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二〇三話
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予約投降の設定をミスってしまった……
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息絶えた……ではないな。
子ワーウルフとの追いかけっこで力尽きたフューリとグランについては、取り敢えず暫く部屋の隅に転がしておくととなった。
そのうち復活するだろう。
で、その追いかけっこの勝者である子ワーウルフはというと、勝者の貫禄とでもいうのか、今はセリカの膝の上で悠々と我が物顔でヘソ天をして伸びていた。
フューリとグランが長旅で疲れていたとしても、大の大人二人を振り切って余裕とか……
どうなってんだ、この子ワーウルフ?
ちなみに、フューリとグランだが、下手に外をうろつかれては困る、ということで両名は暫くの間フューズ家の世話になることが決定していた。
本人たちの了承はまだ取ってはいないが、まぁ、彼らに、子ワーウルフを群れへと連れ帰る、という目的がある以上、選択の余地はないだろうな。
とはいえ、肝心の子ワーウルフは一切帰る気がないようで、フューリー達が近づいただけで逃げ回り……あの様である。
果たして、彼らが無事群れへとあの子ワーウルフを連れ帰れるのはいつの日になることやら……
で、そんなワーウルフ達の事情はともかくとして、今はまったく別の議題で話し合いが行われていた。
「して、父上。どういたしましょうか?」
「どうする、と言われてもな……
現状、ベルへモスの出現の確固たる証拠はなく、唯一の証言が、占い、ではな……
そんな不確かなもので、軍を動かすわけにも行くまい」
「ですが、もし本当であったとすれば、数百年前の大災害に繋がることも考えられます。
事実確認の調査を行うことを検討するべきではないでしょうか?」
「肝心のその調査をどうやって行うか、といのが問題なのだ。
場所がユグル大森林の奥地ともなれば、気軽に兵を出せるものではない。相応の部隊と物資が必要になる。
部隊の派遣、物資の調達に掛かる費用について、議会にどのように説明して理解を得るつもりだ?
まさか、獣人族の占いでそう占われたから、とバカ正直に話せと?
そんなことをすれば、議会でいい笑い者にされるだけだ」
「笑われるくらすが何だというのですか? 仮にこのまま報告もせず、実際に被害が出た場合、それはフューズ家への不審のみならず、国家騎士、延いてはノールデン王家への不審に繋がるかもしれないのですよっ!」
「……仮に、だ。議会の理解を得て、騎士団を派遣出来たとしよう。
だが、もしそこで何も見つけられなければ、多大な費用を浪費したと、一部の貴族連中からの突き上げは免れないだろう。
規模が規模だけに、場合によっては責任問題を追及され、フューズ家の褫爵すらもあり得る話しとなるのだぞ?
むしろ新貴族派の連中としては、それを望んで敢えて許可が出す可能性すらある。
奴らにとって、我々のような王族派の貴族は目障りだろうからな。失墜させるにはいい好機と捉えるだろう。
我がフューズ家が失墜すれば、ただでさえ敵の多いマリアーダ陛下がより窮地へと追いやられることになる。それを分かっているのか?」
「……ならば、少人数の精鋭で調査をすればいいのではないですか?
それなら、費用に関しては問題ないはずです!」
「はぁ……何が潜んでいるかも分からぬユグル大森林のその奥深くに、少人数で足を踏み入れるなどと……
お前は、部下達に死んで来い、とでもいうつもりか?
