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その9

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「も、もっ……もちろん!愛していますよ!」

本当だろうか?別に疑っているわけではないが。昨今は恋の大安売りと聞く。つまり、婚約することを目的に、適当に愛をつぶやいてみる。そうすると、大体どちらかは騙されて、めでたく婚約成立なんてことが起きる。

私が望んでいる婚約とは少し違うけど、まぁそれも仕方がないのか。それにしても、チャールズは本当に私のことを愛しているのだろうか?

そんなことを考えているうちに、王宮に着いた。

「ようこそおいでくださいました!」

王家に仕える侍従たちが総出で、私たちの到着を待っていた。別に身分について議論するつもりはないが、やはり自分は別格なのだと思った。案内役は、皇帝自ら買って出た。思いのほか大きくて、迷子になりそうだった。なるほど、市民から集めた金は全て、豪華絢爛なこしらえに当てられるのだと感心した。
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