前世の職業で異世界無双~生前SEやってた俺は、異世界で天才魔道士と呼ばれています~(原文版)

大樹寺(だいじゅうじ) ひばごん

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日常編その2 発覚

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 イスュとの約束の日が、いよいよ明日に差し迫っていた。
 製作の方は、びっくりするくらい順調に進んでいた。
 なにせ、目標の3000個は作業開始10日程で達成。
 勢いに任せて、追加で1000個、計4000個も作り上げてしまったのだ。
 まぁ、出来高払いと言うか、作った数で俸禄ほうろく……要は給料だな……が増えると話したので、皆やる気になったらしい。
 今回の主力は、主に主婦の方々だった。
 参加の理由を聞いてみた所……
 何でも、大衆洗濯場の登場により、今まで時間が掛かっていた洗濯が劇的に短くなったことで、空き時間が増えたのだそうだ。
 そこで、小遣い稼ぎに参加する事にした、との事だった……
 何だか、子どもが大きくなって手が掛からなくなってきたから、パートにでも出ようかしら? みたいな意見が多かったな……
 実際、主婦の方の参加数が一番多くて、半分の20人程は主婦だった。
 取り敢えず、目標数を大きく上回っての生産と言うことで現在一時的に生産はストップしている。
 作業に当たった皆さんに、次回の製作に備えて休養を取ってもらうと言う意味もあるが、作ったソロバンを保管しているじーさんの所の小屋が一杯になってしまったから、と言うのもある。
 今までは、じーさんが一人で一から十まで全部の工程を行っていたが、今回は人数が多い事もあり、完全分業制にした。
 木を加工して部品を切り出す部署、珠を通す軸を作る部署、その珠を作る部署、そして組み立てる部署だ。
 木材から部品を切り出すに当たって、今回は数が数であるため、前のように間伐材や廃材を利用していたのでは、絶対に数が足りない。
 そこで、村の木を何本か切り倒す事にした。
 村の木は領主の持ち物なので、村人が間伐等の目的以外で勝手に切り倒す事はご法度だったのが、それはあくまで商品だからに過ぎない。
 商品である以上、お金をだして買い取ってさえしまえば、村人だろうがなんだろうが木を切っても文句を言われる事は無いのだ。
 なので、イスュには領主から木を買い取る交渉と支払いをお願いしていた。
 まぁ、実際はイスュからの連絡を待たずに切り倒してしまっていたので、ルール違反と言ってしまえばそうなのだが、こんな辺境の片田舎では役人が見張っている訳でもないので問題は無いだろう。
 材料費等の諸経費は全部イスュ持ちなので、こっちは作業を進めて行くだけでいい。
 で、切り出した木材から各種パーツを成型……と言っても、外枠と間仕切りになる長い棒と短い棒を切り出すだけの簡単な加工なんだけどな。
 珠を通す軸には、今までは同じ木材を使っていたのだが、今回は思い切って素材を変える事にした。
 木を細く加工すると言うのが、思いの他難しかったからだ。
 加工の容易さ、を重視した結果代わりに竹を使う事にした。
 竹……うん。たぶん、竹でいいと思う……まぁ、正式な名前は知らんのだが……
 と、言うのもそれ・・は俺が知っている“竹”と少し違っていたからだ。
 背丈は、日本の竹に比べればずっと低い。成長してもたぶん2mは行かないだろう。
 ただ、異様に太い。
 今(5歳児)の俺の手では、両手を使って掴んでも一周出来ないくらい太いのだ。
 たぶん、直径10cm以上はあるんじゃないだろうか?
 しかも、肉厚だ。軽く2~3cmくらいはあった。
 で、これが一番違うのだが、なんと“節”が無いのだ。
 天辺から根元まで一切の節が無く、すどーんっと穴が通っている。
 これはもう“パイプ”だな。自生するパイプだ。
 性質は竹のまんまだった。
 生命力が強く、成長が早い。地下茎で繁殖する。
 筍……が、あるかどうかは知らん。少なくとも我が家の食卓に並んだ事は一度も無い。
 横の力に強く良くしなり、割れば繊維に沿って素直に割れる。
 熱を加えながら曲げて冷やせば形状を維持する。
 肉厚であるために横の圧力にも強い。
 うん。竹だな。どこからどう見ても竹だ。
 うちのばーさんなんかが作っている、竹篭の原材料がこいつらだった。
 で、この竹を細く裂く事でソロバンの軸としたのだ。
 軸は、円状の加工はせず、角が立つ部分だけを削ぎ落とすだけに留まっている。
 円柱加工は時間が掛かるので省いた。
 今回は時間との勝負だったので、時短最優先だったのだ。
 で、肝心の珠の部分だが……
 これも以前は木を削り出して作っていたのだが、今回は素材を変えた。
 珠の主材料にしたのは、黒板にも使ったあの黒い石だ。
 黒い石を粉末化して、ここでも登場・万能溶液松脂まつやにモドキ汁で
ねた物を“型枠”に押し込んで一括成型した。
 型枠は窯元たちに頼んで作ってもらった物だ。
 薄いシート状の粘土に……と言っても厚みは2cm程あるのだが……作りたい形の跡を付け焼き上げた物で、やっている事自体は洗濯槽を作ったときの魔術陣をスタンプしたレンガと一緒だな。
 これによって作られる珠の形状は、ドーナッツを輪切りにした様な形をしていた。
 日本式のあの、ひし形の珠は作るのが難しいので簡略化したのだ。
 まぁ、これでも十分機能は果たしているので問題ないだろう。
 で、仕上げに組み立てだ。
 ここはじーさんに何人かの部下を宛がって、完全にお任せにした。
 職人の作業に、俺みたいなトーシローが口を挟むべきじゃないしな……
 各種作業は場所の兼ね合いもあって、内職……と言うか、各御家庭で行う事としてもらっている。
 で、一日に一回、作った部品を回収に回るのが俺の仕事だった。
 この時の移動手段は、勿論、愛車の荷車クララだ。
 今じゃもう、村の中で荷車クララを乗り回していても誰も何も言わなくなったな……
 たまに、“家まで送ってくれ”と村人に言われる事があったが、都合が合えば極力乗せて回っていた。
 ガキんちょ共なんかは、何の目的も無く乗っかってきたがなっ!
 別にいいけどさぁ……
 そんなこんなで、取り敢えず第一次生産は無事完了。
 あとは、明日イスュに商品を納品するだけだ。
 こんな状態ではあるが、午前は学校に行かなければならないため、あいつと顔を合わせるのは午後になりそうだな……