あの森の奥が如何に危険かは、お前とて分かっていることだろう?」
「それは……」
痛い所を突かれた、と言わんばかりにセリカが口惜しそうに言い淀む。
とまぁ、こんな感じで、いるかいないのかよく分かっていない、ベルへモスなるモンスターの対応について、セリカとラルグスさんが喧々諤々の議論をかわしている真っ只中であった。
何といっても情報の出所が、占い、だからなぁ……
ラルグスさんの言うように、これでは信憑性が低いと言わざるを得ないのは確かなわけで、そんな確度の低い情報で軍を、人を動かすことは出来ない、というラルグスさんの意見はその通りだと思う。
かといって、占いだからと看過して、実際に被害が出たら目も当てられない大惨事になってしまう、というセリカの言い分も……まぁ、分からなくはない、といったとろこか。
少し、心配し過ぎだろ? と、思わなくはないがな。
俺、個人としては、概ねラルグスさんの意見に近いといった感じか。流石に、占いで大金は動かせんわな。
ちなみに、ラルグスさんが言っていた褫爵とは、なんらかの落ち度で爵位を剥奪されることをいう。
不確かな情報で軍を動かし、多額の国費を無駄にした、ともなれば、確かにお家の取り潰しもあり得る話しか……
で、そんな両者の主張が、真っ向から対立してるのが現状である。
「ですがっ! だからと言って、国民が危険に晒されるかもしれないこの状況を、みすみす見逃すことなど、騎士がするべきことではありませんっ!
騎士が国民の命より、銭勘定を優先してなんとするのですかっ!」
「はぁ~、別に銭勘定を優先しているわけではない……
感情論だけではどうにも出来んこともある、という話しをしているのだ。
そもそも、調査の為の資金とて、国民の血税なのだぞ? お前はそれを見す見す無駄にしてもいいと言うのか?
軍を動かしたいのであるなら、まずは周囲の者達を納得させられるだけの具体的な対応策案を上げてみよ。
少なくとも、私ひとり納得させられないようでは、議会の連中など微動だにせぬぞ?」
「くっ……」
ヒートアップするセリカとは対照的に、大人の対応というのか、冷静に理詰めでセリカを追い詰めるラルグスさん。
セリカも、ラルグスさんが言っていることが分からちーなほど子どもでもないので、ぶつぶつと呟きながら必死に何か方法は何かと思案しては、思いつくままにラルグスさんに提案し、完膚なきまで却下される、というのを繰り返していた。
「なぁ、セレス。少し良いか?」
そんな中、俺は対面に座っていたセレスにそう静かに話し掛けた。
「なにかしら?」
「いやな、ワーウルフ……銀狼族って、こういう占いによって行動を決める、みたいなのが普通だったりするのか? と、思ってさ。
ほら、占いの結果、こうして元居た集落を出てまで群れで大移動をしているってことは、それって、その占いを信じているからだろ?
となると、だ。彼らは彼らなりに、何か占いを信じる根拠みたいなものがあるのかと思ってな。
例えば、滅茶苦茶よく当たる、とかさ。
だとすれば、占いだからと、バカにも出来ないわけだろ?」
さっき聞いた話だと、銀狼族はテレパシーで意思疎通が出来るような連中らしいからな。
もしかしたら、その超能力で占いの的中率も高いんじゃなかろうか? と思い、セレスにそう聞いたのだ。
今、問題に上がっている一つが、情報源の信頼性についてだからな。
これでもし、銀狼族の占いの的中率がバカみたいに高いとなれば、それは信頼出来る情報ということになり、ラルグスさんも軍の派遣を認めてくれるのではなかろうか? とそう思ったのだが……
「そうね……銀狼族だけでなく、獣人種と呼ばれる種族の人達は、人族と比べたら割と政治や治世を占いに頼っているところはあると思うわ。
でも、生憎と占いの確度に関する参考になりそうな明確なデータがないから、私からは、分からい、としか答えられないわね」
と、セレスからは実に学者らしい答えが返って来たのだった。
これで的中率九割、とかならそれで話は済んだのだろうが……まぁ、こればかりはしゃーないな。
理屈の上では俺はラルグスさん派だが、感情の面ではセリカ押しでもあった。
正直、ああいう熱血娘は嫌いではないのだ。
俺自身があまり熱くなることがない性格な所為か、こういう理想の為に全力で前進している子を見ると、何だか応援したくなってくるんだよな。
セリカのこの、どストレートで熱血少女なところは、正直見ていて気分がいいのだ。
