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捜査13日目
捜査13日目~クラクスへの疑惑
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マイヤーはルツコイ司令官の執務室に朝一番で呼び出された。中に入ると意外な人物がそこにいた。ミューリコフ警察長官とアーレンス警部だ。
彼らがこの場にいたことにマイヤーは驚いたが、敬礼をして室内に入った。それを見てルツコイが口を開く。
「よく来た」。
「どうなさったのですか? 皆さんお揃いで」。
「実は、オットー・クラクスにヴェールテ家の殺人の嫌疑がかかっている」。
「なんですって?!」マイヤーは驚いて、大声を出してしまった。「そんなことは、あり得ません」。
マイヤーが驚くのを予想していたのか、警部は無表情のまま口をゆっくりと開いた。
「昨日の夕方、クリスティアーネの死をヴェールテ家へ伝えに行きました。その時、執事ベットリッヒからの話で、先日、クラクスさんが一人で屋敷に来た時、ヴェールテ家が自分たちを差し置いてモルデンを脱出したことに憤っていたと言っていました」。
マイヤーは思い出してみた。クラクスが一人で屋敷を訪問したのは、確か、マイヤーが盗賊討伐の任務に就いていた時だ。
「後は、副市長のエストゥスが死んだ時だ」。
「ここで亡くなりました」。
「そうだ。ここの水差しの水を飲んだ」。ルツコイは今もある水差しを指さした。「彼が毒を入れたとは考えられないか?」
その時のことを、マイヤーは思い出してみた。ルツコイがエストゥスを呼びに行くといって、我々二人を置いて出て行った。その時、確かにクラクスは部屋の中をうろついていた。水差しに毒を入れるチャンスはあったかもしれない。
「しかし、水差しからは毒は検出されなかったと、軍医が」。
「エストゥスが倒れた後、我々は医務室まで運んだ。そのあと、水差しを調べるために取りに戻ったのは誰だ?」
再びマイヤーはその時のことを思い起こす。水差しを取りに行ったのはクラクスだ。しかも一人で。
「クラクスです」。
マイヤーはゆっくりと言った。確かに彼には、医務室に水差しを持ってくる間に、中の水を取り替える機会はあっただろう。
「そうだ」。ルツコイは机の上に肘をついて話を続ける。「あの時、水差しの水を私も飲むかもしれなかった」。
「待ってください、長男とオストハーフェンシュタットの長女の死はどう説明します?」
「オストハーフェンシュタットのクリスティアーネはワインに毒が仕込んであったという。クラクスがヴェールテ家に一人で行ったとき、彼はそのワインに毒を仕込むチャンスがあったと執事は言っていた」。
マイヤーは愕然となった。ルツコイは続ける。
「長男の死については、わからない」。
「ひょっとたら」。警察長官が話を継ぐ。「組織的な犯罪なのかもしれません。ヴェールテ家のモルデン脱出に怒りを感じている者は、クラクス一人ではないでしょう。仲間がいて一緒になって犯行を続けている。もしくは、長男の死は他の者による犯行だが、この事件関与することによってヴェールテ一族に近づく機会を得て便乗して殺害した可能性」。
マイヤーは何も言葉を発することが出来ず、黙って話を聞いていた。クラクスが最初からヴェールテ家の事件の捜査に乗り気だったのが不思議だったが、まさかヴェールテ家の人々を殺害する機会をうかがっていたというのか? いくら何でも、こじつけが過ぎないだろうか?
