってサガリ君を見送った。

待ってる間にスマホの電源を入れて、SNSの投稿をチェックしていたら、目の前に大きな影が出来て思わず顔を上げてしまった。

「ちょっといいかな?」

カッチリとしたスーツを着た、背の大きい男性が僕に話しかけてきた。


▪▫❑⧉◻︎□◻︎□◻︎⧉❑▫▪


ミシナミ、と名乗ったその男の人は僕に名刺をくれた。
ミシナミ ミナミ、だって。
ミが多い、が第一印象かな。

「キミ、ラキ並に可愛いね。さっき一緒に居た子も偉いイケメンだったし。どう?芸能界興味無いかな?」

「え……?あ……あの……?……んん?」

名刺を良く見たら、ラキちゃんが所属している芸能事務所の名前も書いてあった。

「えぇー……??……あの、ぼく仕事してるんで……そういうの……」

しどろもどろながらも頑張って断ってると、サガリ君が戻って来て直ぐに僕の横に立ってくれた。

「俺のツレに何か?」

サガリ君は、僕の肩をグイッと引き寄せて、ミシナミさんを睨み付けている。

「あ、そう。キミもだよ。キミも。彼とキミにね、芸能界に興味無いか聞きたかったんだ。へぇ?2人並ぶとより華やかになるねぇ」

ミシナミさんは、サガリ君の睨みなんて気にしてない様子で、マイペースに話を進めていた。

「スカウト……キリ、お前は興味あるのか?」

絶対に答えなんて分かってるクセに。
サガリ君はニヤニヤしながら僕を見ている。

「ななな無いよ!無理だよ!」

「だそうなので、俺も興味無いのでスミマセン。他当たってください」

「そっかぁ、残念。あ、でも名刺は貰ってね。気が変わったら連絡頂戴」

ミシナミさんは、サガリ君にも無理矢理名刺を渡して立ち去った。

「ワリ。待たせてる間にスカウトとか、もうトイレにも連れて行かなきゃじゃんな?」

「えぇー?そこまで?」

「そこまで、」

「そっか」

まぁ、確かに知ってる人以外に話しかけられると、陰キャ丸出しの僕はいつどこで相手を不快な気持ちにさせてしまうか分からないし、誰かと一緒に居られるなら居た方がいいよね。
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