地下アイドルを推してたワープアコミュ障陰キャな僕だけど気付いたら執着系ハイスペイケメンに僕が推されて(性的にも)磨かれました?

黒川

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第一章:番外編 等

CandyRing Partyへおいでよ。

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【キリ side】

『だれがキャンディってった?』

「ラキがキャンディってった!!」

『え?私?』

「そう!ラキ!!」

『ちょ!ちがう!』

「じゃぁ、だれ!?」


ステージ上のラキちゃんと、僕たちファンの掛け合い。
ラキちゃんが、キャンディ盗んだ犯人は誰なのかを聞いて、僕たちがラキちゃんを疑う。
そして、ラキちゃんは違うと主張して、ステージ上に居る別のアイドルを疑う。
サガリ君に聞いたんだけど、コレって元々は英語の遊び歌なんだって。
本当の歌詞はキャンディじゃなくてクッキーなんだけど、今日は芸能事務所Candy Stageキャンステ主催のライブだから、歌詞をクッキーじゃなくてキャンディにもじったみたい。
元の歌も動画サイトで見たけど原型が分からないくらいこっちはアレンジされている。低い音がドゥンドゥン響いて色々な音がピコピコしているのが楽しい。

そう!今日はキャンステ主催の合同ライブ!
事務所所属のアイドルたちがグループ・ソロ関係なしの、ごちゃ混ぜで色んなユニットを組んでパフォーマンスするよ!
僕はラキちゃんがキャンステに所属してから、この芸能事務所を知ったんだけど、有名なアイドルグループもたくさんいるみたい。

キャンディのやり取りは、合同ライブオープニングの定番なんだって。だから僕も掛け合いを覚えた。ソロアイドルは、ソロで疑われて、グループはグループ全員疑われる。
初めてのキャンステ合同ライブだけど、こうやって遊び歌を使ってグループやソロで活動している子を紹介してくれるから、ラキちゃん以外ほとんど知らない僕としては、とても分かりやすいオープニングだった。

今回のライブタイトルは「キャンデリングパーティー」英語で書かれると全く読めないけど、サガリ君が読んで教えてくれた。
キャンディ、リング、パーティーを合わせた造語?らしい。
みんなでRingになってパーティーしよっ!がコンセプトなんだって。
ラキちゃんがフリーで地下アイドルをしていた時、対バンで他のアイドルと一緒にライブする事もあったけど、時間を区切ってそれぞれがパフォーマンスをする事が多かったから、ライブでしっかり一緒に歌をうたったり踊ったりするのは初めてかも知れない。

オープニングで、今日出演のアイドルたちの紹介が終わると、ライブ前に勉強しておいたキャンステ所属のアイドルたちの曲のイントロが流れてきた。

キャァァー!!とウォォォォ!と、黄色い声と野太い声が同時に聞こえる。
凄い迫力だ。

「トク夏!かよ。初っ端から飛ばしてんなぁ!」

隣に居るサガリ君が曲名を教えてくれた。
『トク夏!』は、事務所で一番の人気グループの一番激しい曲だ。正式タイトルは『トクベツな夏しよっ!』で、略して『トク夏!』。電波ソングって言われてて、早い曲調に歌詞も早口でダンスが激しい。それを生歌で披露するのがキャンステスタイルなんだって。
絶対に口パクはしないんだって。
ラキちゃんも口パクは絶対にしないけどね!

選ばれたメンバーが残ってパフォーマンスを始める。
そこにはラキちゃんも残ってた。

「ラキちゃーん!!!」

ラキちゃんを含めた7人のメンバーがステージに残って『トク夏!』を歌い始めた。
早口で何を言ってるのか分からないのに、ラキちゃんが歌うと何故か歌詞が聴き取れる不思議!ダンスも歌のクオリティも他のメンバーよりずっとずっと輝いてる!て、思うのは僕がラキちゃん推しだからだろうなぁ。って思ってたんだけど、近くに居る別のアイドル推しなんだろうなって思ってたファンの子たちもラキちゃんが歌ってると「はっ!?声量えっっぐ!」「あんな動くの!?」「すげぇ!ラキって子すげぇ!」「⋯⋯高音域えっっっぐ!!!」ってビックリしてた。
そうでしょ?そうでしょ?って、僕が褒められてるわけではないけど、ちょっと誇らしげになっちゃった。


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「はぅ⋯⋯♡♡」

ライブもアンコールが終わって会場から出ると、僕はフワフワした気持ちでサガリ君の隣を歩いていた。

「⋯⋯凄かったな」

サガリ君も、いつもより少しフワフワしてるかな?
ライブが終わると、僕よりずっと冷静に「あの時こうだった」とか「あの楽曲が、」とか色々教えてくれるのに、今日はおしゃべりが少ない。

