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第1章 二人の出会い
サムライとジェントリと
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一瞬の出来事であった。
静は膝でテーブルを大きく蹴り上げる。
マルカムらとベルテの間に『盾』ができる。
瞬時に盾になったテーブルを撃ちまくるマルカムたち。
しかし、まるで風のごとく静は彼らに飛びかかり一閃をお見舞いした。
「ひえぇ!」
男の一人が右手から血を流しながらそう叫ぶ。
もう一人は足を切られて地面に崩れ落ちる。
まるで舞うように狭い酒場の中を、走り抜ける静。そのたびごとに、男たちは切りつけられ戦力を喪失していく。
マルカムはその様子を凝視ししていた。
残ったのは自分だけ。
眼の前には、少し長めのナイフを逆手に構えた静が睨みながら仁王立ちしていた。
「聞いたことがありますね」
マルカムは長い銃身のピースメーカーを小刻みに揺らしながら口を開いた。
「私の家は代々軍人でしてね。お祖父様がかつて、東の果ての島国に軍艦で行ったことがあるのですよ。サツマ、とかいったかな。彼らはサムライと呼ばれる身分で腰にサーベルをさし、まるで舞うがごとくそのサーベルで兵士たちを切り倒したと。当然、大英帝国相手にサツマは負けはしたものの、十分に奮戦したとも聞いています。お嬢さん、あなたもサツマのサムライかな」
「薩摩にあらず!なれど、我が身は日の本の武士(もののふ)である。主君に対して害をなそうとする敵は切って捨てる」
静かでゆっくりとはしていたが、その口調はとてつもない殺気を感じさせるものであった。
ベルテは静の手元を見る。それほど長いサーベルではない。とはいえナイフと言うほど短くもない。
この狭い酒場の中でその刀はその特徴を遺憾なく発揮しているようにも見えた。
それなりのレンジがありつつ、狭い空間でも取り回しがきくという利点だ。
一方、マルカムの長い拳銃は威力こそありそうだが、この場面では不利に感じられた。
それを静もわかっているのだろう。じりじりと距離を詰め、マルカムへの一撃を狙っているようだった。
――静かな時間が流れる。
それを、最初に破ったのはマルカムの方であった。
一発、床に向かって発泡する。静の足を狙ったのだろうか。それは外れ、第二撃を打つために撃鉄に指をかけた瞬間、静がはねた――
前かがみになりマルカムに突進する静。そして、刀を下から上に薙ぎ払う――逆袈裟にマルカムの胴体を切り裂く――はずであった。
大きな金属音。
それは、銃の発射音ではない。
ベルテは目を見開く。
床に刀を掲げて膝をついている静の姿。その刀を拳銃の銃身で上から抑え込んでいるマルカムの姿を――
「この拳銃の銃身が長いのには理由があって――」
拳銃の銃身と刀の刀身がぶつかり合い拮抗する。
「鉄棒として、鈍器として使うことができる。格闘戦の武器として」
そういいながら、すっと態勢をかわし静の刀身を空にそらす。
「......!」
完全に体ががら空きになってしまった静。
そこに、マルカムが銃身を棒のようにして彼女の体に叩き込んだ――
静は膝でテーブルを大きく蹴り上げる。
マルカムらとベルテの間に『盾』ができる。
瞬時に盾になったテーブルを撃ちまくるマルカムたち。
しかし、まるで風のごとく静は彼らに飛びかかり一閃をお見舞いした。
「ひえぇ!」
男の一人が右手から血を流しながらそう叫ぶ。
もう一人は足を切られて地面に崩れ落ちる。
まるで舞うように狭い酒場の中を、走り抜ける静。そのたびごとに、男たちは切りつけられ戦力を喪失していく。
マルカムはその様子を凝視ししていた。
残ったのは自分だけ。
眼の前には、少し長めのナイフを逆手に構えた静が睨みながら仁王立ちしていた。
「聞いたことがありますね」
マルカムは長い銃身のピースメーカーを小刻みに揺らしながら口を開いた。
「私の家は代々軍人でしてね。お祖父様がかつて、東の果ての島国に軍艦で行ったことがあるのですよ。サツマ、とかいったかな。彼らはサムライと呼ばれる身分で腰にサーベルをさし、まるで舞うがごとくそのサーベルで兵士たちを切り倒したと。当然、大英帝国相手にサツマは負けはしたものの、十分に奮戦したとも聞いています。お嬢さん、あなたもサツマのサムライかな」
「薩摩にあらず!なれど、我が身は日の本の武士(もののふ)である。主君に対して害をなそうとする敵は切って捨てる」
静かでゆっくりとはしていたが、その口調はとてつもない殺気を感じさせるものであった。
ベルテは静の手元を見る。それほど長いサーベルではない。とはいえナイフと言うほど短くもない。
この狭い酒場の中でその刀はその特徴を遺憾なく発揮しているようにも見えた。
それなりのレンジがありつつ、狭い空間でも取り回しがきくという利点だ。
一方、マルカムの長い拳銃は威力こそありそうだが、この場面では不利に感じられた。
それを静もわかっているのだろう。じりじりと距離を詰め、マルカムへの一撃を狙っているようだった。
――静かな時間が流れる。
それを、最初に破ったのはマルカムの方であった。
一発、床に向かって発泡する。静の足を狙ったのだろうか。それは外れ、第二撃を打つために撃鉄に指をかけた瞬間、静がはねた――
前かがみになりマルカムに突進する静。そして、刀を下から上に薙ぎ払う――逆袈裟にマルカムの胴体を切り裂く――はずであった。
大きな金属音。
それは、銃の発射音ではない。
ベルテは目を見開く。
床に刀を掲げて膝をついている静の姿。その刀を拳銃の銃身で上から抑え込んでいるマルカムの姿を――
「この拳銃の銃身が長いのには理由があって――」
拳銃の銃身と刀の刀身がぶつかり合い拮抗する。
「鉄棒として、鈍器として使うことができる。格闘戦の武器として」
そういいながら、すっと態勢をかわし静の刀身を空にそらす。
「......!」
完全に体ががら空きになってしまった静。
そこに、マルカムが銃身を棒のようにして彼女の体に叩き込んだ――
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