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Case.1 祟り
特殊怪奇捜査班・2
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「ピンときていないようだからもっとわかり易く、かつ簡潔に話そう。一課の連中が科捜研やら何やらの科学的アプローチで事件解決に臨むなら、霊的アプローチで事件を解決しようと試みるのが我ら特怪というワケだ。どうかな、理解できたかい?」
いや全く理解できないんですが……。
目を白黒させて呆然と立ち尽くす僕の目の前に、
「すっげえアホ面晒してんなぁ! おい篠、コイツ誰だよ」
「うわぁっ!?」
突如として影が現れた。僕と同じくらいか少し低い、真っ黒な人影。驚いて飛び退く僕とは対照的に、霧雨篠は影にフレンドリーな態度で話し掛けた。
「おお、来たかカゲリ」
黒い人影は黒装束に身を包んだ人だった。黒のフード付きマントを纏い顔を半分隠した、いかにも怪しげな人物がいつの間にか僕の前に立っていた。外見からは計り知れないが、声は若い。ひょっとすると、まだ僕よりも年若い少年だったりするのか? それにしても、気配すら感じなかったぞ……!
「カゲリ、彼は我が特怪の期待の新人だ。仲良くするように」
「へーえ、新人? コイツが?」
ジロジロと好奇の視線を向けられる。やがてカゲリと呼ばれた青年はプッと吹き出した。吹き出した……?
「鈍臭そう」
「は――」
絶句する僕に向かって、カゲリは次々に悪口の矢を降らせてくる。
「地味なモブ顔だなァ、幸薄そう。熱血と言えば聞こえはいいが、気持ちだけ先走って空回りするタイプ? すぐ死ぬな」
「な、な、な……!」
初対面の人間に対して言いたい放題にも程がある! こいつを止められそうな人物はこの場には霧雨篠だけだが、彼女はやり込められる僕を愉快そうに眺めていた。くそっ、ここにはサディストしかいないのか?
ドS女は手を叩いて僕を促す。
「ほらほら、新人クン。自己紹介は?」
「御崎署から、と、特殊怪奇捜査班に派遣されました御子柴悟です。よ、よろしくお願いします……?」
「ハイハイどーも、ジミコシバクン」
「ミ・コ・シ・バです!」
空耳にも程がある。どんな耳をしているんだ!
「地味だしお似合いなあだ名だろ? まー要するにアンタ、体よく特怪に追っ払われた下っ端の下っ端ってことか。カワイソ~」
可哀想、なんて言いながらフードから覗く口元がニヤついてる。コイツはチェシャ猫か!
「さて、御子柴クンにも紹介しよう。彼が我らが特怪の協力者、現役陰陽師のカゲリだ。こんな見た目で怪しさ満点だが、とても頼りになる子だよ。ハイ、握手握手」
握手を促してくる霧雨篠。しかし、カゲリは両手を顔の横で広げ、べっと舌を出した。む、ムカつく……!
霧雨篠はやれやれ、と溜め息を一つ落とすと、一転ニコリと微笑んだ。悪魔の微笑みだ、と僕は察した。
「せっかくだし、親睦を深めるためにも二人で仲良く事情聴取に行ってきたまえ」
いや全く理解できないんですが……。
目を白黒させて呆然と立ち尽くす僕の目の前に、
「すっげえアホ面晒してんなぁ! おい篠、コイツ誰だよ」
「うわぁっ!?」
突如として影が現れた。僕と同じくらいか少し低い、真っ黒な人影。驚いて飛び退く僕とは対照的に、霧雨篠は影にフレンドリーな態度で話し掛けた。
「おお、来たかカゲリ」
黒い人影は黒装束に身を包んだ人だった。黒のフード付きマントを纏い顔を半分隠した、いかにも怪しげな人物がいつの間にか僕の前に立っていた。外見からは計り知れないが、声は若い。ひょっとすると、まだ僕よりも年若い少年だったりするのか? それにしても、気配すら感じなかったぞ……!
「カゲリ、彼は我が特怪の期待の新人だ。仲良くするように」
「へーえ、新人? コイツが?」
ジロジロと好奇の視線を向けられる。やがてカゲリと呼ばれた青年はプッと吹き出した。吹き出した……?
「鈍臭そう」
「は――」
絶句する僕に向かって、カゲリは次々に悪口の矢を降らせてくる。
「地味なモブ顔だなァ、幸薄そう。熱血と言えば聞こえはいいが、気持ちだけ先走って空回りするタイプ? すぐ死ぬな」
「な、な、な……!」
初対面の人間に対して言いたい放題にも程がある! こいつを止められそうな人物はこの場には霧雨篠だけだが、彼女はやり込められる僕を愉快そうに眺めていた。くそっ、ここにはサディストしかいないのか?
ドS女は手を叩いて僕を促す。
「ほらほら、新人クン。自己紹介は?」
「御崎署から、と、特殊怪奇捜査班に派遣されました御子柴悟です。よ、よろしくお願いします……?」
「ハイハイどーも、ジミコシバクン」
「ミ・コ・シ・バです!」
空耳にも程がある。どんな耳をしているんだ!
「地味だしお似合いなあだ名だろ? まー要するにアンタ、体よく特怪に追っ払われた下っ端の下っ端ってことか。カワイソ~」
可哀想、なんて言いながらフードから覗く口元がニヤついてる。コイツはチェシャ猫か!
「さて、御子柴クンにも紹介しよう。彼が我らが特怪の協力者、現役陰陽師のカゲリだ。こんな見た目で怪しさ満点だが、とても頼りになる子だよ。ハイ、握手握手」
握手を促してくる霧雨篠。しかし、カゲリは両手を顔の横で広げ、べっと舌を出した。む、ムカつく……!
霧雨篠はやれやれ、と溜め息を一つ落とすと、一転ニコリと微笑んだ。悪魔の微笑みだ、と僕は察した。
「せっかくだし、親睦を深めるためにも二人で仲良く事情聴取に行ってきたまえ」
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