「合同ライブって、ラキちゃんの出番も少ないだろうしどうかな?って思ったけど、凄く楽しかったよ」

ってサガリ君に言うと、

「そうだな」

って返されただけで、また無言になっちゃった。
無言のまま、サガリ君のマンションに一緒に戻って、僕はそのままお泊り。
部屋に入ると、サガリ君に背中からスッポリと抱き締められた。
スキンシップって気持ちいいよね。
されるがままで居ると、抱き締められた状態から足が浮く。抱っこされたみたい。
ソファに連れられて、サガリ君に抱っこされる状態で座った。
こんな事も2人きりの時は当たり前なので、僕もスリスリとサガリ君に身体を擦り付けた。
けど、今日はサガリ君があまり喋らないので、いつもとちょっと違うかも?

無言の時間が続いて、時々ぎゅーって強く抱き締められて、「キリ⋯⋯」って耳の近くで囁かれて、チュッてキスされる。
なんだろ?この時間。
これはこれでサガリ君にいっぱいくっつけるから僕は嬉しいから良いんだけど、サガリ君は今どんな気持ちなんだろ?
こう言う時、サガリ君みたいに頭が良かったら察する事が出来たのかな?って思うんだけど、まぁ仕方ないよね。僕は僕でしか無いので、この静かな時間を楽しんだ。


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結局、僕らはずっとくっついたままだった。
あ、ご飯とかお風呂とかトイレはさすがに離れたよ?
でもそれ以外はサガリ君が離してくれなかった。
⋯⋯ちょっと甘えん坊みたいで可愛い♡って思ったのは内緒。
夜、同じベッドに入って電気を消したくらいに、サガリ君がポツポツと話を始めた。

「合同ライブなんて、って思ってたんだけどさ」

「うん」

ギュッと抱き締められながらサガリ君の会話が進んだ。
最初はそこまで嵌ってなかったんだ、とか。
けどラキちゃんは特別になった、とか。
ラキちゃんが別のアイドルの曲をカバーする事で新たな魅力を感じた、とか。
ラキちゃんの曲を、他のアイドルが歌う事で違う解釈が生まれた、とか。

うんうん。
分かる分かる。ライブ後のSNSでもね、みーんな同じ事を言ってた!合同ライブって、一人一人のパフォーマンスする時間は短いけど、色々な魅力が詰まってて楽しいよね!
僕も楽しかった!

うんうん、そうだねってサガリの言うことに頷いていたら、何故か身体中を弄られ始めた。
えぇー?そんな流れだった?
でも、サガリ君にエッチな手付きで触られるのも気持ちいいから、僕もされるがままになっちゃう。

「なんか、気分が高揚してる⋯⋯」

って言いながら、僕の身体に堅くなったおちんちん擦り付けてくるの。
いつも余裕たっぷりで僕の事を気持ち良くしてくれるのに、今日はなんだか余裕が無いように感じる。
いいよいいよ、今日は年上の僕がサガリ君をいっぱい甘やかしてあげよう。
なんてサガリ君を抱き締めて、頭をナデナデする。
僕に余裕があったのはそこまで。

結局僕のキモチイイ場所をいっぱい弄られてヒンヒン鳴いてサガリ君のいいようにされちゃうんだ。

知っていたけどね。


▪▫❑⧉◻︎□◻︎□◻︎⧉❑▫▪


「普段よりおしゃべりが少ないサガリ君がね、ちょっと珍しいなって思ったよ。エッチの時もね、気持ちが先に走ってるー!て感じなのもいつもと違ってドキドキした」

2人ベッドの中でモゾモゾしてる時に、いつもと違うサガリ君だった事を伝えると、サガリ君も「それな」って言って教えてくれた。

「合同ライブが思いの外良すぎて。言葉より感情が先行した。『語彙力が喪失する』とは、こう言う事を言うんだろうな」

だって!
サガリ君がオタク心を分かってくれた!

「サガリ君も!?僕もね!語彙力無いよ!でもラキちゃんは今日も可愛かったし凄かった!!」

ラキちゃんが大好き!って気持ちのままサガリ君の腕にしがみつくと、サガリ君も「ふっ」て笑って僕を抱き込んでくれた。

後日、サガリ君がSNSで「かわいくてすごかった」と全部ひらがなで投稿していた。
わかる!わかるよ!!その気持ち!その投稿!!そう言う事だよね!
僕は見たよいいねボタンを押すだけにしておいたけど、モッチさんからら「これはいいオタクの反応ですな!」とレスが来ていた。
それを見て、サガリ君は嫌そうな顔していたけど、サガリ君だって結構なオタクだからね。
僕は、そんなサガリ君の顔をニヤニヤしながら眺めた。



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ここまでお読み頂きありがとうございます。
不定期更新ではありますが、今後ともよろしくお願いします。
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