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「ん?」

 おかしな事に気が付いたのは、ラッセ村へ向かう隊商の荷車の中で、ここ最近の売り上げ帳簿を眺めていた時の事だった。
 ここ数日、自分の事ばかり優先していた所為で、すっかり隊商の方のチェックが疎かになってしまっていた。
 なのでここらで一発、まとめてチェックをしていた所でそいつ・・・を見つけたのだ……

「どうしました若?」

 近くに立っていたバッカスが、オレの声を聞きつけたのか、近づいてきた。

「若、言うな。
 で、バッカス。
 お前、今までちゃんと売り上げ帳簿は確認してたのか?」

 バッカスは商会の古参で、親父が商会を立ち上げたばかりの頃の初期メンバーの一人だった。
 実直で、親父に対する忠義に厚い男なのだが……多少愚鈍な所が目に付く男でもあった。
 これは、その愚鈍な面が前面に出た結果だろう……

「へぇ……特に、在庫数に狂いはなかったと思いますが……」
在庫・・の数じゃねぇよ……ここだよっ、ここ!」
「は、はぁ……」

 オレは帳簿の一箇所を指差して、バッカスの顔面へと押し付けた。

「あの……若、近すぎて見えないのですが……」
「んなこたぁ分ってんだよ!
 よく見ろって事だ! それくらい分かれっ!
 あと若言うなっ!」
「はぁ……」

 そう言うと、バッカスは一歩下がり、帳簿のオレが指差す所をまじまじと見つめた。

「……別に、間違っている・・・・・・所はないように思いますが……」

 スパーンっっっ!!!

「……痛いじゃないですか、若」
「だから、若言うなっ!」

 オレは持っていた帳簿で、バッカスの頭を引っぱたいた。
 誰も帳簿が間違っている・・・・・・などと、一言だって言っていない。
 オレが見ていたのは、前回ラッセ村で行商を行った時の売買記録を記した項目だった。
 何時、何が、どれだけ売れて、いくらになったとか、何をいくつ買い取って、いくら払ったとか……そんな事が事細かに書かれている。
 確かに、バッカスの言う通りこの帳簿は何処も間違ってなどいない……
 ただオレは、おかしな所・・・・・がある事に気づけ、と言っているのだ。

「ここだっ! ここっ!!
 あからさまに、“ランプ油”と“薪”の売り上げが前々回より下がってるだろうがっ!」
「……そうですね」

 スパーンっっっ!!!

「“そうですね”っじゃねぇーだろっ!!」
「……痛いじゃないですか、わ……坊ちゃん」
「“坊ちゃん”も止めろっ!」

 まったく……これだから、バッカスこいつは未だに隊商を預けてもらえず、オレのお守りなんて事をやらさせれているのだ……
 同時期に働き始めた連中は、全員が隊商頭になっていると言うのに、こいつと来たら……
 オレがいるこの“第三地方行商隊”は名前の如く、小さな村や町を専門に行商を行う隊商だ。
 一度の行商で得られる利益は、大きな町の比ではない程少ない。
 だが、代わりに競争相手もいないので数を回ればそれなりの収益に繋がっていた。
 特に、何処の村でも数こそ出ないが、一定量の獣の皮を売りに出して来ることが利益に大きく関わっていた。
 獣の皮は、都市部では高く売れるのだ。
 一番人気は、やはりラビの毛皮だろう。
 秋の終わりから冬にかけて、換毛期が終わり、冬毛に生え替わった物は特に高値が付く。
 それを、捨て値同然で売ってくれるのだから、笑いが止まらな……今はそんな事を考えている場合じゃないな……
 オレは視線を再び、売り上げ帳簿へと戻した。
 どの村でも、明かりを取るため“ランプ油”と、調理や暖を取るための“薪”は生活必需品のため売り上げの上位を占めていた。
 特に、ラッセ村のように焼き物を扱っているような村では、窯元がまとめ買いをするのでその売上額は他の村より高額になる。
 と言っても、実際にやり取りするのは毛皮などの物々交換なのだが……
 それが、前回の行商の時の売り上げ金が、かなり落ち込んでいたのだ。
 いや……これはもう“落ちた”とかそんな生ぬるい話ではない。
 ほぼ、売れてないと言っていいだろう……
 オレたちは通常、その時売れた商品の量から、次の訪問の時期を決めていた。
 つまり、買って行った商品が底を突く頃に、また向かうのだ。
 そして、極力無駄を省いて最大効率を維持しながら各村や町を巡っている。
 それが、帳簿を見る限り、前々回のラッセ村での売り上げは至って普通だ。
 前回まったく買わないでいられるほどの、余裕があるとはとても思えないのだ……
 普通なら、ありえない状態だが、こんな事になっている原因の可能性だけなら、いくつか挙げられる。
 例えば、自分たち“ハロリア商会”以外の隊商が行商に来ている可能性。
 そこがウチが提示している金額よりも、安い価格で販売しているとするなら、ウチの商品が売れなかった理由にはなる。
 しかし……
 こんなことが起きているのが、ラッセ村だけ……と言うのが気になる……
 近隣の村や町での売り上げは、何時もと変わらないからな。
 と、なるとこの線は細い。
 他には、代替物を発見した。と、言う可能性。
 極稀にだが、“燃える黒い石”や“燃える黒い水”なんて物が地面の中かから出てくることがある。
 “燃える黒い水”は臭いわ、燃やすとすすが酷いわで使い物にならないが、“燃える黒い石”の方は薪なんかより高熱になるため、代替物としては重宝されている。
 が……
 それだと、薪が売れなかった理由にはなるが、“ランプ油”が売れなかった理由にはならない。
 そう考えると、この事態を説明できる理由が、オレには思い浮かばなかった。
 何故、ラッセ村だけこんな事が起きているのか……
 何が何だかわからないまま、俺は頭をワシワシと掻き毟る。
 あの時、オレも店頭に立っていれば油や薪が売れていないことに気づけたかも知れない。
 そうすれば、村の住人に理由を聞くことだって出来ただろう。
 しかし、生憎とオレはその時ロディフィスを連れ出して、隊商を離れていた……
 いや、その後一度でもその日の売り上げ帳簿に目を通してさえいれば直ぐに気づけた事だ。
 だが、オレはそれをしなかった……
 オレはこれからの自分の事ばかりを考えて、目の前の商売を捨てていたのだ。
 未来の展望を持つのは悪くない、しかし、だからと言って足元を疎かにしていい理由にはならない。
 どんな立派な建物も、砂の上に建てたのでは簡単に崩れ去るだけだ……
 これでは商人失格だな……
 ……と、過ぎた事を悔やんでも仕方がない。反省をするのはここまでだ。
 村に着いたら早速、調査に乗り出す事にしよう。
 取り敢えず……
 村に着くまでの間、オレはバッカスに“何がおかしかったのか”について、みっちりと商人としての教育を施す事にした。
 
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 学校の授業も終わり、俺は待ち合わせの場所としていた村長の家を目指して歩いていた。
 今日は、イスュが商品を……つまり、ソロバンを受け取りに来る日だった。
 イスュの隊商自体は、朝から村に入っていたようだが、俺は学校があるため納品は午後としてもらっていたのだ。
 で、一応立会人と言う事で、村の最高責任者である村長に同席してもらう事にしていた。
 商品は既に、じーさんが村長の家に運びこんでいるはずなので、数を改めた上で証文にサインを入れれば取引は完了だ。

 村長の家に着くと、まぁ、当然だか既にそこにはテーブルについたイスュと村長の姿があった。

「悪い、待たせたか?」

 俺は、以前通された部屋……大衆洗濯場を作るときに通されたあの部屋だ……に我が物顔で入ると、村長が座っていた隣のイスに飛び乗った。

「いや、楽しい時間を過ごさせてもらったよ」
「オレとしても実に“有意義”な時間だったぜ、ロディフィス~」
「……?」

 なんだか、イスュの俺を見る目がヤバイ様な気がする……気のせいか?
 初めて会った時の、あの肉食獣のような目をしているような……
 なんだか、嫌な予感がする……

「では、ロディフィスも来たことだ。
 証文の作成の仕上げといこうじゃないか……」

 どうやら、俺が来るまでの間に商品の確認や証文の作成がだいぶ進められていたらしい。

「ロディフィス、これが証文の条文だ。ちゃんと目は通しておけよ?」
「ほいほい……」

 俺は村長から証文を受け取ると、その内容に一通り目を通す。
 証文とは、要は契約書の事だ。
 そこには、取引の内容、報酬の分配方法等の細かいことがびっしりと書かれており、これらの条項を一つでも違えた場合は、違約金を払う取り決めとなっていた。
 とは言っても、その殆どがイスュ側に設けられた罰則で、ウチとしては期日までに商品を用意する事くらいしか書かれていなかった。
 これも、信用を得ようとするイスュなりの誠意の表し方なのかもしれない。
 勿論、商業許可手形を抵当に入れる事も明記されていた。
 で、読み進めると最後に契約者として、村長の名前とイスュの名が書かれていた。
 俺がガキと言う事もあり、あくまで書面上の契約は村長とイスュと言う形にしたのだ。
 証文に一通り目を通してから、俺は証文を村長に返した。

「……にしても、ソロバン一個1万RDリルダってのは高過ぎるんじゃないのか?」

 証文には、ソロバン一個いくらで販売する、と言うような事も明記されていた。
 勿論、状況によって販売価格を変動させる旨の事は書かれていたが、予定としてはメーカー希望価格は1万RDリルダからのスタートとするらしい。
 金銭感覚に疎い俺は、以前イスュにアストリアス王国の物価について聞いたのだが、割と大き目の町でランチ一食300~500RDリルダぐらいとの事だ。
 それを考えれば、ソロバン一個が1万RDリルダが如何に高額か窺い知れると言うものだ。

