女子力の高い僕は異世界でお菓子屋さんになりました

初昔 茶ノ介

文字の大きさ
79 / 127
第三章

さて、お料理は楽しかったですか?

しおりを挟む
「このくらい焼けたらもういいかな」

「は、はい!」

私はまだできていない最後の生徒さんの指導を終えて、一番前の調理台に戻る。

「さて、みなさん。恐らく、みなさんの初めての料理だと思いますけど、あとは食べるだけです。大丈夫、きっと美味しくできてますよ。それでは食べてみてください」

私に言われてみんな、恐る恐るナイフとフォークを持った。
やっぱり、箸はないんだよね…なんやかんやで、ライシン村にもなかったし。

「おいしい!なにこれ!?」
「こんなに味がするもの始めて食べた!」
「ほんとにこれ、自分たちで作ったの?」

よかったぁ…みんな好感触だ。
これで不味いなんて言われたらどうしようかと…。

私は内心ホッとしながらティトスくんとクロマくんのいる調理台へ向かう。

「二人とも、どう?」

「すげーうめーよ!先生!こんなもん初めて食った!」

感動しているティトス君に対して、クロマ君は難しそうな顔をして食べていた

「クロマくん…美味しくない?」

「いえ、とても美味しいです。ただ、原価率を考えると素直に味わえないといいますか…」

げ、原価率…中学生からそんな言葉を聞くとわ…。

「そ、そんな深く考えなくても…」

「そーだぜクロマ。うまいもんはうまいでいいじゃねーか」

ティトス君の変わりようには若干違和感あるけどその通りだよ!

「まぁ、おいしいです」

そう言ってクロマくんはやんわりと微笑んだ。
笑ってくれてるなら美味しいんでしょう、うん。

全員が食べ終わって、片付けのやり方も教えて、やることは終了となった。

「それではみなさん、今日はありがとうございました。みなさんが少しでも料理に興味を持っていただければ嬉しいです。では、最後に先生からみなさんに宿題です」

私はライラとリーシャに頼んでいた物を持ってきてもらった。

「今日の授業で使った調味料です。魚は自分で買って、ぜひお父さんやお母さんに作ってあげてください。あ、決して売ったりはしないように。そういうことがあった場合、捕まるように王様に頼んでありますので」

私はニコニコしながら言ったつもりだが、みんななぜか表情が硬かった。

「では、ありがとうございました。お疲れ様でした」

私が1度お辞儀をすると、みんなから拍手を送られて、ちょっと照れくさかった。
私が部屋を出ようとしたところで、先生に止められた。

「スノウちゃん、どこへ行くんですか?」

「え?お店に帰ろうかと…」

「これから午後の授業ですよ」

「いえ、私は生徒では…」

「まさか聞いてないんですか?シンシア様から私のクラスの生徒として、毎週1日の午前は家庭科の教師、午後は生徒として一緒に授業を受けさせると」

「えぇ!?」

そんな話聞いてない!まさか…お姫様教育ってやつか…!?

「い、いえ…そんなきをつかわなくても…私はお店が…ね?リーシャ、ライラ」

私が二人を見ると、お互いの顔を見合って、こちらを向いた。

「いいのではないでしょうか。お嬢様もこの国のことをもっと知るべきですし…」

「それに、学校で授業を受けていただける方が心休ま…安心ですし」

「ちょっと二人とも!?特にライラ!そんなに私のお世話したくないわけ!?」

「だって…ねぇ?」

「はい…」

二人して私をここに閉じ込めようとしてるな!?
私はそう思ってじとーと二人を見る。

「ですがお嬢様、あちらを見てください」

私はそう言われて、リーシャに示された方を見ると、生徒さん達がキラキラした目で私を見ていた。
転校生ってこういう気分なのかなぁ…。

「うぅ…わかったわよ!みなさん、これからよろしくお願いしますぅ!」

こうして、私のお店の定休日が1日できた。
しおりを挟む
感想 69

あなたにおすすめの小説

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

公爵家三男に転生しましたが・・・

キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが… 色々と本当に色々とありまして・・・ 転生しました。 前世は女性でしたが異世界では男! 記憶持ち葛藤をご覧下さい。 作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
コミカライズ企画進行中です!! 2巻2月9日電子版解禁です!! 紙は9日に配送開始、12日発売! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&2巻出版!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、コミカライズ決定いたしました!現在企画進行中!!そしてオリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 12日には、楽天koboにおいてファンタジー5位となりました!皆様のおかげです! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 オリコンランキングライトノベル 週間BOOKランキング 18位(2025年9月29日付)

処理中です...