特技泥棒、異世界に行くと最強スキルになりまして

初昔 茶ノ介

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第1章:別れと出会い

30.みんなで、ここから

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 三人が俺の部屋に集まったところで、三人をベッドに座らせ、向かい合うように椅子を引っ張ってきて俺も腰掛けた。

「シノ兄、どうしたんだ? わざわざ三人だけ集めるなんて」

「……ここまでしばらく一緒に過ごしてきて、ここに住んでいるみんなは信用できると思っている。だが、ふとした時に今から話す内容が他の子達から漏れないとも確証がない。だから、これから話すことはここにいる四人だけの秘密にしておいてほしい。いいか?」

 俺の雰囲気を察したのか三人も真剣な表情でうなづいた。

「みんなはスキルって知ってるか?」

「確か、すげぇ強い冒険者とかが使える特別な力だろ?」

「そうだ。実は俺もスキルを持っている」

「え!?」

 俺の告白に三人が驚く。この反応を見るに、やはりスキルを持っているっていうのはかなり珍しいようだ。

「詳しい能力は伏せさせてもらうが、俺は他人の能力を知ることができる。そして、ロネットもスキルを持っている」

「え?」
「は?」

「え、えぇぇ!?」

 まさかの発言に俺のスキル宣言よりも大きな声を上げる三人。

「ロネットのスキルは謎な部分が多いが、『魔力視』と言って、ロネットの話と合わせると魔力を光として見えるようだ」

「なるほど……」

「ルッテ?」

 話を聞いた三人のうち、ルッテが納得したような声を出した。

「まだ北通りにいた時、採って来た薬草をロネットちゃんが見るとき、ロネットちゃんの目の中が少し光ってるように見えたの。それからも何度かそういうことがあったから……ちょっと納得しちゃった」

「ロネット、これを見てくれ」

 そう言って俺はロネットの前にポーションの入った瓶を出した。
 そして、ロネットがそれを見た時、ルッテのいう通り、ロネットの薄緑の目の中に金色の光が見えた。

「うん、光って見えるよ」

 やはり、ロネットには魔力が見えている。この魔力視のスキルを盗めなかったのはよくはわからないが、魔力が見えるというのは僥倖だ。

「そこで、これからしばらくは魔力を満たすように薬草を育てようと思う。今のままで変化がみないのは良くないからな。だから、ロネットにはそのスキルで魔力の多さを適宜確認してもらうことになる。大変だとは思うが……」

 俺が申し訳なさそうに言うと、魔力視を使っている時よりも輝いているんじゃないかと思うくらい目を光らせて俺に返事をした。

「私、頑張る! これで薬草が増やせたら、みんなの役に立てるもん!」

「俺たちも、ロネットをしっかり支えるぜ!」

「はい! 私もロネットちゃんの助けにななるよう頑張ります!」

 やる気十分の三人をみて、俺は何の根拠もないけど、絶対にうまくいくと希望を持つことができた。

「よし、ここからだ! みんな、やるぞ!」

「うん!」
「おう!」
「はい!」

 俺たちはここから、薬草栽培という難問に挑む。
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