8 / 58
捜査2日目
捜査2日目~相続弁護士
しおりを挟む
教えられた弁護士事務所もヴェールテ家の屋敷からそう遠くないところにあった。
マイヤーとクラクスは馬を駆って向かう。しばらく進むと、 “ハルトマン弁護士事務所” と掲げられた扉の前に到着した。二人は馬を適当な柱に繋げた。
マイヤーは弁護士事務所の扉をノックして開ける。中の大きな執務机の向こう側に目的に人物が居た。痩せて、面長で少々頭が禿げ上がった五十歳ぐらいの男性だ。
「ようこそ」。
男性は二人の服装を見て言った。
「軍人の方が何の御用で? まさか、ご依頼ですか?」
「実は」。マイヤーは話を切り出した。「我々はハーラルトさんの殺人事件について捜査しております」。
「なぜ、軍の方が?」
「ハーラルトさんの死に軍の機密がかかわっている可能性があります」。
マイヤーはいつもの嘘をついた。
「なんですと!?」
ハルトマンは驚いて見せた。
「また、ハーラルトさんの父のブルクハルトさんの死因も他殺の可能性があり、そちらも調査をしております」。
「ああ…、そうなのですね」。ハルトマンは驚きを隠せないようで、少々動揺しているようだった。
「まずはお座りください」。
ハルトマンは椅子を指した。マイヤーとクラクスは椅子に座ると、すぐにマイヤーが話し始める。
「ヴェールテ家の相続でトラブルがありませんか?」
「実はそうなんです。ブルクハルトさんは心臓を患っていたので、遺言書をあらかじめ用意しておりました。その遺言書の内容にいろいろ問題がありまして」。
「問題?」
「屋敷と現金、貴金属の大半を奥さんに残すとあったのです。一方、長男のハーラルトさんにはズーデハーフェンシュタットの会社を、長女のクリスティアーネさんにはオストハーフェンシュタットの会社を、エストゥスさんとマルティンさんには、ほとんど何も分配しないとありました」。
「会社の価値はどれほどのものなのですか?」
「会社は貨物船を八隻を所有しており、全部で二百名程度の従業員を抱えております。それを、ハーラルトさんはとクリスティアーネさんでほぼ半分ずつ分配します。判定は難しいですが、奥さんに分配される遺産の額に比べると、かなり少ないと思います」。
「なるほど。きょうだいは、さぞかし不満でしょう」。
「そうなんです。さらに、奥さんですが、彼女は後妻でしてね。しかも、結婚したのが二か月前だったんです」。
「結婚して、たった一か月で旦那さんが亡くなったと」。
「そうです。そう言うこともあって、息子さんたちは “遺産目当ての結婚だった” と言って反発して、ハーラルトさんとエストゥスさんは遺言書の無効の訴えの裁判を起こす準備をしております。クリスティアーネさんとマルティンさんだけは、それに加わっていないですが」。
「その遺言書は法的に正当なものなんですか?」
「弁護士の私が預かっておる物ですよ。間違いなく正当なものです」。
「失礼しました」。
弁護士が少々不満そうに言ったので、マイヤーは謝罪した。
「ところで、なぜクリスティアーネさんとマルティンさんは裁判に関与しないのですか」。
「クリスティアーネさんは遺言書にある配分で満足しているようです。そして、マルティンさんは、そもそも遺産に興味が無いそうです。彼はもともと、ほかの家族とも距離を置いているようですから」。
ということは、もし遺産目当ての殺人であれば、クリスティアーネとマルティンは外してもいいだろう。
マイヤーとクラクスは弁護士事務所での聞き込みを終え、一旦城に戻ることにした。
マイヤーとクラクスは馬を駆って向かう。しばらく進むと、 “ハルトマン弁護士事務所” と掲げられた扉の前に到着した。二人は馬を適当な柱に繋げた。
マイヤーは弁護士事務所の扉をノックして開ける。中の大きな執務机の向こう側に目的に人物が居た。痩せて、面長で少々頭が禿げ上がった五十歳ぐらいの男性だ。
「ようこそ」。
男性は二人の服装を見て言った。
「軍人の方が何の御用で? まさか、ご依頼ですか?」
「実は」。マイヤーは話を切り出した。「我々はハーラルトさんの殺人事件について捜査しております」。