自分が持っていないものを持つ者への、ある種の憧れなのかもしれないな……
だから、セリカの援護にでもなればと思い、セレスにあれこれ聞いていたのだが……
どうやら、この話し合いはラルグスさんに軍配が上がりそうである。
「ただ……」
なんて思っていたら、そうセレスが言葉を続けた。
「おじい様は、獣人種の占いに強い感心を抱いていたようで、多くの資料が残されているの」
「ほぉ、そこにはどんなことが書かれているんだ?」
本件とは特に何の関係もなかったが、個人的に興味があったので、完全な興味本位で聞いてみる。
「結論から言うと、彼らの行っているのは占いではなく“予知”ではないか、とそうおじい様は考察していたわ。
残念ながら、滞在期間中に結論は出なかったみたいで、あくまでもおじい様個人の仮説だけど」
そうセレスは前置きした上で、セレスのおじいちゃんが如何にしてその仮説へと辿り着いたのかをさらっと教えてくれた。
なんでも、この世界には予めすべての運命が決まっている、という決定論に似た思想、運命論というものがあるらしい。
セレスはこの運命論に否定的な考えであるらしいが、おじいさんの方はある程度の尺度の中に置いてなら、この思想は正しい、としていたようだ。
例えば、物は壊れる、とか、人は死ぬ、とか、こうした絶対に抗うことが出来ないものもまた運命の一部である、とそう論じていた。
こうした限定的ではあるが、世界はこう変わっていく、というようなものが、大まかな流れとしてあるのではないだろうか? と、考えていたみたいだな。
で、その大まかな流れ、これをセレスのおじいさんは“大いなる意思”と名付け、その大いなる意思を読み取る力が獣人種にはあるのではないだろうか?
というのが、セレスのおじいさんの仮説なのだという。
その話を聞いて、ネズミは沈む船には乗らない、なんて話を思い出した。
他にも、大災害前に動物達が騒ぎ出す、とかな。
現代なら、都市伝説だ、迷信だ、と笑い飛ばすことも出来るが、ここは魔法も精霊もテレパシーもあるようなファンタジー世界だからな……あと、エルフとか獣人とかも居るし。
だから、眉唾だと一蹴してしまうのが躊躇われるところはある。
そう考えると、俺がこの世界に飛ばされて来たってのも、その“大いなる意思”とやらの影響なのだろうか?
なんて、荒唐無稽な考えが頭を過る。
まさかな……いや、ホントまさかな?
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息絶えた……ではないな。
子ワーウルフとの追いかけっこで力尽きたフューリとグランについては、取り敢えず暫く部屋の隅に転がしておくととなった。
そのうち復活するだろう。
で、その追いかけっこの勝者である子ワーウルフはというと、勝者の貫禄とでもいうのか、今はセリカの膝の上で悠々と我が物顔でヘソ天をして伸びていた。
フューリとグランが長旅で疲れていたとしても、大の大人二人を振り切って余裕とか……
どうなってんだ、この子ワーウルフ?
ちなみに、フューリとグランだが、下手に外をうろつかれては困る、ということで両名は暫くの間フューズ家の世話になることが決定していた。
本人たちの了承はまだ取ってはいないが、まぁ、彼らに、子ワーウルフを群れへと連れ帰る、という目的がある以上、選択の余地はないだろうな。
とはいえ、肝心の子ワーウルフは一切帰る気がないようで、フューリー達が近づいただけで逃げ回り……あの様である。
果たして、彼らが無事群れへとあの子ワーウルフを連れ帰れるのはいつの日になることやら……
で、そんなワーウルフ達の事情はともかくとして、今はまったく別の議題で話し合いが行われていた。
「して、父上。どういたしましょうか?」
「どうする、と言われてもな……
現状、ベルへモスの出現の確固たる証拠はなく、唯一の証言が、占い、ではな……
そんな不確かなもので、軍を動かすわけにも行くまい」
「ですが、もし本当であったとすれば、数百年前の大災害に繋がることも考えられます。
事実確認の調査を行うことを検討するべきではないでしょうか?」
「肝心のその調査をどうやって行うか、といのが問題なのだ。
場所がユグル大森林の奥地ともなれば、気軽に兵を出せるものではない。相応の部隊と物資が必要になる。
部隊の派遣、物資の調達に掛かる費用について、議会にどのように説明して理解を得るつもりだ?
まさか、獣人族の占いでそう占われたから、とバカ正直に話せと?
