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第一章:本編
32-マチナカ サガリ も、狙われる。
ラキのイベントも無事終わった。
幕が降り照明が点ったのでホールを後にしようとしたら、隣でキリが号泣していた。
いや、弾き語り辺りから泣いてんなー位には思っていたが、ライブでも良くある光景だったので放置していた。
けれども、久々に見たキリのクソデカ感情の顔には驚いた。
「ラ゛キ゛ち゛ゃーーん…………はぁ、最高……最高だよ……」
きったねぇ。
涙と鼻水拭け。
SEX中のコイツの泣き顔は、俺の理性が制御出来なくなるほどに扇情的なのに、なんでラキ関連になるとこんなに汚くなれるのだろうか?
お陰でかなり冷静に対処できた。
タオルハンカチを取り出してキリの顔を拭く。
「キリ、キリ、顔汚ぇ。すっげー顔になってる。汚ぇ」
汚過ぎて2回主張してしまった。
けれども本人は気にする事も無く、相変わらず泣いている。
「だって……だって……ラキちゃんが……ラキちゃんが……うぅっ……」
「あぁ、分かってる。分かってるが顔が酷ぇ。泣き止めとも言わねーが、落ち着け。もう出るぞ」
座りっぱなしだったキリの腕を引き上げ座席から立たせる。
そのまま腰を抱いて人の流れに沿ってホールの出口に向かった。
ったく、ライブじゃねーんだから……と、独りごちていたが、気づけばキリ以外にもボロボロに泣きながら出口に向かう奴らを何人と見た。
……確かに良い弾き語りだった……が……オタクのクソデカ感情スゲーな。
以降、俺はキリの泣き顔には言及せず出口を目指した。
「マチ君ありがと。もう1人で歩けるから離して平気」
キリはライブやイベント会場ではSNSのアカウント名で俺の事を呼ぶ。
本名バレでも気にしてるんだろう。
特に気にしてはいないが、キリの気遣いが嬉しい。
そのまま帰路に向かう予定だったが、少々もよおしたのでキリに断りを入れてトイレに向かった。
「キリ、トイレ寄ってきていい?」
「うん。行ってらっしゃい。ここで待ってるね」
ここ、と主張した場所はエントランスの壁側。
キリは壁に寄り掛かりスマホを取り出したので、俺もトイレに向かった。
▪▫❑⧉◻︎□◻︎□◻︎⧉❑▫▪
思ったより時間がかかってしまった。
男性トイレ少ないんだよ。
用を足して手を洗い、人を避けながらキリの元へと足を早めた。
並んでいる最中に気になる会話が耳に入って来た。
要領を得ないグダグダした会話だったが、要点としては「ラキの事務所の人がスカウトをしてる」との事。
会場に不釣り合いなスーツを着て男女問わず、見目のいい奴らに話しかけてるのだと。
……絶対にキリも話しかけられるだろ。
この会場でキリより見目のいいやつなんてラキと俺くらいしか居ねぇ。
しかも話し掛けてくれと言わんばかりにアイツは俺待ちでポヤポヤしてる筈だ。
急いでキリの元に戻ってみれば、案の定見知らぬ男がキリに話しかけていた。
「俺のツレに何か?」
すぐにキリの傍に寄って肩を引き寄せる。
相手の男への威圧も忘れずに、きっちりと睨みつけた。
「あ、そう。キミもだよ。キミも。彼とキミにね、芸能界に興味無いか聞きたかったんだ。へぇ?2人並ぶとより華やかになるねぇ」
やっぱり……と言う確信と、キリの意思確認をする。
まぁ、未だにゴリゴリの陰キャから脱却してないコイツの答えなんて分かっているけど。
「スカウト……キリ、お前は興味あるのか?」
「ななな無いよ!無理だよ!」
即答即答。
安心した。
「だそうなので、俺も興味無いのでスミマセン。他当たってください」
俺共々スカウトを断ると、それでも諦めてないのか、名刺を俺の手に捩じ込んで、去って行った。
名刺を確認すれば「ミシナミ ミナミ」と印刷されている。
……ミが多いな。
ミシナミは多少強引ではあったが、嫌な気はしなかった。
まぁ、ラキの所属する事務所だもんな。
基本はまともなのだろう。
けど、キリを1人にするとスカウトが来るのは頂けない。
「ワリ、待たせてる間にスカウトとか、もうトイレにも連れて行かなゃじゃんな?」
1人にしたら駄目だな。
今後はトイレにも連れて行く事を宣言したら不満を持たれた。
「えぇー?そこまで?」
「そこまで、」
と、言い返せば、
「そっか」
軽く納得された。
……束縛してる俺が言うのもなんだけど、コイツは本当に嫌がらないんだよなぁ。
✂ーーーーーーーーーーーー✂
明日で終わります。
最後までお付き合い頂けると嬉しいです。
幕が降り照明が点ったのでホールを後にしようとしたら、隣でキリが号泣していた。
いや、弾き語り辺りから泣いてんなー位には思っていたが、ライブでも良くある光景だったので放置していた。
けれども、久々に見たキリのクソデカ感情の顔には驚いた。
「ラ゛キ゛ち゛ゃーーん…………はぁ、最高……最高だよ……」
きったねぇ。
涙と鼻水拭け。
SEX中のコイツの泣き顔は、俺の理性が制御出来なくなるほどに扇情的なのに、なんでラキ関連になるとこんなに汚くなれるのだろうか?