マイヤーは言葉を発することができなかったが、しばらくして何とか声を発した。
「私はクラクスが犯人とは、どうしても思えません。彼はクリーガー隊長の弟子ですよ」。
「君らとクラクスは知り合ってまだ三か月だろう? たった三か月でその人間がどれほどわかるというのかね?」
ルツコイのその言葉に、マイヤーはそれ以上、反論できなかった。
ルツコイは最後に話を締めくくる。
「クラクスの件については、まだ確証がないが、念のため今回の捜査から外してくれ」。
「わかりました」。
マイヤーはしぶしぶ承諾した。
「この事件の捜査に人員を追加してもよろしいでしょうか?」
「構わないが、もう捜査から手を引いてもいいぞ」。
「いえ。もう少し続けさせてください」。
「いいだろう。私から無理を言ってお願いしたからな。しかし、今日でもう捜査を依頼してから十日以上だ。長くてもあと数日で終わらせてくれ。無理であれば、後は警察に任せて君は捜査を終了してもらう。ほかの任務もあるしな」。
「わかりました」。
マイヤーは立ち上がって敬礼し、執務室を後にした。ルツコイ、警察長官、警部はそれを見届けた。
彼らがこの場にいたことにマイヤーは驚いたが、敬礼をして室内に入った。それを見てルツコイが口を開く。
「よく来た」。
「どうなさったのですか? 皆さんお揃いで」。
「実は、オットー・クラクスにヴェールテ家の殺人の嫌疑がかかっている」。
「なんですって?!」マイヤーは驚いて、大声を出してしまった。「そんなことは、あり得ません」。
マイヤーが驚くのを予想していたのか、警部は無表情のまま口をゆっくりと開いた。
「昨日の夕方、クリスティアーネの死をヴェールテ家へ伝えに行きました。その時、執事ベットリッヒからの話で、先日、クラクスさんが一人で屋敷に来た時、ヴェールテ家が自分たちを差し置いてモルデンを脱出したことに憤っていたと言っていました」。
マイヤーは思い出してみた。クラクスが一人で屋敷を訪問したのは、確か、マイヤーが盗賊討伐の任務に就いていた時だ。
「後は、副市長のエストゥスが死んだ時だ」。
「ここで亡くなりました」。
「そうだ。ここの水差しの水を飲んだ」。ルツコイは今もある水差しを指さした。「彼が毒を入れたとは考えられないか?」
その時のことを、マイヤーは思い出してみた。ルツコイがエストゥスを呼びに行くといって、我々二人を置いて出て行った。その時、確かにクラクスは部屋の中をうろついていた。水差しに毒を入れるチャンスはあったかもしれない。
「しかし、水差しからは毒は検出されなかったと、軍医が」。
「エストゥスが倒れた後、我々は医務室まで運んだ。そのあと、水差しを調べるために取りに戻ったのは誰だ?」
再びマイヤーはその時のことを思い起こす。水差しを取りに行ったのはクラクスだ。しかも一人で。
「クラクスです」。
マイヤーはゆっくりと言った。確かに彼には、医務室に水差しを持ってくる間に、中の水を取り替える機会はあっただろう。
「そうだ」。ルツコイは机の上に肘をついて話を続ける。「あの時、水差しの水を私も飲むかもしれなかった」。
「待ってください、長男とオストハーフェンシュタットの長女の死はどう説明します?」
「オストハーフェンシュタットのクリスティアーネはワインに毒が仕込んであったという。クラクスがヴェールテ家に一人で行ったとき、彼はそのワインに毒を仕込むチャンスがあったと執事は言っていた」。
マイヤーは愕然となった。ルツコイは続ける。
「長男の死については、わからない」。
「ひょっとたら」。警察長官が話を継ぐ。「組織的な犯罪なのかもしれません。ヴェールテ家のモルデン脱出に怒りを感じている者は、クラクス一人ではないでしょう。仲間がいて一緒になって犯行を続けている。もしくは、長男の死は他の者による犯行だが、この事件関与することによってヴェールテ一族に近づく機会を得て便乗して殺害した可能性」。
マイヤーは何も言葉を発することが出来ず、黙って話を聞いていた。クラクスが最初からヴェールテ家の事件の捜査に乗り気だったのが不思議だったが、まさかヴェールテ家の人々を殺害する機会をうかがっていたというのか? いくら何でも、こじつけが過ぎないだろうか?
マイヤーは言葉を発することができなかったが、しばらくして何とか声を発した。
「私はクラクスが犯人とは、どうしても思えません。彼はクリーガー隊長の弟子ですよ」。
「君らとクラクスは知り合ってまだ三か月だろう? たった三か月でその人間がどれほどわかるというのかね?」
ルツコイのその言葉に、マイヤーはそれ以上、反論できなかった。
ルツコイは最後に話を締めくくる。
「クラクスの件については、まだ確証がないが、念のため今回の捜査から外してくれ」。
「わかりました」。
マイヤーはしぶしぶ承諾した。
「この事件の捜査に人員を追加してもよろしいでしょうか?」
「構わないが、もう捜査から手を引いてもいいぞ」。
「いえ。もう少し続けさせてください」。
「いいだろう。私から無理を言ってお願いしたからな。しかし、今日でもう捜査を依頼してから十日以上だ。長くてもあと数日で終わらせてくれ。無理であれば、後は警察に任せて君は捜査を終了してもらう。ほかの任務もあるしな」。
「わかりました」。
マイヤーは立ち上がって敬礼し、執務室を後にした。ルツコイ、警察長官、警部はそれを見届けた。
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