マカロニ・オブ・バックウィード

八島唯

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第1章 二人の出会い

ガーフィールド一家との『ビジネス』

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 狭い酒場。
 そこに一団が乗り込んでくる。
 がやがやとした喧騒があたりを支配する。
 それまで談笑していた人々も、口をつぐみ会計をして退出する姿も見られた。
 じっとその様子をリズは見つめる。小太刀の柄に右手をかけながら。
 金髪の背の高い男性を先頭に、五人ほどの集団がずかずかと歩みを進める。
 そして、ベルテのテーブルのそばまで来るとどん、と小銃の柄を床にたたきつけた。
「ここにいたのかい。探し求めた『火薬のベルテ』さまよ」
 後ろのガラの悪い男がにやにやしながらそう言う。
 当のベルテは、視線を合わせずただリズのほうを見つめていた。
「おい、返事くらいしたらどうなんだ――!」
 その男の怒号を手で制止する先頭の金髪の男。これが一団のリーダーらしい。
「これはすまない――血の気が多いものが部下に多くてね。覚えているかい、小生の名前を」
「忘れたくもないね。ガーフィールド一家の頭目のマルカムさんでしょ」
「一家とは......穏やかじゃない。我々は政治団体ですよ。いわゆる政党。合法的にこの西部に秩序と安寧を与えようと日々努力している――」
 マルカムの言葉にうんざりとした表情をするベルテ。リズは察する。どうも、「望まざる」関係であることに。
「さて、そのためにはベルティーナ=レヴァッキーニ嬢、あなたの助力が必要なのですよ」
 芝居がかった流ちょうな英語。マルカムの見た目は若く、結構整った顔立ちなだけにいやに慇懃無礼に感じられる。
「武器――お持ちの武器を『全部』売っていただきたい」
 そういいながら、後ろの男に顎で命令する。後ろの男が机の上にどん、と箱を置く。中には――ぎっしりと銀貨が詰まっていた。
「役立たずの州紙幣ではありませんよ。折り紙つきのモルガンダラーです。悪い話では――」
「桁が一つ違うよ、出直しな」
 にべもないベルテの返事。
 マルカムは顔色一つ変えないが、後ろのひげ面の男の一人の顔が真っ赤になる。
「このガキ!いい気になりやがって!」
 そういいながら腰の拳銃を抜き放とうとした――その瞬間、拳銃は後ろにはじかれる。
 ベルテの手に握られていたのは銃身の短い拳銃。その銃口からゆっくりと硝煙がたなびいていた。
「銃の腕もなかなか。抜き打ちの拳銃を打ち落とすとは。銃身が短いですね?このような狭い場所ではそれも有効でしょうな。威力や射程は弱くなるものの、こういう狭い空間では有効ですね。ましてや、『女』の持つ銃としては――」
 次の瞬間、マルカムは左手に拳銃を構えていた。
 なんという早業。
 その銃口はベルテの鼻先に突き付けられていた。
 ピースメーカーという名の拳銃。西部では人気のある銃である。驚くべきはその銃身の長さである。十インチはあろうか。それを瞬時に腰から抜いて、撃鉄を起こす素早さ。
 ベルテは固まったように動けなくなる。
 しかし、目はそらさずじっとマルカムのほうをにらむ。
 その時、リズが舞う――
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