前世の職業で異世界無双~生前SEやってた俺は、異世界で天才魔道士と呼ばれています~(原文版)

大樹寺(だいじゅうじ) ひばごん

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72話 お昼の休憩

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「ふぅ~、食った食った……」

 腹が十分に満たされたところで、俺はその場でゴロリと横になった。
 目の前に広がるのは、僅かな雲と深く澄んだ青。
 見事な秋晴れだ。
 ああ……“空が高い”ってのはこういう事をいうんだな……
 前世では、コンクリートジャングルな街中でせわしなく生活していた所為か、空なんて雨が降りそうな時しか見なかったからな……
 それも、歪に切り取られた幾何学模様の空を、だ。
 こんな視界全部が空だなんて風景を、俺は前の人生で何度見たことがあっただろうか……

 昼食に出された飯は、実にうまかった。
 昼の休憩ではシスターや主婦さんたちによって炊き出しが振る舞われたのだ。
 メニューは、村では珍しい肉入りの野菜スープとでかいパンだった。
 どでかい釜というか鍋で、ぐつぐつと煮込むさまは、見ているだけでテンションが上がるというものだ。
 材料は教会からの提供である。
 いざという時の非常食、及び給食用として保管していた食材の中から保存の限界のものを選んで使っている。
 要は在庫処分も兼ねているという訳だな。
 
 最近は、リバーシの売り上げも落ち着いてきていて、以前ほど膨大な収入がある訳ではないが、それでもちょいと前に比べたら格段に豊かな生活を送れるようになっている。
 それは、昼食のスープの具材の多さ一つとっても顕著に見て取ることが出来た。
 だがまぁ……
 ここらで、もう一つくらい何か売れる物を作りたいところだな。
 先立つものはいくらあっても困りはしないのだ。
 需要があって、出来るだけシンプルなもので材料費が掛からないもの……
 何かあるだろうか?

 と、そんな事を空を眺めながらぼんやりと考えていると、すっと視界に影が差した。

「お行儀が悪いですわよロディ。
 食べてすぐに横になると、ゴブールになるって、お父様が仰っていましたわっ!」

 地べたに転がる俺のすぐ近くに立ったシルヴィが、メッ! と人差し指を立てて俺を叱った。
 この仕草はシスター・マリーの真似だろう。
 彼女は子どもを叱る時、大体このポーズを取るのだ。
 薄い胸を、目一杯に張ってお姉さん風を吹かせるシルヴィの姿がなんとも愛らしく微笑ましい。

 ちなみに今日のシルヴィの服装は、いつものヒラヒラ可愛い系のではなくオーバーオール風の作業着だ。
 “つなぎ”ともいうな。
 今日はみんなそんな恰好だった。それは俺も例外ではない。

「ん? 知らないのかシルヴィ?
 食べてすぐ横になるのは、むしろ体にはいいんだぞ?
 いいかい?
 まず、食後は食べ物を消化するために胃腸周辺に血液が集中する。
 満腹になると眠くなるのも、頭に血があまり行かなくなる為なんだ。
 だけど食後、むやみに身体を動かすと、血液が筋肉のほうに回って胃腸への血のめぐりが悪くなってしまうんだ。
 胃腸の血液循環が悪くなれば胃液の分泌、胃腸の運動が止まってしまう。
 これじゃ食べ物を十分に消化することが出来ず、胃もたれの原因になってしまう。
 つまり、食べ物をちゃんと消化するためには、食後はこうやってゴロンと横になって胃腸の働きを助けるのがいいんだ。
 同じ理由で、食後すぐの入浴も控えた方がいい。
 入浴によって血液が体表に持っていかれるからな」
「えっ、と……その……えっと……うぅ~」

 と、なんとも小難しい理屈を並べ立てられ、途端に困り顔でオロオロとし出すシルヴィ。
 シルヴィはとてもまじめな子で頑張り屋さんだ。
 だから、それがどんなに難しい話でも自分なりに理解しようと、必死に考える癖があった。
 で、結局思考の袋小路に陥って、最終的には停止してしまうのだ。
 あ~、ほら、目がグルグルし出してるし……

 と、いう事を分かっていて理詰めで話す俺も俺だが、これは仕方がない事だった。
 普段、子どもたちに自信満々に振る舞っているシルヴィが、目を泳がせて狼狽している姿は、小動物的なそれに似ていて、見ていて実にかわいらしいのだ。
 だから、仕方がないのだ……俺は悪くないのだ。

「まぁ、要は食後はじっとして動かない方が、体にはいいですよ、ってことだな」
「そ、そうなの、ですか?」
「そうなのです」
「では、お父様はわたくしに嘘を言っているのでしょうか……?」

 俺の話を聞くと、少し寂しそうにシルヴィは俯いた。
 シルヴィはパパっ子らしいからな……
 父親が自分に嘘を吐いていたのではないかと、そう思ったのかもしれない。

「まぁ、嘘ってことはないんじゃないか?
 “しつけ”って意味では間違いじゃないと思うし……
 家で、食後にゴロゴロしてたらみっともないからな。
 シルヴィとか女の子は特にね。
 でも今は家の中にいる訳じゃない。
 だから、たまにはこうしてお天道さまの下、ダラダラしたっていいじゃない、と俺は思うのです」
 
 外での食事、という意味なら学校での給食も半分以上野外みたいなものだが、それでも授業の一環であるところもあるので、食ったあとにすぐゴロゴロするなどご法度もいいとこだ。
 もし、そんな事をしようものならシスター・エリーに取っ捕まって長時間説教リーチが確定してフィーバーする。
 それに、午後は午後でまたしっかり働かなければならないことを考えると、今はしっかりし休息しておくにこしたことはないのだ。

「そ、そうですの?」
「そうですの」
「なら、あたしもゴロゴロするぅ~! とぅおっ!」
「ん?」

 どこからともなくタニアの声が聞こえたと思ったら、俺の視界に突然何かが滑り込んで来て影を落とした。
 そして……

 どすっ!

「ぐっふぅっ!!」
「あははははっ!!
 “ぐっふぅっ!!”だって! “ぐっふぅっ!!”
 おっかしいのっ! あははははっ!!」

 それはものの見事に俺の上へと落ちて来たのだった。
 ってか、何がそんなにおかしいかっ!
 こちとら危うく、さっき食ったものをぶちまけるところだったわ!

「退けっ! タニアっ!
 重いっ! 苦しいっ! 鬱陶しいっ!」
「え~、父ちゃんならこれくらい全然平気だって言うぞ?」
「お前の親父と一緒にすんなっ!」

 そりゃ、体のしっかりした大人なら、タニアからボディプレスを喰らったところでどうという事はないのだろうが、同じような体格の俺にはただの凶器でしかない。
 俺はタニアを退かそうと、両手を使ってぎゅうぎゅう押しのけるのだが、こいつ俺にギュッとしがみ付いて離れやしなかった。

「このっ! このっ!
 ……ん?」

 ふと、視線を感じて顔を上げると、いつからそこにいたのか、近くに立っていたミーシャと目が合った。
 なんだか、仲間に入れて欲しそうな目でこちらを見ている……

「わ、わたしも、ね……その……あの、ね……」

 あっ……これはよろしくないパターンだ。

「ミっ、ミーシャだ……」
「えいっ!」

 ダメだからな、と言おうと思ったら、時既に時間切れ。
 ミーシャはぴょんと飛び上がると、そのままタニアのへと飛び乗ったのだった。
 それはつまり俺の上ということでもあり、結果……

「ぐへぇっ!!」

 重量が加算されました……

 じたばたもがくのだが、重くてろくに身動きが取れない。
 このままでは、臓物をぶちまけて圧死しそうだったので、俺は近くにいたシルヴィへと助けを求めるように手を伸ばした。

「し、シルヴィ……たすけ……はっ!?」
 
 のだが……
 シルヴィはなんだか、仲間に入れて欲しうな目でこちらを見下ろしていた……

「あの……わたくしも……」

 ……ツンだ。デレない……
 ってか、シルヴィは一番年上で一番重……
 なんて考えている間に、シルヴィはいそいそとミーシャの上へと乗っかってしまった。

「がはぁっ……しっ、死ぬ……圧死ぬ……」
「おっ、重いぃ~……苦しいぃ~……」
「シルヴィちゃん……おもいよぉ……」

 親亀の上にいる子亀ならいさ知らず、子亀の上に子亀が連なっている状態では、一番下の子亀は死ぬのではないだろうか?

「わ、わたくしそんなに、おっ、重くないですわっ! きゃっ!」
「わわっ!」

 流石に四段ともなるとバランスを取るのが難しいのか、シルヴィが乗っかってすぐにミーシャを巻き込んでポテポテと転がり落ちて行った。
 ふぅ~、少し軽くなった……
 と、

「はっはっはっはっはっはっ!!!」

 頭上から豪快な笑い声が聞こえて来た。
 頭上とはいっても、俺は寝転がっているので後からといった方が正確だろうか。

「ひぃ~、腹痛てぇ~。
 お前の周りはいつも賑やかで楽しそうだなロディフィス」
「ん? その声は……」

 俺は声の聞こえた方へと首を仰け反らせると、そこには案の定イスュが逆さまの姿になって立っていた。
 ……まぁ、逆さまなのは俺がひっくり返っているからなんだけどな。

「あっ! アメのおじさんの親分だっ!」
「これはイスュタード様。いつもおじい様がお世話になっております」
「こ、こんにちわ……」

 タニアは俺の上からなんの躊躇いもなくイスュを指さし、シルヴィはすぐさま立ち上がると丁寧にお辞儀。
 ミーシャはといえば、おっかなびっくりといった様子でシルヴィの影に隠れてあいさつ。
 てか、タニア。人を指さすのは失礼だからやめなさい……ってルールはこっちの世界でも通用するのだろうか?

