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なみだあめ
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ザア。
ザア。
きょうは雨です。灰色の空から、たくさんの水が降りそそいでいます。
「きょうは雨かあ……」
窓からのぞく外のけしき。
しとしととあたりをつつむ暗いふんいきからか、紫苑は面白くありません。
「おひさま、ご機嫌ななめ……?」
紫苑は雨のふる外を見ながら、ぽつりとつぶやきました。
ノックの音がして、部屋のドアがあきました。
入ってきたのはお母さんでした。
お母さんの手には、ひとつのマグカップ。
それは紫苑のおきにいりのマグカップです。
「きょうは雨。残念ね」
お母さんはマグカップを紫苑にわたすと、空を見あげてこまったように言いました。
紫苑はわたされたマグカップの中を見つめます。
ほわほわと湯気のたった、だいすきなホットミルク。
ひとくちそれをのむと、紫苑はうつむいてこう言いました。
「……またおひさまとおつきさま、ケンカしてるのかな……」
かなしそうに顔を下へむける紫苑へ、お母さんはそっとそばによりました。
「……きっと、おひさまが泣いてるのね」
「え…?」
お母さんのことばに、紫苑はくびをかしげます。
「おひさまもね、いつも楽しいことだらけじゃないのよ。かなしいことも、つらいこともあるの。だからきっと、かなしくて泣いているのかもしれないわ」
「かなしいの…?」
「そう。きっと、泣きたいくらいかなしいことがあったんじゃないかしら」
空が青いときは、おひさまが楽しいとき。
空が黒いときは、おひさまがねているとき。
空が灰色のときは、おつきさまとケンカしているとき。
雨のときは、かなしい、とき?
「おひさま……かなしいの……?」
ザア。
ザア。
空を見つめて紫苑がたずねても、おひさまはこたえてくれません。
でも、それはいつものこと。
だけど、きょうはちがうのかもしれない。
かなしくてかなしくて、おはなしできないのかもしれない。
そう思うと、紫苑もぎゅっとむねがくるしくなりました。
病気のそれとはちがった、くるしいかんじなのです。
紫苑はベッドからとびおきると、自分のつくえにむかいます。
裁縫道具やペンをよせあつめて、せっせっとなにかはじめました。
お母さんもいっしょに手伝います。
やがてできたそれを、紫苑はいつも外をながめる窓ぎわへかざります。
まあるいかたちと、ふわりとなびくひらひら。
白色をしたまるいあたまには、黒いペンでかかれたかお。
───そう。てるてるぼうずです。
いつ、だれが言ったかわからない、おまじない。
だけど紫苑は、それをつくったのです。
だれでもない、だいすきなおひさまのために。
「おひさま、もう泣かないで」
紫苑が空へ手をのばしたそのとき、雨がよわまりました。
よわまり、だんだんと雨雲がきえ、あかるいひかりがさしてきたのです。
そのようすに、紫苑のかおにもえがおがひろがりました。
「───おひさま」
紫苑のこえにこたえるかのように。
おひさまは、紫苑にわらったのです。
ザア。
きょうは雨です。灰色の空から、たくさんの水が降りそそいでいます。
「きょうは雨かあ……」
窓からのぞく外のけしき。
しとしととあたりをつつむ暗いふんいきからか、紫苑は面白くありません。
「おひさま、ご機嫌ななめ……?」
紫苑は雨のふる外を見ながら、ぽつりとつぶやきました。
ノックの音がして、部屋のドアがあきました。
入ってきたのはお母さんでした。
お母さんの手には、ひとつのマグカップ。
それは紫苑のおきにいりのマグカップです。
「きょうは雨。残念ね」
お母さんはマグカップを紫苑にわたすと、空を見あげてこまったように言いました。
紫苑はわたされたマグカップの中を見つめます。
ほわほわと湯気のたった、だいすきなホットミルク。
ひとくちそれをのむと、紫苑はうつむいてこう言いました。
「……またおひさまとおつきさま、ケンカしてるのかな……」
かなしそうに顔を下へむける紫苑へ、お母さんはそっとそばによりました。
「……きっと、おひさまが泣いてるのね」
「え…?」
お母さんのことばに、紫苑はくびをかしげます。
「おひさまもね、いつも楽しいことだらけじゃないのよ。かなしいことも、つらいこともあるの。だからきっと、かなしくて泣いているのかもしれないわ」
「かなしいの…?」
「そう。きっと、泣きたいくらいかなしいことがあったんじゃないかしら」
空が青いときは、おひさまが楽しいとき。
空が黒いときは、おひさまがねているとき。
空が灰色のときは、おつきさまとケンカしているとき。
雨のときは、かなしい、とき?
「おひさま……かなしいの……?」
ザア。
ザア。
空を見つめて紫苑がたずねても、おひさまはこたえてくれません。
でも、それはいつものこと。
だけど、きょうはちがうのかもしれない。
かなしくてかなしくて、おはなしできないのかもしれない。
そう思うと、紫苑もぎゅっとむねがくるしくなりました。
病気のそれとはちがった、くるしいかんじなのです。
紫苑はベッドからとびおきると、自分のつくえにむかいます。
裁縫道具やペンをよせあつめて、せっせっとなにかはじめました。
お母さんもいっしょに手伝います。
やがてできたそれを、紫苑はいつも外をながめる窓ぎわへかざります。
まあるいかたちと、ふわりとなびくひらひら。
白色をしたまるいあたまには、黒いペンでかかれたかお。
───そう。てるてるぼうずです。
いつ、だれが言ったかわからない、おまじない。
だけど紫苑は、それをつくったのです。
だれでもない、だいすきなおひさまのために。
「おひさま、もう泣かないで」
紫苑が空へ手をのばしたそのとき、雨がよわまりました。
よわまり、だんだんと雨雲がきえ、あかるいひかりがさしてきたのです。
そのようすに、紫苑のかおにもえがおがひろがりました。
「───おひさま」
紫苑のこえにこたえるかのように。
おひさまは、紫苑にわらったのです。
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