「確かに高いな……
 だがな、ソロバンは今まで市場に出た事のない商品だ。
 この一発で、今後の市場価格が決まるんだよ。
 だから、下手に安くは出せない。一度値崩れを起こしたら、もう元には戻せなくなるからな。
 まぁ、それでも初期生産分は全部売れるとオレは読んでるがな」
 
 全部……か……
 ずいぶんな自信だ事で。
 まぁ、ここからはイスュの商人としての手腕に任せるしかないので、俺は結果報告を待ちつつ、ソロバンの第二次生産に取り掛かるだけだ。
 なんて事を考えている間に、証文の作成も済んだ様だ。
 同じ内容の書かれた証文を二枚、村長とイスュが互いに確認し合って交換。
 それぞれが一枚ずつの証文を保管することになる。
 これで一応取引は完了だ。
 次にイスュが村に来るのは10日後と決めて、これで一応話し合いは終了となった。
 10日後……その時が、一回目の売り上げ金の配当日……つまりは給料日だと言うことを考えると、なんだか今から少しワクワクする。
 この感覚は、初任給を貰った時の感覚に近いかもしれないな……

「さて、難しい話も終わったところで……
 イスュタード君、もう一局勝負というこじゃないか?」
「ええ、構いませんよ。先ほどは負けましたが、要領は得ました。
 次は勝ちますよ」
「ほほぅ……では、お手並み拝見と行こうじゃないか」

 商談が終わるや否や、突然二人はそんな事を話し出し、村長がテーブルの下から何かを取り出してテーブルの上に乗せたのだ。
 ……もう一局? 次は……?
 俺の背中を粘ついた嫌な汗が流れていった……

「時にロディフィス。
 この村には面白い遊戯盤があるんだな……白黒石……とか呼ばれているんだって?
 何でも、これを作ったのもお前だそうじゃないか……」
「あ……あぁ、まぁ……な……」

 これは……マズイ……碌な事にならない流れだ……
 イスュの目は、あの時と同じくイッてしまっていた……

「それに、“光る石”だとか“薪の要らない窯”だとか……あとはあの川の“洗濯場”にあった水槽みたいなやつ? あれはずごいな、実際に動かしてもらったが、あんなモン見たのは初めてだった……
 そうそう、これは現物をまだ見てないんだが、ヤムも使わずに動く荷車があるんだって?
 そいつら全部、お前が作ったんだってな……ちょっと聞いたら、村のご婦人たちが快く話してくれたよ」

 お、おばちゃん共めぇ~!
 まぁ、別に口止めなんてしていなかった訳だから、バレるのは時間の問題だったのかもしれないが……
 しかし、一体イシュは何処で、魔術陣を用いた道具の事を知ったのだろうか?
 リバーシの事はまぁいい……どうせ村長が誘ったのだろう。
 だが、石ランプや窯、洗濯槽なんて普通に行商しているだけじゃ気づかないと思うんだが…… 
    
「あっ、ボクそろそろお家に帰らなくちゃ! ママと妹がボクの帰りを……」

 取り敢えず、三十六計逃げるに如かずだっ!
 俺はこれ以上の面倒事に巻き込まれないために、戦略的撤退を行おうとイスから飛び降り出入り口へと向かったのだが、途中……何故か急に視線が高くなり、足が床から離れてしまっていた。
 イスュが俺を後ろから抱え上げたのだ。
 こうなってしまっては、いくら足を動かした所で空を掻くだけで前には進めない……
 そして、子どもの俺の力ではこの状態から自力で脱出する事もまた出来ない。

「まぁまぁ、そう急ぐ事もないだろ相棒?
 じっ~くり、今後の展望について語り合おうじゃないか? なぁ?
 手始めに……そうだ、ロディフィス。
 商売の話をしようじゃないか?」
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