お陰でかなり冷静に対処できた。
タオルハンカチを取り出してキリの顔を拭く。
「キリ、キリ、顔汚ぇ。すっげー顔になってる。汚ぇ」
汚過ぎて2回主張してしまった。
けれども本人は気にする事も無く、相変わらず泣いている。
「だって……だって……ラキちゃんが……ラキちゃんが……うぅっ……」
「あぁ、分かってる。分かってるが顔が酷ぇ。泣き止めとも言わねーが、落ち着け。もう出るぞ」
座りっぱなしだったキリの腕を引き上げ座席から立たせる。
そのまま腰を抱いて人の流れに沿ってホールの出口に向かった。
ったく、ライブじゃねーんだから……と、独りごちていたが、気づけばキリ以外にもボロボロに泣きながら出口に向かう奴らを何人と見た。
……確かに良い弾き語りだった……が……オタクのクソデカ感情スゲーな。
以降、俺はキリの泣き顔には言及せず出口を目指した。
「マチ君ありがと。もう1人で歩けるから離して平気」
キリはライブやイベント会場ではSNSのアカウント名で俺の事を呼ぶ。
本名バレでも気にしてるんだろう。
特に気にしてはいないが、キリの気遣いが嬉しい。
そのまま帰路に向かう予定だったが、少々もよおしたのでキリに断りを入れてトイレに向かった。
「キリ、トイレ寄ってきていい?」
「うん。行ってらっしゃい。ここで待ってるね」
ここ、と主張した場所はエントランスの壁側。
キリは壁に寄り掛かりスマホを取り出したので、俺もトイレに向かった。
▪▫❑⧉◻︎□◻︎□◻︎⧉❑▫▪
思ったより時間がかかってしまった。
男性トイレ少ないんだよ。
用を足して手を洗い、人を避けながらキリの元へと足を早めた。
並んでいる最中に気になる会話が耳に入って来た。
要領を得ないグダグダした会話だったが、要点としては「ラキの事務所の人がスカウトをしてる」との事。
会場に不釣り合いなスーツを着て男女問わず、見目のいい奴らに話しかけてるのだと。
……絶対にキリも話しかけられるだろ。
この会場でキリより見目のいいやつなんてラキと俺くらいしか居ねぇ。
しかも話し掛けてくれと言わんばかりにアイツは俺待ちでポヤポヤしてる筈だ。
急いでキリの元に戻ってみれば、案の定見知らぬ男がキリに話しかけていた。
「俺のツレに何か?」
すぐにキリの傍に寄って肩を引き寄せる。
相手の男への威圧も忘れずに、きっちりと睨みつけた。
「あ、そう。キミもだよ。キミも。彼とキミにね、芸能界に興味無いか聞きたかったんだ。へぇ?2人並ぶとより華やかになるねぇ」
やっぱり……と言う確信と、キリの意思確認をする。
まぁ、未だにゴリゴリの陰キャから脱却してないコイツの答えなんて分かっているけど。
「スカウト……キリ、お前は興味あるのか?」
「ななな無いよ!無理だよ!」
即答即答。
安心した。
「だそうなので、俺も興味無いのでスミマセン。他当たってください」
俺共々スカウトを断ると、それでも諦めてないのか、名刺を俺の手に捩じ込んで、去って行った。
名刺を確認すれば「ミシナミ ミナミ」と印刷されている。
……ミが多いな。
ミシナミは多少強引ではあったが、嫌な気はしなかった。
まぁ、ラキの所属する事務所だもんな。
基本はまともなのだろう。
けど、キリを1人にするとスカウトが来るのは頂けない。
「ワリ、待たせてる間にスカウトとか、もうトイレにも連れて行かなゃじゃんな?」
1人にしたら駄目だな。
今後はトイレにも連れて行く事を宣言したら不満を持たれた。
「えぇー?そこまで?」
「そこまで、」
と、言い返せば、
「そっか」
軽く納得された。
……束縛してる俺が言うのもなんだけど、コイツは本当に嫌がらないんだよなぁ。
✂ーーーーーーーーーーーー✂
明日で終わります。
最後までお付き合い頂けると嬉しいです。
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