「おう、こんにちわ。嬢ちゃんたち」
「ねぇねぇ! アメちょうだい! アメっ!」

 タニアは俺の上からひょいと降りると、たたたっとイスュに駆け寄り早速たかり出した。

「悪いな嬢ちゃん。俺はアメ持ってないんだわ。
 いつもの所に店出してるから、あとでいつものおっさんにせびって来な」
「わかったー! そうするっ!」
「今日って行商の日だったけか? 来てたの全然気が付かなかったなぁ……」

 ここは他より少しだけ土地が高いので、村に入って来る人や馬車がよく見えるのだ。
 なのに気が付かなかったってことは、よっぽど作業に集中してたという事だろ。

「それに、日程的に来るのはもう少し先だと思ったんだけど……」
「まぁ、いろいろとあってな少しばかり早くなった……って、その格好のまま話すのかよ」

 とイスュが呆れがちに言うのも、俺が未だに地面に寝転がったままだからだ。

「どんな格好で話そうが俺の勝手だ。
 そういえばイスュ。
 お前見舞いに来なかったな! この薄情者めっ!
 まぁ、ぶっちゃけ見舞いとかどうでもいいけど、見舞いの品くらい送れよな!」
「相変わらず無茶苦茶言いやがるなロディフィス……
 で、どうせお前のことだから、顔を出したら出したで、何か言う気だったんだろ?」
「まぁなっ!」

 折角、イスュが現れた時用にいろいろと考えていたのだが、すべて無駄になったしまったじゃないか。
 
「……で、なにしにこんな所に来たんだよ?」

 いつもイスュたちが馬車を止める広場から、ここまでは少し距離があった。
 だから、たまたま通りかかった、ということはまずないだろう。
 何かしらの目的があって、わざわざやって来たと思う方が自然だ。

「おっ? さては農作業を手伝いに来たのか?
 うむうむ関心関心。
 若いうちの苦労は買ってでもしろって言うからな。
 存分に働いていくといい、若人よ」
「……なんでお前はいつもそう、超上から目線なんだよ?
 大体、誰が無賃で働くか。同じようなこと村長にも言われたぞ……
 ってか、それを言うなら俺以上に若いお前が苦労しろよ」
「中身は老人ロートルなもんでね……ふぉっふぉっふぉっ」

 そんな会話をしていると、イスュが一つ大きなため息を吐いた。

「はぁ~、折角いいもん持って来てやったってのに、渡す気が失せるわ……」
「えっ!? なんかくれるのか? タダか?
 遅ればせながらの見舞いの品か?」
「ああ! そうだよ!」

 なぜかヤケクソ気味に答えるイスュ。
 俺はその言葉を聞くと、ぱっと立ち上がり姿勢を正してイスュに向かって両手を突き付けた。

「くださいな」
「……変わり身早ぇな」
「いや、なんかくれるって言うなら、取り敢えずもらっておこうかと……」

 タダより高いものはない、というが、タダより安いものもないのだ。
 くれる、というなら取り敢えずもらっておいて、必要かどうかはあとで吟味すればいい。
 いらなければ捨てるか、必要とする別の誰かにあげるだけだ。
 ちなみに俺は、結婚式の引き出物で渡される結婚する二人の写真が入っている皿などは、問答無用で捨てる人間だ。
 邪魔な上に使い道もないからな。
 まぁ、離婚したあとに引っ張り出してからかってやる、てのも一つの手だがそのためにわざわざ長期間保存しておきたくもない。
 大体、中身が分かっている時は、事前に辞退することだってあるくらいだ。

「ったく……ほらよ。
 これだ。
 なんでも最近急に有名になりだした薬師が配薬した薬なんだと。
 都じゃ結構な人気商品らしくて、入手困難な一品だそうだ。
 ウチも運よく数点入手したんだが……
 効能が怪我に病気になんでもござれって触れ込みだから、効き目の方が眉唾でな……
 てな訳で、飲んだ後に感想を聞かせてくれるならタダでやろう。
 まぁ、今のお前にこいつが必要かどうかは疑問だがな……」
「って、それただのモニターじゃん!?
 まぁ、もらっとくけどさぁ……で、これ飲んで大丈夫なん?」
「死にはしないと思うぞ」
「あっ、そう……」

 俺はイスュから掌サイズの小瓶を受け取った。
 それは、色のついていない透明度の高いガラス製で、中に濃い緑色の液体がたぷんたぷんと揺れていた。
 正直な話。
 体の怪我はメル姉ぇや、自作した健康椅子のお陰ですっかり良くはなったのだが、あって困るものでもないだろう。
 それに、未だに体調が芳しくない時というのがあるのも確かだし、村人の中には健康椅子を使っても、未だ完治していない者もいるしな。
 健康椅子は、別に怪我を治療してくれる訳じゃないのだ。
 健康グッズで怪我や病気は治りません。

「まっ、ありがたく使わせてもらうよ」

 俺はイスュに服用方法を一通り聞くと、小瓶をポケットへとしまった。
 丁度その時、午後の作業を始めるという号令が聞こえて来た。
 イスュはその声を聞くと、いち早く踵を返すと立ち去って行ってしまった。
 素早い奴め……まぁいいか。
 ではさて、午後のお仕事を始めましょうかね!
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