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第2章
#04
しおりを挟む「……ぃ……っ……」
「あっ、せっ……船長……!大丈夫ですか……っ」
おどおどとした声、聞き慣れたそれに半身を捻り……激痛に蹲る。
「あっ、あっ、動いたらダメです……!」
激しい痛みが分散し過ぎてどこが痛いのかすらよくわからない。
「船長、甲板に倒れてて、多分船が擦ったときに落ちたんです……だいぶ揺れて……それで……っ」
確かに衝撃と落下の記憶は有る。激しい揺れに、とっさに羽ばたいたところを何かに叩き落とされたのだ。おそらくは大きく振られた見張台そのものにぶつかったのだろう。
「……キッ……シュ……さ……」
「……はっ、はい……っ」
ぼやけて揺れる意識の中、気になるのは。
「……プラリネ……は……」
「ご無事です……グランマが守って……今は船倉の確認に行かれたみたいです……」
「……そ……か……」
大丈夫。
プラリネが無事なら、まだ、やれる。
「……クル……みんな……無事……?」
「はっ、はい……いえっ、まだわからないですけどっ……今のところ大怪我した人の話は聞いてないです……って……ダメです起きちゃ……!」
とにかく痛いし頭もクラクラするけれど、倒れている場合ではない。自分は船長なのだから。
「 ……大丈……夫……それより……それよりも……状況は……?」
ギシギシと音を立てて軋みそうな首を無理矢理動かして甲板を見回す。何とはなしに薄暗く、場所によっては灯明石のランプが点いているようだ。
「……これ以上の無茶はダメですよ……?」
溜息が降ってくる。
「……船体の点検と修理はジャーキーさんが指示くれてます……職人はキャンディさんがまとめてくれてて、材料の確認と厨房の片付けしてます。僕らは有志で怪我人の手当てを……あっ、動かないで……!」
暗い理由が曇天や夕闇のせいではないことに気付き身体を起こそうとしたらキッシュに押さえられてしまった。仕方ない。
「羽……痛くて……」
身体を押さえる手にそっと触れる。
「……身体、起こしてもいいかな……」
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