「なぜ、軍の方が?」
「ハーラルトさんの死に軍の機密がかかわっている可能性があります」。
マイヤーはいつもの嘘をついた。
「なんですと!?」
ハルトマンは驚いて見せた。
「また、ハーラルトさんの父のブルクハルトさんの死因も他殺の可能性があり、そちらも調査をしております」。
「ああ…、そうなのですね」。ハルトマンは驚きを隠せないようで、少々動揺しているようだった。
「まずはお座りください」。
ハルトマンは椅子を指した。マイヤーとクラクスは椅子に座ると、すぐにマイヤーが話し始める。
「ヴェールテ家の相続でトラブルがありませんか?」
「実はそうなんです。ブルクハルトさんは心臓を患っていたので、遺言書をあらかじめ用意しておりました。その遺言書の内容にいろいろ問題がありまして」。
「問題?」
「屋敷と現金、貴金属の大半を奥さんに残すとあったのです。一方、長男のハーラルトさんにはズーデハーフェンシュタットの会社を、長女のクリスティアーネさんにはオストハーフェンシュタットの会社を、エストゥスさんとマルティンさんには、ほとんど何も分配しないとありました」。
「会社の価値はどれほどのものなのですか?」
「会社は貨物船を八隻を所有しており、全部で二百名程度の従業員を抱えております。それを、ハーラルトさんはとクリスティアーネさんでほぼ半分ずつ分配します。判定は難しいですが、奥さんに分配される遺産の額に比べると、かなり少ないと思います」。
「なるほど。きょうだいは、さぞかし不満でしょう」。
「そうなんです。さらに、奥さんですが、彼女は後妻でしてね。しかも、結婚したのが二か月前だったんです」。
「結婚して、たった一か月で旦那さんが亡くなったと」。
「そうです。そう言うこともあって、息子さんたちは “遺産目当ての結婚だった” と言って反発して、ハーラルトさんとエストゥスさんは遺言書の無効の訴えの裁判を起こす準備をしております。クリスティアーネさんとマルティンさんだけは、それに加わっていないですが」。
「その遺言書は法的に正当なものなんですか?」
「弁護士の私が預かっておる物ですよ。間違いなく正当なものです」。
「失礼しました」。
弁護士が少々不満そうに言ったので、マイヤーは謝罪した。
「ところで、なぜクリスティアーネさんとマルティンさんは裁判に関与しないのですか」。
「クリスティアーネさんは遺言書にある配分で満足しているようです。そして、マルティンさんは、そもそも遺産に興味が無いそうです。彼はもともと、ほかの家族とも距離を置いているようですから」。
ということは、もし遺産目当ての殺人であれば、クリスティアーネとマルティンは外してもいいだろう。
マイヤーとクラクスは弁護士事務所での聞き込みを終え、一旦城に戻ることにした。
0
あなたにおすすめの小説
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
異世界ママ、今日も元気に無双中!
チャチャ
ファンタジー
> 地球で5人の子どもを育てていた明るく元気な主婦・春子。
ある日、建設現場の事故で命を落としたと思ったら――なんと剣と魔法の異世界に転生!?
目が覚めたら村の片隅、魔法も戦闘知識もゼロ……でも家事スキルは超一流!
「洗濯魔法? お掃除召喚? いえいえ、ただの生活の知恵です!」
おせっかい上等! お節介で世界を変える異世界ママ、今日も笑顔で大奮闘!
魔法も剣もぶっ飛ばせ♪ ほんわかテンポの“無双系ほんわかファンタジー”開幕!
【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!
99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える
ハーフのクロエ
ファンタジー
夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。
主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる