聖女様を事故死させてしまったので、即刻悪役令嬢認定されて、婚約破棄されました

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その6

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「どうしてこんなことになるのよ!」

エリーナとグラハムは、地下の牢獄に閉じ込められた。王宮の牢獄と言えば、政治犯やスパイなど、第一級の犯罪者が収監されることで有名だった。つまり、この牢獄に入った人間は、最低でも流刑、最悪の場合は死刑になることを覚悟しなければならなかった。

「グラハム、あれは確かに事故だったわよね」

「はい、そのように心得ております」

「ツァイス様は一体何を考えているもかしら?そもそも、聖女クロルって、一体何の話なのよ……」

「お嬢様、その件なのですが、私には聞き覚えがあります。聖女クロルの伝説という話でございます」

グラハムは、元々国史の研究者だった。このため、国内の神話や伝説などの知識が豊富だった。

「聖女クロル、この世界に災いが起こる時、神の使者として世界に現れ、人間を災いから救うと言われています」

「それで、その話と今回の件は、何か関係があるわけ?」

「はい、古い言い伝えによりますと、馬車の事件というものがありまして、今回の事件と非常によく似ているのです。つまり、あのままでは私たち二人が死んでいた可能性があります。そこに、聖女クロルが現れて、自分の身を犠牲にして、私たちを救った、と、こういう解釈が成り立つわけですな」

グラハムの説明を聞いて、エリーナは一理あると思った。

「でも、たかだか二人の人間を救うためだけに、どうして、聖女様がわざわざいらっしゃるわけ?それほど大きな災いでもないでしょう?私たちが死ぬだけなんだから。あっ、でも、ツァイス様には影響が出るのか?」

「そうですね。第一王子で皇帝に最も近い人間とされるツァイス様の婚約相手でございますから、お嬢様を救うことは、災いの回避と何か関係しているのかもしれませんね……」

「それはそれで分かった。ところで、私たちはこれからどうなるの?」

「案ずることはございません。ツァイス様のお心持ちは分かりかねますが、何か気の迷いを起こされたのでしょう。時が経てば、これは一つの戯れだったと気が付かれるはずです」

「戯れにしては、随分派手にやってくださったみたいだけどね……」

エリーナはやっと笑うことができた。
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