チートスキルで最強勇者~ヤンデレ聖女に愛されながらゆっくり世界を征服します~

tartan321

文字の大きさ
15 / 19

その15 魔王アルビノーニ 

しおりを挟む
「この少女は迷いがあるようだな……」

アルビノーニはそう言って、ファンコニーの額にキスをした。

「迷いとは何ですか?」

私は未だにアルビノーニと話していることが信じられなかった。アルビノーニではなく、別の男と話しているような感じだった。これほど簡単に歴史を遡り、復活させることが可能だとは思わなかった。

「少女は復活の能力があるようだな。おかげで生き返ることができた」

「あなたは……本当に勇者アルビノーニなのですか?」

「疑っているのか?無理もないだろう。私がアルビノーニであることを証明する手段がないからな……」

アルビノーニは、そっと天を仰いだ。

「勇者と言うものは不思議だ。こうしてずっと長く眠っていると、もう一度世界を救いたいと思うようになる。しかしながら、私もしょせんは欲深い人間だ。生き続けるための手段として、戦い続けることを選択する必要があるのならば、私は喜んで魔王になろう!」

魔王……その言葉を聞いた瞬間、私はこの男を復活させてはならなかったと反省した。正義と悪の天秤が、今は圧倒的に悪の方へ傾いていた。

「復活の能力とは、欲深き人間の悪行だ!」

アルビノーニは不気味なほほ笑みを浮かべ、天を指さした。すると、今まで沈黙に埋もれていた地下都市が、ゴゴゴゴゴゴと大きな音を立てて動き始めた。

「このまま一気に地上まで浮上するぞ!」

ファンコニーのこしらえた地下通路を全て破壊し、巨大都市は高速エレベーターのように天を目指して一直線に進んだ。一分もすると、少しずつ陽の光が見え始め、もう一分もすると、地上へ顔を出した。

「さて、折角だから眠っていた砲台を動かすとしますか……」

アルビノーニは随所に備え付けられた砲台をいとも簡単に指で操作し始めた。巨大都市が空中に現れて、遺跡の近くに群がる人々がターゲットになった。

「これはある種の見せしめだ……」

アルビノーニがパチッと指を鳴らすと、照準に合わせて無数の火焔砲が発射された。見物人たちは逃げる間もなく、火焔砲によって焼き払われた。

「どうだ、これが勇者なる力だ。ところで、君も勇者なのだろう?その様子だと、まだ魔王にはなっていないようだね。どうだね、君の力というものを少し見せてもらおうじゃないか」

私はアルビノーニの言葉を聞くまでもなく、天から剣を召喚し、アルビノーニに襲い掛かった。本気で人を殺そうと思ったのは、今回がきっと初めてだった。

「アルビノーニ!死ねえええええっ…………………!」

私はもう無我夢中だった。勇者の成れの果てがこのような悲劇を生むのだとすれば、アルビノーニ、そして、復活の能力を授かったファンコニーを消さなければならないと思った。そして……ファンコニーを葬り去った後、私も滅びなければならないと思った。

剣は有無も言わさず、アルビノーニの胸を貫いた。アルビノーニは、その場に倒れ込んだ。

「なるほど……君の強さは確かに勇者の名に相応しいものだ……。しかしながら、この程度の力で私を消すことはできないのだ…………」

アルビノーニはその場で息絶えた。ファンコニーは意識を失っていた。

「ファンコニー!」

私はファンコニーを抱きかかえた。どうして意識を失ったのか、その理由が分からなかった。惨劇によるものなのか、あるいは……?


私は肝心なことを忘れていた。この空中都市が猛スピードで北へ向かっていることに気がついた。ひょっとすると、帝都を破壊するつもりではないのか?私は都市の操縦を試みた。しかしながら、びくともしなかった。先程のように、無数の民を殺すことだけは避けなければならない、この時はそう思っていた。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います

ゆさま
ファンタジー
ベテランオッサン冒険者が、美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされてしまった。生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれて……。 懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める

自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。 その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。 異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。 定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

処理中です...