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第二章:本編
6-マチナカサガリ は、過去を知る
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キリの休みの日に、2人で実家へ卒アルを取りに行く約束をしたので、前もって今まで以上に家族の事を詳しく聞いた。
以前もサラッと聞いたことがあったが、なんとも稀薄な家族関係だと言うのが印象的だった。
仲が悪いわけでは無いとも言っていたのも、嘘をついたり取り繕う為に言っている様子でも無かった。
キリの家族は両親と、2個下の妹と5個下の弟の3人きょうだい。
弟妹は自分と違って優秀だとキリは言ってるが……それもどうだか……。
下は上を見てるから要領がいい程度のレベルなんじゃねぇかと憶測している。
「あまりお金のある家じゃなかったからね。いつも母さんはお金が無いって言って機嫌が悪くて、父さんは働き詰めであまり家に居なかったよ。妹と弟は僕と違って賢いし要領も良かったから、うーん……なんて言うか……母さんからもきょうだいからも、良く要らないって言われてたかな?あ、でも悲しいとかそう言うのは無くてね、出来の悪い長男の扱いなんてそんなもんだよねって、早い段階で諦めてた感じかな?」
自分の顔が険しくなった。
ツッコミ所があり過ぎるし、家族のキリへの態度には違和感しか無い。けど、キリ本人は気にしてる様子でも無いので俺が憤ってもお門違いである。
だから、なんとか声を絞ってひねり出す。
「キリ、それ本気で言ってる?冗談とかじゃ無ぇよな?」
ワンチャン、たちの悪い冗談であってくれとも思ったが、キリがそんな性格の悪いことをするわけがない。冗談なんかでは無い事は分かっているのに、有りもしない可能性にすがってしまう。
キョトン、と目を真ん丸にして小首を傾げ、その後に軽く頷く様は、本気で過去の家族からの扱いに対して何も思っていない、紛れもない証拠だった。
何故だ?家族だよな?
そりゃ兄弟の上下で多少の扱いに差が出るのは仕方ないと思う。
けど、こんなに酷く差が出るものか?
親と弟妹で長子を排除するものなのか?
大人になってからのキリの姿しか知らない俺は、見たことのない幼いキリを想像して、眉尻が下がった。
どうして俺はその頃のキリに出会ってなかったのだろうか?
そして、その後のキリの話も俺にとっては悲惨でしか無かった。
飯もろくに用意されず、寝床は廊下。
弟妹には自室が充てがわれていたらしい。
服も着れなくなって、ようやく買い与えられる。
もちろん弟妹は季節ごとに自分の好きな服を買ってもらえていたのだと。
聞けば聞くほど胸が締め付けられる。
なのにキリは、なんともない話をするように、
「暴力は振るわれてないよ。それに衣食住揃ってるんだから文句は無いよね」
と、ケロッとしている。
殴られる事は無かったとしても、衣食住全てにおいて最低限も満たされていない。
と、俺は思う。
貧乏が事実なら弟妹も平等に貧しいはずなのに、なぜ彼らは優遇されてキリだけが粗末に扱われなくてはならないのだろう?
衣食住揃ってたんだから、十分?
そんな扱い不十分だろうが。
助けたくても既に過ぎ去った過去故に、行き場のない怒りに任せて俺はキリを抱き締めた。
スキンシップだってそうだ。
あまり親に抱き締められた記憶がないとも言っていた。
何故キリだけが?と言う疑問は拭えないが、俺が抱き締めればヤツは気持ち良さそうに身体を擦り付けて来る。
愛おしい。愛おしいキリ。
なんとも無いのなら、それでいい。
詳しく家族の事を聞いておいて良かった。
一緒に実家に行っても、恐らく平静を保っていられるだろう。
以前もサラッと聞いたことがあったが、なんとも稀薄な家族関係だと言うのが印象的だった。
仲が悪いわけでは無いとも言っていたのも、嘘をついたり取り繕う為に言っている様子でも無かった。
キリの家族は両親と、2個下の妹と5個下の弟の3人きょうだい。
弟妹は自分と違って優秀だとキリは言ってるが……それもどうだか……。
下は上を見てるから要領がいい程度のレベルなんじゃねぇかと憶測している。
「あまりお金のある家じゃなかったからね。いつも母さんはお金が無いって言って機嫌が悪くて、父さんは働き詰めであまり家に居なかったよ。妹と弟は僕と違って賢いし要領も良かったから、うーん……なんて言うか……母さんからもきょうだいからも、良く要らないって言われてたかな?あ、でも悲しいとかそう言うのは無くてね、出来の悪い長男の扱いなんてそんなもんだよねって、早い段階で諦めてた感じかな?」
自分の顔が険しくなった。
ツッコミ所があり過ぎるし、家族のキリへの態度には違和感しか無い。けど、キリ本人は気にしてる様子でも無いので俺が憤ってもお門違いである。
だから、なんとか声を絞ってひねり出す。
「キリ、それ本気で言ってる?冗談とかじゃ無ぇよな?」
ワンチャン、たちの悪い冗談であってくれとも思ったが、キリがそんな性格の悪いことをするわけがない。冗談なんかでは無い事は分かっているのに、有りもしない可能性にすがってしまう。
キョトン、と目を真ん丸にして小首を傾げ、その後に軽く頷く様は、本気で過去の家族からの扱いに対して何も思っていない、紛れもない証拠だった。
何故だ?家族だよな?
そりゃ兄弟の上下で多少の扱いに差が出るのは仕方ないと思う。
けど、こんなに酷く差が出るものか?
親と弟妹で長子を排除するものなのか?
大人になってからのキリの姿しか知らない俺は、見たことのない幼いキリを想像して、眉尻が下がった。
どうして俺はその頃のキリに出会ってなかったのだろうか?
そして、その後のキリの話も俺にとっては悲惨でしか無かった。
飯もろくに用意されず、寝床は廊下。
弟妹には自室が充てがわれていたらしい。
服も着れなくなって、ようやく買い与えられる。
もちろん弟妹は季節ごとに自分の好きな服を買ってもらえていたのだと。
聞けば聞くほど胸が締め付けられる。
なのにキリは、なんともない話をするように、
「暴力は振るわれてないよ。それに衣食住揃ってるんだから文句は無いよね」
と、ケロッとしている。
殴られる事は無かったとしても、衣食住全てにおいて最低限も満たされていない。
と、俺は思う。
貧乏が事実なら弟妹も平等に貧しいはずなのに、なぜ彼らは優遇されてキリだけが粗末に扱われなくてはならないのだろう?
衣食住揃ってたんだから、十分?
そんな扱い不十分だろうが。
助けたくても既に過ぎ去った過去故に、行き場のない怒りに任せて俺はキリを抱き締めた。
スキンシップだってそうだ。
あまり親に抱き締められた記憶がないとも言っていた。
何故キリだけが?と言う疑問は拭えないが、俺が抱き締めればヤツは気持ち良さそうに身体を擦り付けて来る。
愛おしい。愛おしいキリ。
なんとも無いのなら、それでいい。
詳しく家族の事を聞いておいて良かった。
一緒に実家に行っても、恐らく平静を保っていられるだろう。
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