ダブルス

1章.出会い

5.試合

着替えてから卓球部へ向かう卓弥と拓磨。

部活場所である体育館へ入ると視線が一気に刺さる。

「部長ー！おっくれましたー！」

「おー篠宮！今日はせっかく試合なのにこないと思ったぞ！」

そう言って明道と拓磨は一緒にはっはっはっと笑いあった。

「それで、あれがお前のペアか」

「はい！そりゃあもういいペアですぜ」

(人を新鮮な魚みたいにいうな…)

卓弥が心でツッコミを入れると気づいたら目の前に明道が立っていた。

「ようこそ、卓球部へ！白木 卓弥くん」

「え？なんで俺の名前…」

「あぁ、新しく入ったマネージャーの子が君の話をしていてね。ダブルス地区優勝の白木くんがこの学校に入学したとね。遅くなったが来てくれて嬉しいよ」

(瑞月のやつ…)

卓弥が奥にいた瑞月を睨んだが、瑞月は目をそらした。

「それを昨日聞いた篠宮が明日のダブルスはそいつと組みますと言い放ったんだが」

卓弥は拓磨を見ると、拓磨がおでこに手を当ててテヘペロと言った。

「まぁこれからちょうど始まるところだ。君も参加していってくれ！」

「今日だけですよ…」

卓弥はそう言って明道に誘導されて、新入生のところへ入れられた。

「さて！これから新入生歓迎ダブルスを始めようか！各自ペアは見つけてきているとおもうが、いなかったら言ってくれ、この敗北者掛井がペアになるぞ！」

それを聞いて掛井がはぁ！？と振り向き、峰岸がプフっと吹き出した。

「部長！あの試合は負けてねーっすよ！あと峰岸笑ってんじゃねー！」

掛井がいうがそれをスルーして明道は新入生を見た。

「それじゃあ今からいうところに新入生ダブルスは行ってくれ」

明道が新入生のダブルスをそれぞれの台へ指示していく。

「さぁ、君たちはここだ」

卓弥のダブルスが指示されたところには峰岸がいた。

「あれ？相手は峰岸先輩ですか？」

「まっさかー。私1人なわけないじゃーん。ま、1人でも勝てるけどね」

「それは、頼もしい限りだな」

峰岸先輩の後ろから明道がきた。

「えー部長が相手っすかー何か俺のところだけ難易度高くないですか？｣

「なんだ？不満か？」

明道が聞くと拓磨はニヤっと笑った。

「さいっこーですよ」

そう言うと拓磨は卓弥の腕を掴んだ。

「俺達が、絶対勝ちます」

拓磨の発言に卓弥は驚きを隠せなかった。

(なんだこいつの自信…意味がわかんねー)

卓弥の疑問をよそに、試合が開始するのだった。