36 / 58
捜査12日目
捜査12日目~汚職
しおりを挟む
マイヤーとクラクスは今日もまず警察本部に向かう。昨日のマルティンとの話の内容を伝えるためだ。
警察長官の部屋に通され、マイヤー、クラクス、ミリューコフ長官、アーレンス警部の四人で話し合う。
マイヤーはマルティンが兄弟殺しの犯人である可能性は極めて少ないと見解を示し、彼が政府内の汚職を調べていてそれを告発することができないでいると報告した。
マイヤーの話を一通り聞き終えると、帝国出身のミリューコフ長官は口を開いた。
「共和国の汚職が結構ひどいということは私の耳も入っている。共和国は旧貴族がその財力を使って政府内に影響を及ぼしているそうだね。自分たちのいいように法律などを変えたりしていたようだ」。
「ヴェールテ家は帝国軍の中にも手を出しているそうです」。
「そうなのか」。
「おそらく、他の旧貴族も同様のことをやっているでしょう」。
「何らかの方法で汚職を一掃できればよいのだが」。
警部はそういうと唸って首を傾げた。
マイヤーが長官に尋ねる
「ところで、帝国には汚職はないのですか?」
「ないことはないが、共和国ほどひどくない。なぜなら、帝国は皇帝を中心に貴族階級が支配しているから、貴族があえて金を使って国を動かす必要がない。一般の国民も共和国の旧貴族のような大金持ちがほとんどいないから、賄賂を贈ることがあってもそれは些細な額だ。特に大きな問題になるようなことが無ければ取り締まることもしていない。しかし、共和国では旧貴族達が大金を使って政府を操作していた。共和国は確か無血革命で国王と貴族制を廃止したと思うが、これでは革命前と大きく変わらないのでは?」。
なるほど帝国の事情は分かった。しかし、マイヤーは帝国のような専制君主制が共和制に勝っているとは思わなかった。共和国について帝国の人間にとやかく言われるのは癪に障る。
マイヤーは感情を抑える様にうつむいた。
警部が言う。
「今のこの街の一番の権力者は帝国軍のルツコイ司令官だろう? 彼に汚職について話して協力を仰げないだろうか?」
「それは妙案ですね」。
クラクスがいう。
「しかし、マルティンは、ヴェールテ家は帝国軍まで賄賂を贈っているといっていたね。司令官も買収されているとしたら?」
ミューリコフ長官は静かに話した。もしそうだとすると、司令官に話をしても無駄ということになるが。
「司令官は大丈夫だろうと思います」。マイヤーは言う。「もし、彼が汚職に染まっていると考えると、この事件の捜査を我々に続けさせるでしょうか? 私は、彼は汚職とは関係ないだろうと考えます」。
「なるほど、そうかもしれん」。
長官は納得したようだ。
マイヤーは敬礼をして話した。
「では、早速、我々は城に戻ってルツコイ司令官に話をしてみます」。
「これは大事件になってきたな」。
警部はそういって気合を入れる様に手を打った。
「よろしく頼む」。
そういうと、長官は頭を抱えて、背もたれに体重をかけた。
クラクスも敬礼をして、マイヤーと一緒に部屋を出た。
警察長官の部屋に通され、マイヤー、クラクス、ミリューコフ長官、アーレンス警部の四人で話し合う。
マイヤーはマルティンが兄弟殺しの犯人である可能性は極めて少ないと見解を示し、彼が政府内の汚職を調べていてそれを告発することができないでいると報告した。
マイヤーの話を一通り聞き終えると、帝国出身のミリューコフ長官は口を開いた。
「共和国の汚職が結構ひどいということは私の耳も入っている。共和国は旧貴族がその財力を使って政府内に影響を及ぼしているそうだね。自分たちのいいように法律などを変えたりしていたようだ」。
「ヴェールテ家は帝国軍の中にも手を出しているそうです」。
「そうなのか」。
「おそらく、他の旧貴族も同様のことをやっているでしょう」。
「何らかの方法で汚職を一掃できればよいのだが」。
警部はそういうと唸って首を傾げた。
マイヤーが長官に尋ねる
「ところで、帝国には汚職はないのですか?」
「ないことはないが、共和国ほどひどくない。なぜなら、帝国は皇帝を中心に貴族階級が支配しているから、貴族があえて金を使って国を動かす必要がない。一般の国民も共和国の旧貴族のような大金持ちがほとんどいないから、賄賂を贈ることがあってもそれは些細な額だ。特に大きな問題になるようなことが無ければ取り締まることもしていない。しかし、共和国では旧貴族達が大金を使って政府を操作していた。共和国は確か無血革命で国王と貴族制を廃止したと思うが、これでは革命前と大きく変わらないのでは?」。
なるほど帝国の事情は分かった。しかし、マイヤーは帝国のような専制君主制が共和制に勝っているとは思わなかった。共和国について帝国の人間にとやかく言われるのは癪に障る。
マイヤーは感情を抑える様にうつむいた。
警部が言う。
「今のこの街の一番の権力者は帝国軍のルツコイ司令官だろう? 彼に汚職について話して協力を仰げないだろうか?」
「それは妙案ですね」。
クラクスがいう。
「しかし、マルティンは、ヴェールテ家は帝国軍まで賄賂を贈っているといっていたね。司令官も買収されているとしたら?」
ミューリコフ長官は静かに話した。もしそうだとすると、司令官に話をしても無駄ということになるが。
「司令官は大丈夫だろうと思います」。マイヤーは言う。「もし、彼が汚職に染まっていると考えると、この事件の捜査を我々に続けさせるでしょうか? 私は、彼は汚職とは関係ないだろうと考えます」。
「なるほど、そうかもしれん」。
長官は納得したようだ。
マイヤーは敬礼をして話した。
「では、早速、我々は城に戻ってルツコイ司令官に話をしてみます」。
「これは大事件になってきたな」。
警部はそういって気合を入れる様に手を打った。
「よろしく頼む」。
そういうと、長官は頭を抱えて、背もたれに体重をかけた。
クラクスも敬礼をして、マイヤーと一緒に部屋を出た。
0
あなたにおすすめの小説
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える
ハーフのクロエ
ファンタジー
夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。
主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。
異世界ママ、今日も元気に無双中!
チャチャ
ファンタジー
> 地球で5人の子どもを育てていた明るく元気な主婦・春子。
ある日、建設現場の事故で命を落としたと思ったら――なんと剣と魔法の異世界に転生!?
目が覚めたら村の片隅、魔法も戦闘知識もゼロ……でも家事スキルは超一流!
「洗濯魔法? お掃除召喚? いえいえ、ただの生活の知恵です!」
おせっかい上等! お節介で世界を変える異世界ママ、今日も笑顔で大奮闘!
魔法も剣もぶっ飛ばせ♪ ほんわかテンポの“無双系ほんわかファンタジー”開幕!
【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる