婚約破棄された悪役令嬢はやり直したい!〜転生したら王子に溺愛された件〜その後と将来を紡ぐ物語

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その13 婚約破棄

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「クリス……私は君との婚約を破棄したいと思う……」

皇帝に嫁いで既に5年の月日が流れていた。少女メリーはその後、無事に女子を生み、皇帝はリチャードの出生時よりも喜んだ。その後、皇帝主催のパーティーに参加することは減り、私の代役として側室であるメリーが何回も参加するようになった。

私はそれまで貴族の間の評判について、あまり気に留めていなかった。別にどうでもよかったのだ。しかしながら、いよいよ私と皇帝の不仲説が囁かれるようになると、必然的に噂が喧しくなって、耳に入るようになった。

「お妃さまは一人ぼっち……」

「皇帝様は新しい側室様と仲良くやっている」

「お世継ぎ問題……」

バッシングもひどかった。私は妻として何も心得ていないかのような内容だった。そんな私に時折詰め寄ってくる男子貴族もいたりした。彼らの目当ては何だったのか……私には分からない。しかしながら、私なりのプライドと言うか、これでも皇帝の妃であったわけだから、そういうのは全てお断りした。

「あなたなんて、もはや誰にも愛されていないんですよ?」

そんなことを言い残して去っていく貴族もいた。確かにそうだと思った。でも、だからと言って自由になったわけではなかった。

皇帝が早く婚約破棄して下さったなら、私はもう少し自由に振る舞うことができた。しかしながら、それは中々かなわなかった。それは、側室のメリーが皇帝との正式な婚約、つまり、側室ではなく正妻になることに合意しなかったためだった。

「あなたには既に正妻であられるクリス様がいらっしゃいます。彼女を差し置いて、私が正妻になるだなんて、それは許されざることだと思うのです」

皇帝はきっとこう答えたはずだ。

「クリスとの婚約は破棄するつもりだ。そうすれば、君が正妻になったとしても、何も問題はないはずだ」

するとクリスは、

「どうして私を正妻にしたいのですか?」

と尋ねる。皇帝は、

「君の方が魅力的だし、何よりも、皇帝の卵を産んでくれたからだ」

と答える。

正直申し上げて、メリーは皇帝の意見に逆らって欲しくなかった。別にメリーを悪者扱いするつもりはない。しかしながら、彼女は私たちのからくりを何も知らない。純粋に、私のことを可哀想だと思っている。

その気遣い、本当に要らないから。

いっそのこと、メリーに直接伝えてもいいと思った。だから、ある晩のこと、私はメリーを呼び出した。私の想いを伝え、加えて、メリーが正妻になることを心から喜ぶと伝えるために。

メリーは非常に暗い顔をして部屋にやって来た。どうしてこんなことに?と、悩んでいるようだった。

「私は正妻になるつもりなどございません!」

メリーは、あの時の少女ではなかった。私が何か頼みごとをすれば、何も言わず従う少女ではなかった。一つの固い意志を持った女性に成長していた。

「私だって、早く婚約破棄されたいのよ!」

私もありのままを叫んだ。メリーはよく耳を傾けてくれた。でも、結局平行線だった。


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