そんなことをすれば、議会でいい笑い者にされるだけだ」
「笑われるくらすが何だというのですか? 仮にこのまま報告もせず、実際に被害が出た場合、それはフューズ家への不審のみならず、国家騎士、延いてはノールデン王家への不審に繋がるかもしれないのですよっ!」
「……仮に、だ。議会の理解を得て、騎士団を派遣出来たとしよう。
だが、もしそこで何も見つけられなければ、多大な費用を浪費したと、一部の貴族連中からの突き上げは免れないだろう。
規模が規模だけに、場合によっては責任問題を追及され、フューズ家の褫爵すらもあり得る話しとなるのだぞ?
むしろ新貴族派の連中としては、それを望んで敢えて許可が出す可能性すらある。
奴らにとって、我々のような王族派の貴族は目障りだろうからな。失墜させるにはいい好機と捉えるだろう。
我がフューズ家が失墜すれば、ただでさえ敵の多いマリアーダ陛下がより窮地へと追いやられることになる。それを分かっているのか?」
「……ならば、少人数の精鋭で調査をすればいいのではないですか?
それなら、費用に関しては問題ないはずです!」
「はぁ……何が潜んでいるかも分からぬユグル大森林のその奥深くに、少人数で足を踏み入れるなどと……
お前は、部下達に死んで来い、とでもいうつもりか?
あの森の奥が如何に危険かは、お前とて分かっていることだろう?」
「それは……」
痛い所を突かれた、と言わんばかりにセリカが口惜しそうに言い淀む。
とまぁ、こんな感じで、いるかいないのかよく分かっていない、ベルへモスなるモンスターの対応について、セリカとラルグスさんが喧々諤々の議論をかわしている真っ只中であった。
何といっても情報の出所が、占い、だからなぁ……
ラルグスさんの言うように、これでは信憑性が低いと言わざるを得ないのは確かなわけで、そんな確度の低い情報で軍を、人を動かすことは出来ない、というラルグスさんの意見はその通りだと思う。
かといって、占いだからと看過して、実際に被害が出たら目も当てられない大惨事になってしまう、というセリカの言い分も……まぁ、分からなくはない、といったとろこか。
少し、心配し過ぎだろ? と、思わなくはないがな。
俺、個人としては、概ねラルグスさんの意見に近いといった感じか。流石に、占いで大金は動かせんわな。
ちなみに、ラルグスさんが言っていた褫爵とは、なんらかの落ち度で爵位を剥奪されることをいう。
不確かな情報で軍を動かし、多額の国費を無駄にした、ともなれば、確かにお家の取り潰しもあり得る話しか……
で、そんな両者の主張が、真っ向から対立してるのが現状である。
「ですがっ! だからと言って、国民が危険に晒されるかもしれないこの状況を、みすみす見逃すことなど、騎士がするべきことではありませんっ!
騎士が国民の命より、銭勘定を優先してなんとするのですかっ!」
「はぁ~、別に銭勘定を優先しているわけではない……
感情論だけではどうにも出来んこともある、という話しをしているのだ。
そもそも、調査の為の資金とて、国民の血税なのだぞ? お前はそれを見す見す無駄にしてもいいと言うのか?
軍を動かしたいのであるなら、まずは周囲の者達を納得させられるだけの具体的な対応策案を上げてみよ。
少なくとも、私ひとり納得させられないようでは、議会の連中など微動だにせぬぞ?」
「くっ……」
ヒートアップするセリカとは対照的に、大人の対応というのか、冷静に理詰めでセリカを追い詰めるラルグスさん。
セリカも、ラルグスさんが言っていることが分からちーなほど子どもでもないので、ぶつぶつと呟きながら必死に何か方法は何かと思案しては、思いつくままにラルグスさんに提案し、完膚なきまで却下される、というのを繰り返していた。
「なぁ、セレス。少し良いか?」
そんな中、俺は対面に座っていたセレスにそう静かに話し掛けた。
「なにかしら?」
「いやな、ワーウルフ……銀狼族って、こういう占いによって行動を決める、みたいなのが普通だったりするのか? と、思ってさ。
ほら、占いの結果、こうして元居た集落を出てまで群れで大移動をしているってことは、それって、その占いを信じているからだろ?
