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第2章 クリューガー公国との戦い
ハレンスブルク砦陥落
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ハレンスブルクの包囲をはじめてから三日後の深夜。『北門』に百名の兵士たちが黒い服を着て集まっていた。『南門』に対して『北門』は開かずの門。鍵穴も溶けた鉛により完全に封をされており、ここ何十年も『南門』が開いたのを見たことがある住民はいない。
その兵たちの先頭にいるのはカレル。いつもの女装ではなく、黒い服を着こんでいる。
まわりを確認し、懐から大事そうに光るものを取り出す。それは『黄金の鍵』。先ほど、ボジェクから預かったものである。その鍵の銀色の部分をぐるぐると回す。ほとんど聞こえないがしかし、何かしらの音が出ていることがなんとなく感じられた。
大きな音とともに、『南門』に面する城壁の一部が崩れる。人の顔程度の大きさであったが、そこに新たな鍵穴が顔をのぞかせた。
うなずくカレル。手の黄金の鍵をゆっくりと差し入れ、回転させる。
思い機械音。カレルはそれを確認すると、兵士たちに手で合図する。
数十人の兵士が鉄の門を押す。通常では決してあかないはずの門が――ゆっくりと重たい音を立てながら――開いていく。
数人が通れる広さを確保して100名の兵士たちは物陰に隠れながら、ハレンスブルクの町の中を駆け抜ける。目指すは『北門』。その外には味方の本隊が終結していた。
「そろそろでしょうか」
イェルドが魔法術砂時計を何度も確認しながらそうつぶやく。待ち合わせの時刻。それは都市の中に侵入したカレルが『北門』を制圧し、開放する時刻である。
激しい銃声が扉の中から聞こえる。そして『北門』の上に翻る、クリューガーの旗。それはそれまでのものとは微妙に違っていた。そしてカレルの姿がそこに現れる。
「『北門』を守備していた兵はすべて片付けました。いま門を内側から開錠します。兵士たちに突入を命令してください!」
それを見ていたハルトウィンは、そっとラディムの肩の上に手を乗せる。その上に手を重ねるラディム。そしてうなずき、大きな声で檄を飛ばす。
「全軍、突入!目標は敵、守備隊砦。一切の略奪を禁止する!一番乗りを果たした兵士には準騎士の身分と所領一〇〇エードを付与する!」
おう!とそれにこたえる兵士の声。一斉に『北門』に兵士がなだれ込む。
完全に守備側は不意を突かれた形となった――
燃え上がる砦。ハレンスブルクの中に築かれたそこには、二百人からなる守備兵が詰めていた。
しかし『北門』を突破され、この貧相な都市の中の砦では戦いようもないと観念したのか、自ら火を放ったのであった。
「降伏すると、連絡が。守備兵も武装解除し、みなおとなしくしています」
レムケ卿の報告。あくまでも公太子による命令出なければ都合が悪い。降伏した兵士を公太子軍として再編成できれば、貴重な戦力となることであろう。
「ヒューブナー少佐は責任を取られ自害されました。残念なことです」
目を閉じて小さく詠唱をするハルトウィン。死者への手向けである。
能力があるものが、必ずしも良い決断をできるとは限らない。主君に事の次第はともかく、忠誠を突き通すことを命よりも重要視するものも多く出てくるかもしれない。その最初がヒューブナー少佐であったのだろう。
これから始まる新たな戦い――特にクリューガー公爵との決戦を心に秘めるハルトウィンであった。目の前の燃え上がる砦を見つめながら――
その兵たちの先頭にいるのはカレル。いつもの女装ではなく、黒い服を着こんでいる。
まわりを確認し、懐から大事そうに光るものを取り出す。それは『黄金の鍵』。先ほど、ボジェクから預かったものである。その鍵の銀色の部分をぐるぐると回す。ほとんど聞こえないがしかし、何かしらの音が出ていることがなんとなく感じられた。
大きな音とともに、『南門』に面する城壁の一部が崩れる。人の顔程度の大きさであったが、そこに新たな鍵穴が顔をのぞかせた。
うなずくカレル。手の黄金の鍵をゆっくりと差し入れ、回転させる。
思い機械音。カレルはそれを確認すると、兵士たちに手で合図する。
数十人の兵士が鉄の門を押す。通常では決してあかないはずの門が――ゆっくりと重たい音を立てながら――開いていく。
数人が通れる広さを確保して100名の兵士たちは物陰に隠れながら、ハレンスブルクの町の中を駆け抜ける。目指すは『北門』。その外には味方の本隊が終結していた。
「そろそろでしょうか」
イェルドが魔法術砂時計を何度も確認しながらそうつぶやく。待ち合わせの時刻。それは都市の中に侵入したカレルが『北門』を制圧し、開放する時刻である。
激しい銃声が扉の中から聞こえる。そして『北門』の上に翻る、クリューガーの旗。それはそれまでのものとは微妙に違っていた。そしてカレルの姿がそこに現れる。
「『北門』を守備していた兵はすべて片付けました。いま門を内側から開錠します。兵士たちに突入を命令してください!」
それを見ていたハルトウィンは、そっとラディムの肩の上に手を乗せる。その上に手を重ねるラディム。そしてうなずき、大きな声で檄を飛ばす。
「全軍、突入!目標は敵、守備隊砦。一切の略奪を禁止する!一番乗りを果たした兵士には準騎士の身分と所領一〇〇エードを付与する!」
おう!とそれにこたえる兵士の声。一斉に『北門』に兵士がなだれ込む。
完全に守備側は不意を突かれた形となった――
燃え上がる砦。ハレンスブルクの中に築かれたそこには、二百人からなる守備兵が詰めていた。
しかし『北門』を突破され、この貧相な都市の中の砦では戦いようもないと観念したのか、自ら火を放ったのであった。
「降伏すると、連絡が。守備兵も武装解除し、みなおとなしくしています」
レムケ卿の報告。あくまでも公太子による命令出なければ都合が悪い。降伏した兵士を公太子軍として再編成できれば、貴重な戦力となることであろう。
「ヒューブナー少佐は責任を取られ自害されました。残念なことです」
目を閉じて小さく詠唱をするハルトウィン。死者への手向けである。
能力があるものが、必ずしも良い決断をできるとは限らない。主君に事の次第はともかく、忠誠を突き通すことを命よりも重要視するものも多く出てくるかもしれない。その最初がヒューブナー少佐であったのだろう。
これから始まる新たな戦い――特にクリューガー公爵との決戦を心に秘めるハルトウィンであった。目の前の燃え上がる砦を見つめながら――
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