となると、だ。彼らは彼らなりに、何か占いを信じる根拠みたいなものがあるのかと思ってな。
例えば、滅茶苦茶よく当たる、とかさ。
だとすれば、占いだからと、バカにも出来ないわけだろ?」
さっき聞いた話だと、銀狼族はテレパシーで意思疎通が出来るような連中らしいからな。
もしかしたら、その超能力で占いの的中率も高いんじゃなかろうか? と思い、セレスにそう聞いたのだ。
今、問題に上がっている一つが、情報源の信頼性についてだからな。
これでもし、銀狼族の占いの的中率がバカみたいに高いとなれば、それは信頼出来る情報ということになり、ラルグスさんも軍の派遣を認めてくれるのではなかろうか? とそう思ったのだが……
「そうね……銀狼族だけでなく、獣人種と呼ばれる種族の人達は、人族と比べたら割と政治や治世を占いに頼っているところはあると思うわ。
でも、生憎と占いの確度に関する参考になりそうな明確なデータがないから、私からは、分からい、としか答えられないわね」
と、セレスからは実に学者らしい答えが返って来たのだった。
これで的中率九割、とかならそれで話は済んだのだろうが……まぁ、こればかりはしゃーないな。
理屈の上では俺はラルグスさん派だが、感情の面ではセリカ押しでもあった。
正直、ああいう熱血娘は嫌いではないのだ。
俺自身があまり熱くなることがない性格な所為か、こういう理想の為に全力で前進している子を見ると、何だか応援したくなってくるんだよな。
セリカのこの、どストレートで熱血少女なところは、正直見ていて気分がいいのだ。
自分が持っていないものを持つ者への、ある種の憧れなのかもしれないな……
だから、セリカの援護にでもなればと思い、セレスにあれこれ聞いていたのだが……
どうやら、この話し合いはラルグスさんに軍配が上がりそうである。
「ただ……」
なんて思っていたら、そうセレスが言葉を続けた。
「おじい様は、獣人種の占いに強い感心を抱いていたようで、多くの資料が残されているの」
「ほぉ、そこにはどんなことが書かれているんだ?」
本件とは特に何の関係もなかったが、個人的に興味があったので、完全な興味本位で聞いてみる。
「結論から言うと、彼らの行っているのは占いではなく“予知”ではないか、とそうおじい様は考察していたわ。
残念ながら、滞在期間中に結論は出なかったみたいで、あくまでもおじい様個人の仮説だけど」
そうセレスは前置きした上で、セレスのおじいちゃんが如何にしてその仮説へと辿り着いたのかをさらっと教えてくれた。
なんでも、この世界には予めすべての運命が決まっている、という決定論に似た思想、運命論というものがあるらしい。
セレスはこの運命論に否定的な考えであるらしいが、おじいさんの方はある程度の尺度の中に置いてなら、この思想は正しい、としていたようだ。
例えば、物は壊れる、とか、人は死ぬ、とか、こうした絶対に抗うことが出来ないものもまた運命の一部である、とそう論じていた。
こうした限定的ではあるが、世界はこう変わっていく、というようなものが、大まかな流れとしてあるのではないだろうか? と、考えていたみたいだな。
で、その大まかな流れ、これをセレスのおじいさんは“大いなる意思”と名付け、その大いなる意思を読み取る力が獣人種にはあるのではないだろうか?
というのが、セレスのおじいさんの仮説なのだという。
その話を聞いて、ネズミは沈む船には乗らない、なんて話を思い出した。
他にも、大災害前に動物達が騒ぎ出す、とかな。
現代なら、都市伝説だ、迷信だ、と笑い飛ばすことも出来るが、ここは魔法も精霊もテレパシーもあるようなファンタジー世界だからな……あと、エルフとか獣人とかも居るし。
だから、眉唾だと一蹴してしまうのが躊躇われるところはある。
そう考えると、俺がこの世界に飛ばされて来たってのも、その“大いなる意思”とやらの影響なのだろうか?
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